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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第二部 第16章 【攻略! 州都アルデバル】
139/170

ー3ー

「戦勝、おめでとうございます」

「ありがとう、君達のお陰だよ。ラグーナの方々もお疲れ様でした」


 ラグーナ軍の指揮所で祝杯を上げ、今回活躍した皆の労をねぎらった。


「アーザイン将軍に進言したい。我々の望みはただ一つ、格差と差別無き世を作って貰いたい!」

「デイル、まるでラグーナの代表のようなことを言うな。

大変失礼を致しました。アーザイン様」

「いや、自分に出来ることは限られてるけど。可能な限りそうなるよう努力するよ」

「ありがたい仰せ、感謝致します」

「その為にも、先ずは戦に勝つことです。ですが、我々の軍は数が少ない。そこでお願いがあるのですが……」

「分かっております。こちらも出来るだけの協力は致しましょう」

「感謝します」


 この日はラグーナで休みを取り、翌日早朝より疲れも取れぬ間に、湖畔の町サリシュへと向けて出発した。


   ◇ ◇ ◇


 湖畔の町サリシュは、キルバレス兵僅か三十人が滞在するだけで難無く陥落することが出来た。というか、逃げ出したのである……。

 サリシュの町人にアーザイン達は歓待され、直ぐに鉱山都市アユタカへ向けて出発することにした。


「デリー村は良いのか?」

「うん。デリー村の火薬は高く売れると、ギルドの者に伝えておいたからね」


 火薬は戦で役に立つ、だけどその為に兵を今は割くわけにいかない。なので、《ハインハイル交易ギルド》にそう伝えることで彼らの労力を借りることにしたのだ。あとは勝手に人を使い、デリー村とも巧く交渉して調達してくれる筈だ。



「流石に少しは居るようだな……」

 鉱山都市アユタカには、800の兵が居た。街まで10キロ手前で陣を張っている。


「旗二つで行くか?」

「……そうだね」


 聖霊兵器部隊を使うにも、そろそろ弾薬が尽きて来た。早目に勝負に出るしかない。


「前へ!」

 聖霊兵器部隊を前に出すと、相手軍はやはり騎兵を突撃させて来た。そこへ先制の轟音を発し、相手が怯んだところを空かさず弓騎兵にて一斉斉射! 相手騎兵は総崩れする。そこへ軽騎兵隊が突撃した。


「旗三つ! 伝令!」


 旗を見て、軽騎兵隊は左右へ展開後退。それと入れ替わりに聖霊兵器部隊と弓騎兵部隊が前に出、突出してきた敵槍隊を迎撃。キルバレス軍は戦況不利と判断し、撤退を開始した。


「旗一つ! 伝令!」


 軽騎兵隊は追撃を開始、キルバレス軍は総崩れとなり、我先にと逃げ始めた。それを更に各隊が追い掛け狩りとっていく。


「このままアユタカまで進軍する」

「わかった。伝令!」


 ほとんど損失を出すこと無く、この初戦を切り抜け、鉱山都市アユタカへと入った。が、そこにはキルバレス軍の姿は最早無かった。街を放棄し、総撤退したのである。


「勝利、おめでとうございます!」

「ありがとう」

 

 何とも拍子抜けする戦勝であったが、勝ちは勝ちである。街の人々に歓迎され、近くに野営地を設営した。いよいよ次は、州都アルデバルだ。これまでのようには行かないだろう。何よりも兵力だ。出来るだけ早くラグーナからの増員が欲しいが、遅れている。そして、ここまで戦いを有利にしてきた聖霊兵器……その弾薬が尽きたのも大きい。


 野営地の中央の陣に構えた将軍用のテント内で、アヴァインはぶどうの搾り汁を頂き、ファーを見つめ言った。

「メルに明日、会いに行こうと思う」

「また、唐突だな。弾薬か?」

「うん。案外、この戦の勝敗を決めるのは、彼女かも知れない……」

 

 アヴァインのそうした予想は、それほど外れてはいなかった。



 ◇ ◇ ◇


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