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「ふむ……」
夕方にメッセンジャーから送り主匿名のメールが届き、ハインハイルはその文面を見て困り顔を見せていた。
そこにはこう書かれてあった。
“彼は大事ない。然る後、安全な場所まで届けるので安心願いたい。”
「……この、彼というのはアヴァインさんの事でしょうか?」
ミカエルがその文面を覗き見て、そう言ったのだ。
「恐らくはそうでしょうな。しかし、何だってこうも妙なことをするのかが理由わからんので……」
「大事ない、とは書いてありますが、ちょっと心配ですね」
「ええ、昼間にも戴冠式が襲撃されたとかで、何やら首都は物騒ですからな。こんな日に、こんなタイミングで、こんな文面が来るというのも…………あ!」
ハインハイルは何かに気づいた表情を見せたが、思わず口からその言葉が出るのを止めるように手で口を抑えた。
ハインハイルは、アーザインがアヴァインであることの事情を知っていた。そして、ディステランテに恨みがあることも……。
「あいつ……遂に、やったのか!?」
こりゃあ、首都から一旦出るのが懸命かも知れんな。
ハインハイルはそう思った。
◇ ◇ ◇