ー6ー
戦闘開始から4日目……。
メルドア軍、7000。市民兵500。
キルバレス軍、1万3千。
聖霊兵器部隊はほぼ壊滅状態だった。
「今日が最終戦と思い、果敢に攻めよ! メルドアも疲弊している。我らにこそ勝機ありだ!!」
その言葉にどれ程の兵士達が信じたかは分からないが、逃げ出すことの叶わない彼らにとっては必死だった。
「うおおおおおおおおおおおーーーー!!!!!!」
騎兵隊を先陣に槍隊、歩兵と続き、進軍していく。
メルドアは槍隊を前衛に出していた。それを見て、キルバレスは騎兵隊を左右に散開させ、槍隊を前進させた。
キルバレスとメルドアの槍隊同士が激突し、その左右をキルバレスの騎兵隊が突撃して、メルドアの隊列を崩していった。
「このまま一気に崩せ!!」
「おおおおおおおーーー!!!」
メルドアは隊列が崩れたことで、一時撤退を余儀なくされた。それをキルバレス軍は追撃する。だが、大人しく追撃されるメルドアではなかった。重装甲騎兵を転進させ、突撃してくるキルバレス騎馬隊とぶつかり合う。それを見て、メルドアの槍隊もキルバレスの騎馬隊を攻撃し、乱戦状態となる。消耗戦だった。
「引くな! 数で押し切れ!!」
「一旦引いて、体制を立て直すのも手ですが?」
「ならん! 一気に攻め勝つ!!」
互いに消耗し、次々に兵士たちが無惨に倒れていく。その最中、ルシアスの目の前に突如として光り輝く女性が現れた。
そして、その形の良い口を開く。
「わたしの名前は、女神パラ·ファームスイート」
女神……?
「女神……勝利の女神か?」
ルシアスはそう思った。いや、そう願ったのかもしれない。
その女神は続けてこう言った。
「これが、貴方の最後の勝利となるでしょう」
それを聞き、ルシアスは興奮した。
「女神が言ったぞ! 我々はこの戦いで勝利するとな!!」
「おおおおおおおおーーーー!!!!!」
キルバレス軍は勢いを増し、メルドア軍を後退させた。その戦乱の中、メルドアの将軍が倒れ、メルドア軍は一気に総崩れし、全軍撤退し始めた。
「追え! 追撃だ!!」
ルシアス自身、先陣を切って敵を追撃する。だが、そこで思わぬことが起きた。逃げ出す敵武将の槍がルシアスの喉に突き刺さり、切り飛ばしていたのだ。
ルシアスが言う通り、この戦いには勝利した。だが、ルシアスにとってまさに最後の勝利でもあったのである……。