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それからひと月後、南部の要塞より旧キルバレス軍が攻めてきた。対し、5万の軍勢でこちらも返す。
今回相手も、聖霊兵器を持っていた。恐らく、パーラースワートロームで手に入れたのだろう。激しい撃ち合いの中、アヴァインが駆けつけ作戦を練る。その作戦が上手くいき、ようやく相手は撤退していった。
聖霊兵器の増強が急務となった。
最高評議会議事堂パレスハレスにて、早速そのことが議論となった。
「今回、旧キルバレス軍が聖霊兵器を使った戦闘を繰り広げてきた。聖霊兵器の増強が急務と思うが如何に?」
「それは急がねばならんな……」
「しかし何処に作る?」
「キルバレス市街地の何処かに整備し作るがよいのではないか? 攻撃され、奪われる心配もない。技術の流出という懸念もある」
「確かに……」
「うっ……!」
「!? カルロス様、如何しました!?」
「急ぎ、カルロス様を運べ!!」
会議中、突然カルロスは倒れた。心労ということであった。北部の件、旧キルバレスの件と心配事が続いた為だろうということであった。
そして、聖霊兵器工場がキルバレス市街地に作られることで決まった。ポルトス技師たちが呼ばれることになる。メルもだ。
その頃、皇帝カルロスは病室の中にいた。
「カルロス様……大丈夫ですか?」
「アヴァインか……私はもう長くないかもしれぬなぁ……」
「そんなことありませんよ」
「ワシにもしものことがあったら、次は頼む」
「どういうことですか?」
「ワシの後継は、君しか考えられぬ。多くの国民もそれで納得するじゃろう……頼む」
「私の一存では……それも最高評議会で決まることでしょう……」
「……そうか。そうであったな……ふふ、ワシとしたことが愚かな事を言うた。忘れてくれ」
「いえ……それではお大事にしてください。失礼します」
皇帝カルロス様が無くなる……いつかはそんな日も来るだろうと思っていた。しかし、早すぎる……。まだ、キルバレスは安定していない。今この時ではない筈だ!
アヴァインはそう考え、そして壁を叩き涙を流した……。