表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第4話 騎馬魔獣

第4話です。

人火銃と騎馬魔獣の初戦闘に入ります。

白嶺島北岸の平野は、灰色の霧に包まれていた。


 朝靄の向こうから、低い地鳴りが響く。


 ドン、ドン、ドン。


 地面が震える。


「あれが……騎馬魔獣か」


 新兵の声が震えていた。


 霧の中から現れたのは、馬よりも一回り大きい獣だった。

 黒い毛皮。

 湾曲した角。

 背には軽装の騎兵。


 数は三十。


 黒筒隊は十人。


 普通なら逃げるしかない戦力差だった。



「分隊長、どうする」


 部下が叫ぶ。


 大和は地形を見た。


 左は低い石垣。

 右は浅い溝。

 後方は倉庫街。


(突撃は直線。横には広がれない)


「石垣の後ろに散開」


「突撃してくるぞ!」


「だから止まらない」


 距離を測る。


 百五十。

 百三十。

 百。


「構え」


 魔獣の咆哮が近づく。

 地面が揺れる。


「撃て!」


 乾いた爆音が連続する。


 一頭が崩れ落ちた。


 だが残りは止まらない。


「再装填!」


 八秒。

 長すぎる。


 魔獣が五十まで迫る。


「二列目、前へ!」


 火線が途切れないように前進させる。


 再び撃つ。


 二頭目が倒れる。


 騎兵が弓を放つ。


 矢が石垣に突き刺さる。


「伏せろ!」


 三列目が射撃。


 魔獣の足が折れ、前の個体に衝突する。


 隊列が乱れた。



 突撃が止まった。


 それは歴史的瞬間だった。


 騎馬魔獣の突撃が、歩兵の火線で止まったのだ。


 残った騎兵が距離を取る。


 近接戦に持ち込めば勝てる。

 だが距離を詰める前に倒れる。


 それが理解された。


 騎兵が後退を始める。


「追撃はするな」


 大和が制止する。


「弾薬を温存する」


 数で勝ったのではない。

 距離と火線で勝った。



 戦闘が終わると、誰も声を出さなかった。


 倒れた魔獣の巨体。

 焼けた毛皮。

 煙を上げる銃口。


「……本当に止めたのか」


 部下が呟く。


 教官が近づいてくる。


「報告する。騎馬魔獣突撃を撃退」


 その言葉はすぐに上級司令部へ送られた。


 魔導士ではなく、十人の新兵が。



 その夜、命令が下る。


「黒筒隊は前線に編入。

 人火銃の有効性を確認した」


 正式に戦力として認められたのだ。


 そして大和には追加の命令が届く。


「分隊を倍員する。二十名を指揮せよ」


 昇格だった。



 遠くの丘で、オルドゥ軍の角笛が鳴る。


 敵も学び始めている。


 次は数で押してくる。


 だがそれでも、大和は計算していた。


(火線密度を上げれば止められる)


 戦場は数式になる。


 人の火が、草原の覇者を押し返し始めていた。


第4話を読んでいただきありがとうございます。


人火銃が騎馬魔獣を止める初戦闘でした。

次話ではオルドゥ本隊との戦いに入ります。


ブックマークや評価をいただけると励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ