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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第二部 第14章 【メルとの約束】
131/170

─4─

「ほぅ。お前さん、ポルトス達を知っておるのか?」

 小屋の中にはシャリルの他に、メルという女の子とグランチェ・グーズリーという元科学者会の元老だった人が居た。今は招かれ、それぞれ椅子に座りお茶を頂いている。


「はい。鉱山都市カルタゴで知り合って、それから色々とお世話になっています」

「ハハハ! アイツらが他人の世話をするとは大したもんだ。何か代わりに、要求されたのではないかな?」


 図星だ。


「まあ、そんなとこだろう」

 どうやら顔色で読まれたらしい。凄く勘のいい人のようだ。


「それは何を作っているのですか?」

  何か液体のようなモノを混ぜ合わせていた。しかも驚く事に、それをメルという十三歳の女の子が行っていたのだ。


「この奥の部屋に、不思議の国からやって来た女の子が居ってな。その子を救えないかと色々試しているんじゃが……なかなか上手くいかなくての」

「不思議の国?」

 それこそ不思議な顔をしていると、グランチェが奥の部屋へと案内してくれた。そこには、青白く美しい髪の女の子が苦しげに汗を吹き出し眠っていた。


「この子は、パーラースワートローム人じゃよ……」

「パーラースワートローム!?」

 それは、随分と前にフォスター将軍が攻め入った国の名前だった。


「その土地の者は、その地に流れる川の水を飲まなければ生きてはいけない。故に、この子は今その水を求めるが飲むことが叶わず、苦しんでおる」

「そんなことが……」

「あるんじゃよ。代わりにその地の者たちは、不思議な力を使える。魔法じゃよ」

「……」

 そう言えば以前、聞いたことがある。その地の者は魔法を使え、不老不死にさえなれるのだという言い伝えだ。その力欲しさに、キルバレスはその地を攻めた。しかし無敗を誇るキルバレス軍でさえ、未だその地を得ることが叶わずにいるのだ。


「何故、こんな所に……」

 その地の者が、何故こんな所に居るのかが不可解だった。

「キルバレス兵に囚われ、首都に連れて行かれるところを救ったのよ」

 メルという女の子だった。部屋の入口からこちらへと来て、両膝をつき、ベットで眠る女の子の手を握りしめた。


「フィオーネは悪くないのに、キルバレスの人達は一方的だったの。許せないわ!」

 真剣な目でそう言って、手をぎゅっと握りしめている。


「あと少し……あと少しだからね。フィオーネ」

 あと少し? あと少しで、それが完成するということなの

だろうか? 精霊水……そんな言葉を聞いたことがある。それが出来たら、凄いことだ。


 フィオーネが眠る部屋を出て、再びテーブルの上に瓶が沢山並ぶ部屋へと戻る。メルは戻るなり、直ぐに研究を始めた。


 瓶の中の液体同士を少しづつ混ぜ合わせ、その反応をみて、これまた不思議な赤い石が入った容器へと入れて試していた。


「魔晶石じゃよ。この石は、不思議と精霊水に反応するのでな。利用しておる」

「魔晶石……」

 中央付近が仄かに赤く光る不思議な石だった。その石がメルが注ぐ水に反応して、ハッキリと光った。それを見て、メルは直ぐに立ち上がり、混ぜ合わせたその水をフィオーネに飲ませてあげる。が……直ぐに咳き込み口から戻し、それが不完全なものだったことを理解する。それでメルは、静かに元気なく戻ってくる。そして、口を開いた。


「……色々と、あるだけのモノは試して来た。でも、ダメだった……。まだ諦めるつもりはないけど。でも……。

お願い、旅の方! 普通と変わった水のことを何か知っているなら、教えてください! お願いします!!」

「そう言われても……」

「いや、あるぞ」

 ファーが何か思い当たる顔をした。


「アクト=ファリアナの近くの泉で、最近不思議なことが起きているらしい。まるで鉱山都市カルタゴのような話だから、気にはなっていたんだが……」

「カルタゴ……あ、そうか」

 ポルトス技師達が扱っている水も、不思議なモノだったのを思い出す。


「あるんですか!? あるんですね!」

 メルが目を輝かせ、そう聞いてくる。

「ああ、ある」

「だったら、ここへ届けてくれませんか? お願いします!」

「分かった。そうするよ」


 メルと約束をし、警備員の1人にアクト=ファリアナ近くにある泉から水を汲んでくるように伝え、直ぐさま急ぎ向かわせる。そして同じく、鉱山都市カルタゴにも1人向かわせた。


「この技術を奪われないよう、此処の警備も厳重にして置いたが良さそうだね」

「そうだな」

 という訳で、五名を此処の警備として残すことにする。なので、残りの警備隊六名となる。


 この日はパレスフォレストに泊まり、翌日の朝から鉱山都市アユタカを目指すことにした──。



第二部 第14章 【メルとの約束】 終


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