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ー4ー

 最高評議会議事堂パレスハレスの見える評議員宿舎3階にて、アヴァインとファーそれにコージーは窓ぎわで寛いでいた。

「北部の攻略は順調なようですね」

「メルキアを攻略したのは大きいな」

「しかし、被害も大きい……兵員の補充は必要かもしれないね」

「それはオレも気になるが……」

「そういえば、戦死者を英雄と讃えているそうですね?」

「死んでしまえば、英雄も何もないがな……」

「随分とルシアス皇帝に否定的なんですね?」

「別に否定はしないが、アヴァインが言うとおり、確かに戦死者数が引っかかってな……」

「強引な戦略をしているという噂は今のところないから、大丈夫だとは思うけどね」

「だといいがな、余り兵数に物を言わせた強引な戦術をしていると、あとで悪評となるからな」

「亡くなった家族からなどの評判ですか?」

「そういうこと」

「なるほど、自分も気をつけることにしよう」

「お前には、百年早えけどな」

「百年!? もう死んでますよ!」

「ハハハ! 冗談だよ」

「ははは」


 まあ、勝ってさえいてくれれば何とかなるさ……。アヴァインはそう考えていた。




 ルシアスは、次々と小国を攻め入った。6000の国、8000の国と兵数規模の少ない国が続き、連戦連勝であった。

「勇敢な兵士共よ! 死を恐れるな、英雄となるのだ!! 我らの向かう先に負けは無し!!」

「うおおおおおおーー!!!!!」


 聖霊兵器部隊を先頭に一斉射撃し、その次に騎馬隊が突撃し、混乱した相手を無き払い倒し、槍隊が突進してきたら引き、こちらも槍隊で応戦する。実に戦い慣れた連戦錬磨の戦い振りである。


「逃がすな! 追え!!」

 殲滅する勢いで戦い、この小国でも勝利した。

「えいえいおおおーー!!!!」



 その夜、陣営テントにて。

「そろそろ援軍を要請しては如何でしょうか?」

「援軍? 我らは勝っているのに、何故だ?」

「兵も疲れてきております。せめて増援し、休ませることも肝要かと思われます」

「他の者はどう思う?」

「必要かと」

「必要に思われます」

 それを聞き、ルシアスは頷く。

「わかった。増援、1万とする」

「1万!? 恐れながら、せめて2万は増援すべきかと……」

「そんなに必要あるか? 残り北部の大国でも1万5千程度。こちらは2万3千。増援で33000だ。更に聖霊兵器もある。負ける要素はない」

「されど……いや、わかりましてございます」

「よし。3日後には、ここを発つ。各兵士にもその様に伝えよ」

「お、お待ち下さい。それでは増援が間に合いません!」

「間に合わない間は、こちらで何とかするから安心しろ」

「……わかりましてございます」

「以上だ」



 それから3日後、ルシアスは次の戦場を目指して発ち、多くの兵士は疲れた様子でそれに続いた。

 次の戦地メルドアに着いたのは、一週間後だった。

 既に、メルドア軍1万2千が大挙している。更に市民兵3000が居るという。

「増援はまだか?」

「まだ二週間はかかるとのことです」

「遅過ぎる。急がさせろ!!」

「ハハッ」

「如何しますか?」

「このまま2日様子をみる。情報収集を徹底せよ」

「ハハッ」


 流石に到着して直ぐの進軍がないことに各諸将は安心した。若さ故に疲れを知らない。それが今はあだとなっていた。1人、それについて進言した者が居る。たが、其の者のやる気を問われ、結果失脚した。それ以来、誰も何も言えなくなっている……。

 過剰な自信と過信が本人も気づかなぬ内に、周りを寄せ付けなくなっていた。



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