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それから二週間後、アヴァインたちキルバレス帝国軍は凱旋した。首都の人々からの大喝采を受け、アヴァインの名が歓声として上がっていた。
皇帝執務室に入ると、ケイリングから暖かく迎えられ抱きつかれた。
「メルドアでの大勝おめでとう! アヴァイン」
「ハハハ、運が良かっただけだよ」
「圧勝したんでしょ? 謙遜にならない謙遜ね」
「最後は和睦だったしね」
「……その和睦。お父様が不思議がってたわよ。なんで蹴らなかったのか、って」
「まあ、和睦だけど平等な和睦とはならないからね。あの国の国民は2等市民となる。国王制度は無くし、当分はキルバレスの評議員が代表となり、政治を取り仕切る。これだけのことを呑ませてきたからね」
「……内容としては、降伏並み?」
「そうなるね。まあ、条件付きだけど」
「それを聞いたらお父様も納得するかしらね?」
「さあ、どうかな?」
そう言ったところで、ケイリングのお腹が少し出ていることに気づいた。
「……ケイ、太った?」
そう言った途端、アヴァインは叩かれてしまった。
「違うわよ、もう……。出来たの」
「何が?」
「私とアヴァインの子が……」
「──!!」
それを聞き、アヴァインはケイリングを抱き上げ喜んだ。
「やった! よくやった!!」
「うん!」
それから6ヶ月後、男の子が産まれた。名をアルヴィンと名付けた。元気活発な子で、ハイハイしたかと思えば、もう立って歩き回るようにもなった。
「将来が楽しみだ」
「うん」
そしてまた、ケイリングのお腹には次の子が宿っていた。