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『パラド=スフィア物語』 -カルロス-(オリジナル)  作者: みゃも
第二部 第10章 【キルバレスの女神】
106/170

─5─

「ガッハッハッ、よくやった!!」

 この日の晩のハインハイルは、とても上機嫌だった。

 晩御飯を食べ終わり、今はお酒をハインハイルとミカエル、そして自分はぶどうの搾り汁を飲み、テーブルを囲んでいた。


「あのルーベン商会の加入に成功したとは、大したもんだ!」

「まったくです! わたしも感心しましたよ」

「いや、そんなに褒められることは何も」


 実際、ちょっとお願いしたら、「はい」ってなもんだった訳で。ハインハイルやミカエルから言われるほどのことは、何もやっていないのだ。


「これで、キルバレスでの商売は間違いなしだ。新しい拠点となる物件も見つかったし。今日は、良いことづくめだ。ガッハッハッ!」

「ほお、もう見つかったのですか」

「ここから近いんです?」

「ああ、近い近い。何せ、此処(・・)だ」

 ハインハイルは、床下を指差しながらにっと笑み、そう言った。


 話を聞けば、ここの宿屋の女将に相談したところ。宿屋の地下に、今は使っていない部屋があるらしく、そこを借してもいいと言われたそうだ。広さは四十畳ほどで、以前は酒場だったらしい。少々カビ臭いが、掃除さえしっかりとやれば機能十分なので即座に決めたとのこと。


「早速、明日ロムニー達に掃除して貰うつもりだ。二・三日も掛ければ、ピカピカだろうよ。

あと、新しい此処での住居なんだが。この隣のアパートが二部屋空いているらしい。間取りが、二間にキッチンダイニングだから多少手狭ではあるんだが。二部屋とも借りれば、十分だと思う。少なくとも、ここに泊まり続けるよりかは安上がりだ。

どうするね?」

「そこでいいですよ」

「任せます」

「じゃあ、併せてそこも大掃除ってことで、決まりだな!」

 話はトントン拍子に進み、明日一日、皆で大掃除することで決まった。


 翌日の朝、コージとロムニー達、ハインハイルとミカエルにアヴァインはそれぞれに自分達が寝泊まりする部屋の掃除を行い。昼頃には、ベッドが搬入された。

「流石にベッドが三つも並べば、手狭だな……」

「……ですね」

 部屋の広さは、八畳ほどある。

 その二部屋のうち一部屋は、夜の仕事部屋として使いたいということで、残り一部屋にベッドを並べて見たら、あとは机と椅子ひとつ置くだけで部屋一杯になっていたのだ。


 隣の部屋はどうかと覗くと、

「だから、どうしてコージだけが独り部屋なのよっ!! ズルいわよっ!」

「そんなこと言ったって、仕方がないでしょ。まさか僕が、ロムニー達と一緒の部屋で寝る訳にはいかないんだから。

……それとも、それでいいの?」

「あー! コイツ、変態だ!! 今、イヤらしいこと考えてるっ! わたしのこと襲うつもりなんだ!」

「はいはいはい…」

「ドウドウドウ」


 ……隣は隣で大変そうだ。

 掃除も一先ず片ずいたので、アヴァインは一言告げ、出掛けることにした。

 

 首都中心へと馬車を三十分ほど走らせ、最高評議会議事堂パレスハレスの建つ並びをゆっくりと進み、怪しまれないように気をつけながら目線を動かし見渡した。


 戴冠式はテラスの三階……となると、やはり狙うならあそこ辺りか。


 パレスハレスとは丁度道路を挟んだ反対側にある建物に目を向け、アヴァインは思案する。余りにも手前過ぎると、直ぐに見つかる。かと言って遠いと、的に当てるのが難しくなる。

 出来るだけ近く、隠れることも出来るところ……。


 そう思い思い、二・三往復も行き来しているといい場所を見つけた。



  ◇ ◇ ◇

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