─3─
その後も数日、要人との面会を繰り返したあと、アヴァインは次に鉱山都市アユタカを目指した。次いで、いい社会見学になるかと思い、コージも連れ出すことにし、まだ不慣れな馬術で一生懸命後を付いてきている。
「大丈夫だとは思うけど。念の為、パレスフォレストの警備も増やしといたがいいね」
「確かに、常駐の警備員三十人だけでは心許無くはあるな」
途中通り掛かった避暑地の屋敷の方角を見つめ、二人はそう言った。
「そう言えば、フォレストにシャリル嬢が居るが寄らないのか?」
「シャリル様が……」
あれから何年も会っていない。元気にしているのだろうか? 友達は出来ただろうか? 寂しくしてはいないだろうか?
段々と気になり始める。
「少しだけ……遠回りしてもいいかな?」
「ああ、いいよ」
ファーは笑顔でそう答えた。
「シャリル嬢は何処に居るか知っているか?」
「シャリル様なら、裏手の小屋に居ると思いますよ」
屋敷近くのメイドに訊ねると、そう返ってきた。実際行って見ると、中にシャリルらしき女の子ともう一人居た。
「シャリル?」
そう訊ねると、やはりその予想した女の子の方が振り返る。
「アヴァインだ。覚えてるかい?」
「あ……」
シャリルは何も言わず、涙目でこちらに駆け寄って来て両手を広げ抱き着いてきた。
「アヴァイン! アヴァイン!」
そう言ってわんわんと泣く。あれから三年……女の子は、いつの間にか素敵な少女に変わっていた。
◇ ◇ ◇