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はぁ……はぁ…!!
アヴァインは屋根伝いから降り、身を隠していた。逃走途中で屋根の上より落としてしまった聖霊兵器が惜しまれるが……仕方ない。今は再起を待つ時だ。
そして、そこに置いてあった樽の中に黒装束を脱ぎ入れ、代わりに置いてあった服に着替える。が……、
「女物の服!?」
置いてあった服に呆れ驚くが、状況が状況なだけに直ぐに着替え、フードを深く被りその場所から移動する。
「お! 君、可愛いね。どこへ行くの?」
「……」
途中、衛兵に呼び止められるが、下を向いて急ぎ素通りした。追いかけられるかとも思ったが、衛兵のもう1人が「おい、辞めとけ。今はそれどころじゃないだろ」と言い呼び止め、追いかけられることは無かった。
しばらく急ぎ歩き、誰も周りに居ないことを確認し、ある屋敷の裏戸を軽く叩くと、扉がスっと内側に開いた。そこへ入ると、中にルーベンが待っていた。
「首尾の方は?」
「残念ながら、ダメでした」
女物の服を脱ぎ捨てながらアヴァインはそう言った。
ルーベンは小さく溜息をつく。
「後で樽の中の服も回収し、処分させます。それも此方へ」
「はい」
手渡すと、ルーベンはそれを丸め脇に抱える。
「兎に角、先ずは屋根裏へ」
そう言われ部屋の奥へと向かい、そこから三階上がって更に奥へと行った先の部屋で梯子を掛け、屋根裏の中へと入った。中は真っ暗で、そこへランタンを置き火を付けることで、何とか光が確保出来た。
「暫くは此処で身を隠し、頃合いを見て首都から脱出して貰う予定です。よろしいですね?」
「はい。御迷惑をお掛けします」
「いやいや。それから、知り合いのギルドの方には私の方から後で知らせておきますので、御安心を」
ルーベンはそう言い、頷きながら下へと降っていった。が、それと入れ替わるように若い男が突如として現れ、梯子を昇って来る! そしてアヴァインを見るなり、噛みつかんばかりにこう言った。
「やっぱり此処か!! やるとは思っていたが、本当にやりやがったな! バカ野郎ー!!」
「ファー!?」
正直、驚いた。
◇ ◇ ◇