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第2話 黒筒隊

第2話です。

入隊編に入り、人火銃(鉄砲)が登場します。

 東鋼島の軍営は、工廠の延長線上にあった。


 魔導士の塔はない。

 代わりに並ぶのは長い格納庫と弾薬庫。

 鉄と油の匂いが鼻を刺す。


「整列!」


 怒号とともに新兵が並ばされた。

 魔力測定で弾かれた者ばかりだ。


「貴様らは魔導士ではない!」


 教官の声が響く。


「だが戦場に立つ。そのための武器がある!」


 格納庫の扉が開いた。


 中にあったのは、黒い鉄の筒だった。


「それが人火銃だ」


 ざわめきが広がる。


「弓より遠く、魔法より速く、魔導士を殺せる」


 誰も信じていない顔だった。

 大和は銃を手に取る。


 重さを測る。

 照準線を確認する。

 引き金までの距離。


(装填八秒……三列輪射で火線維持可能)


「構え!」


 乾いた爆音。

 的板が砕けた。


 周囲がどよめく。


「もう一度撃て」


 同じ場所に穴が開いた。


 教官の目が細くなる。


「名前は」


「東雲大和」


「前へ出ろ」


 その日、大和は十人分隊の先頭に立たされた。



 訓練は過酷だった。


 一列目が射撃。

 伏せる。

 二列目が前進して射撃。

 三列目が装填。


 火線を途切れさせるな。

 これが基本だ。


 肩に反動が蓄積する。

 指が痺れる。

 それでも撃ち続ける。


 魔導士たちが遠巻きに見て笑っていた。


「鉄管遊びか」

「魔法障壁で止まる」


 だが大和は計算していた。


(障壁展開に三秒)

(同時射撃なら貫通可能)



 夜、兵舎で地図を広げる。


 白嶺島北岸。

 鉱山港。

 上陸可能な浜。


 補給路は一本しかない。


 そこを断てば、敵は飢える。


 祖母の言葉が頭をよぎる。


 ――補給を断て。戦は終わる。


 その瞬間、大和は確信した。


 魔法が支配する戦場でも、

 数と距離と時間で勝てる。



 翌日、教官が告げた。


「東雲大和。貴様を分隊長とする」


 ざわめきが起きる。


「魔力もないのに?」


 教官は短く言った。


「当てるからだ」


 十人の命を預かることになった。


 だが大和の頭の中では、

 すでに百人の火線が描かれていた。



 その日の夕方、警鐘が鳴る。


「北方海に敵艦影!」


 伝令が叫ぶ。


「オルドゥ帝国艦隊、白嶺島へ向け南下中!」


 兵舎が静まり返った。


 草原の騎馬帝国が海を越えるはずがない。

 誰もがそう思っていた。


 だが現実は違う。


 大和は人火銃を握る。


 初めて、実戦で使う時が来た。


第2話を読んでいただきありがとうございます。


次話からオルドゥ侵攻編に入ります。

いよいよ人火銃の初陣です。


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