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ー1ー

 沿海属州都アナハイトに逃げ混んだディステンテ·スワートは、スカンク貴族員を訪ねていた。

「まさか断るつもりてばありますまいな、スカンク貴族員殿」

「そ、それは……しかし」

「例えキルバレスを追われたとは言え、6万の軍勢、その気になればこのアナハイトなど力でねじ伏せることも可能ですぞ。お分かりですかな?」

「むむ……分かりましてございます…」

 

 ディステンテが従え連れて来た兵員6万の維持費は馬鹿にならないものであった。それをアナハイトで担えとディステランテは言ったのだ。スカンクとしては到底呑めることではなかったが、力を前に従う他なかった。




 一方、北部では戦乱が続いていた。これにカナンサリファが対応していたが、埒が明かない。

 彼らの願いは独立だった。


 この日、最高評議会議事堂パレスハレスでそのことが議論されていた。


「それなら、その願いを聞き入れてはどうか?」

「何を言う。それでは我も我もと、独立運動が起きるかも知れぬではないか。許すべきではない」

「それもそうじゃな……」

「ならば、一度武力で再統一してはどうか?」

「ならん」

 誰かと思えばカルロスだった。

「武力による解決は極力避けるべきじゃ。会話による解決を優先せよ」

「はい……」

「しかし現地では小競り合いが絶えぬと言います。それも踏まえ、考えるべきかと……」

「武力ではないにしろ、圧力は必要かもしれん……」

 なかなか議論は絶えそうになかった。



 キルバレス南部で、要塞の建設が進められていた。ディステランテによるものだ。度々警告を発したが、ディステランテはその警告を無視し建設を進めていた。

 パレスハレスにて、軍勢を派遣しようという意見も出たが、ここでもカルロスが反対し、実現することはなかった。このカルロスの姿勢に、最近では反発する者も現れている。

 


 その頃、アヴァインはカルタゴからカナンサリファの野党討伐に明け暮れていた。この地域の治安を少しでもよくする為だ。この頃には、コージーも活躍するようになっていた。何人もの野党を倒し、すっかり逞しくなっている。


「ファー兄さんが居なかったら、オレが副官なんだろうけどなぁー」

「何を生意気な!」

「それもそうだね。そろそろファーも将軍にして貰ったらどうだろう?」

「だね。そうしなよ?」

「このオレが将軍ねぇ……」

 満更でもなさそうだ。今度推挙してみることにしよう。


 要所要所に警備隊駐屯地を設置し、治安はかなり改善され、町の人々からも感謝された。経済的にも安全な商業ルートを確保したことにより、交易も盛んになり、同時に人々も増え、以前とは違う街の風景が広がっている。

 州都アルデバルから首都キルバレスまでの交易ルートの完成で、北部経由の経済は確実に発展していった。



 この日、アヴァインは久し振りにアクト=ファリアナに帰っていた。

「アヴァイン、お父様が褒めていたわよ。アヴァインのお陰でコーデリアの経済は確実に豊かになったって」

「そう言われて嬉しいよ。でももっと豊かにしようと思ってる。鉱山都市アユタカの方も、まだまだ発展の余地はあるからね」

「頑張り屋さんの旦那さんで、わたしも鼻が高いわ」

「ホントだ、ピノキオみたい」

「え? ちょっと!! 今のヒドイ!」

「あはは。冗談だよ。

そう言えばシャリルは?」

「シャリルなら、向こうでコージーと話してるわよ。あの2人、お似合いね?」

「……なるほど、そういうことか。コージーもやるな」

「シャリルには、早く幸せになって欲しいわね……」

「……うん。ルナ様の為にもね」

「そう言えばファーはどうなの?」

「ファー? うーん……余り聞かないわね」

「そうか……。誰かいい人が居たら、紹介してあげてよ」

「うん。そうする。でもファーの場合、誰それ構わず口説いてるイメージがあるのよねぇー」

「あー、それは確かに言えてる」

「まあ、誰か居たら紹介するわ」

「うん。お願い」


 そう言って笑った。このまま平和な日々が続けば良い。アヴァインはそう願っていた。



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