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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第二部 第16章 【攻略! 州都アルデバル】
141/170

ー5ー


 2日後の夕方、ラグーナからの援軍が到着した。その間に周辺の村やアユタカからの増員も合わさり、総勢2300となる。しかし、その中には全く戦経験の無い者なども居た為、その日から一週間、盾の使い方や武器の使い方などあらゆる訓練を行い、練度を高めた。これも、少しでも死傷者を出さない為の努力である。


「アルデバルの軍勢は、およそ12000。こちらの五倍以上の兵力だ。どうする?」

「随分と集めて来たな……」

「強制動員を掛けたらしい」

「へぇ。それでその程度なら、寧ろ少ないのかもね?」

「こちらの工作が上手くいっているのかもな」


 アルデバルの内部に、こらへ味方するよう工作を仕掛けていた。それで少しは、抑えられていたのかもしれない。


「先ずは、お手並み拝見と行きますか」

「わかった。伝令!」


 早朝より、軍を動かしアルデバル付近まで進める。すると、アルデバルまで10キロの距離で敵陣営を発見した。向こうもこちらに気付き、軍団を三つに分け動いている様子だ。


「敵左前衛は、騎馬。右前衛も同じく、騎馬。中央は、槍とその後方に弓の配置」

「厄介だな……。先ずは、旗一つで様子を見る」

「わかった。伝令!」


 騎馬隊がゆっくりと前進し、相手の動きを窺う。

 間もなく、敵左右前衛が突撃を開始、中央も少し遅れて突撃して来た。


「旗三つ! 伝令!」


 前進していた騎馬隊は、左右に別れ展開後退。そこへ槍隊を前衛にした聖霊兵器部隊と弓隊が並び待ち。相手が200メートル手前まで来たところで、轟音と共に一斉斉射した。


「左右に向かい、旗一つ! 伝令!」

 

 相手はその轟音に陣形が崩れかけたが、その数と指揮官の号令にまた息を吹き返し、こちらへと向かって来た。


 そこへ再度、中央に近い部隊を聖霊兵器部隊と弓隊が攻撃し、槍隊がその中央へ突撃。左右の敵にも、遅れて聖霊兵器部隊による轟音を撃ち。騎馬隊が攻撃を開始し、乱戦状態となった。


「一旦、引く! 旗四つ!! 伝令!」


 策戦のない乱戦は、単純な消耗戦になると感じ、アヴァインは撤退を指示。相手もそこは同じなのか、合わせたように撤退していった。


 しかし、この場からは引かない。戦傷者を回収しなければ、追撃され、戦死者となるからだ。


「相手も引く気は無いようだな……。回収までどのくらいかかる?」

「あと一時間ほど」

「いっその事、もう一戦したらどうだ?」

「そうだね」


 アヴァインは暫く思案のあと、指示した。


「旗二つ! 三軍に分ける、伝令!」


 聖霊兵器部隊と弓隊を三軍に分け、前進を開始。相手軍はそれを見て、騎馬隊を左右に中央を槍隊にて突撃前進して来た。


「旗一つ! 槍隊前へ! 騎馬隊は左右に展開、伝令!」


 程なく、前方で聖霊兵器の轟音が鳴り響く。それでも畏れず突撃してきた騎馬隊を弓隊が迎撃攻撃。それでも掻い潜ってきた相手を槍隊が前に出、突き刺し倒す。更に、左右より突撃した騎馬隊が相手の両翼を薙ぎ倒し、相手の陣形を崩していった。

 聖霊兵器部隊は騎乗の為、高い位置からの射撃をすることにより、間違って槍隊に当たらないようその後方の相手を撃ち倒す。弓隊もそこは同じで、後方を狙って攻撃していた。

 

「相手が後退し始めたな」

「指揮官は、突っ込めの一点張りだけどね」

「指揮系統の混乱が窺い知れるな。どうする?」

「勝ちに行く。旗五つ! 伝令!」


 それは総大将であるアヴァインも突撃する、総攻めの印であった。それを見て、各隊は奮起し、一斉攻勢に入った。


 それで堪らないのは、アルデバル軍である。只でさえ、見知らぬ兵器に振り回され動揺している中、相手将軍まで突撃しての総攻撃に浮き足立ち、武器を置いて逃げ出す者まで現れた。総崩れである。


「待て! 戻れ!!」


 相手指揮官が慌て命令するが、その流れは最早止まる事無く、我先にと走り逃げ出していた。


「敵陣中央が見えてきた! このまま一気に行くぞ!」

「「「おおお!!」」」


 アヴァインはたまに向かって来る相手を聖霊銃で撃ち倒し、進撃。そして、敵中央陣営のテント内を見るが……既に、もぬけの殻であった。



  ◇ ◇ ◇


 

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