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RINA  作者: 大善山
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エピソード1  闇のささやき

初めまして、大善山です。

本作は「現代日本×サイボーグ×忍者×カルト教団」という、ちょっと欲張りな組み合わせで描いたアクション小説です。


主人公リナは、ごく普通の女性から一転、国家機密レベルの力を背負ってしまう存在になります。

派手なバトルやスピード感ある展開の中にも、家族の絆や仲間との信頼をしっかり描いていきたいと思っています。


アニメ・映画好きの方にも楽しんでもらえるような作品を目指しました。

どうぞ最後までお付き合いください!

あらすじ


闇バイトに巻き込まれた弟を救おうとした姉・リナは、拉致され、生死の境をさまよう。

父が極秘に進めていた研究によって、彼女は“人間を超えた存在”として甦る。


だが待っていたのは、国家を揺るがすカルト教団と、忍者の血を継ぐ影の守護者〈八咫衆〉との戦い。

街を覆うドローンの群れ、公邸を襲う暗殺部隊、そして正体を現す“人ならざる教祖”。


失った記憶と、新たに得た力。

仲間と家族を守るため、リナはサイボーグとして覚醒する。


「私は誰? 兵器? それとも、人間?」

——涙と刃で世界を切り裂く、サイバー忍者アクション巨編。



第一話 闇バイトの罠

 埼玉・武蔵浦和。午後の曇天は重く、街路樹の葉がじっとり湿っていた。

 その空気の中、十八歳の小野晃毅こうきは、スマホを握りしめていた。

 アルバイト募集アプリの画面には、眩しいほど高額な報酬が並ぶ。

「一日三万円……報奨金あり。交通費全額支給?」

 画面を見つめたまま、呟く。

 母は数年前に亡くなり、父は研究所に籠りきり。家計を支えてくれているのは姉・リナだった。服飾店スタッフとして働き、朝も夜も笑顔で頑張っている。

 ――そんな姉に、負担をかけたくない。

 その一心で、晃毅は“闇バイト”という言葉を深く考えなかった。

「やるしかねえよな……」

 駅前で待ち合わせた連中は、同じくらいの年の若者ばかりだった。

 だが、彼らの目は妙に虚ろで、口数も少ない。

 黒いワンボックスに乗せられ、目隠しをされる。

「はいはい、これからが仕事な。余計なこと考えずに指示だけ聞け」

 ドスの利いた声。

 晃毅の胸に、不穏なものが広がる。

 連れて行かれたのは雑居ビルの一室。二十人ほどが机に並び、電話やPCでひたすら詐欺を繰り返している。

 逃げ出す隙など、どこにもない。

 だが、晃毅はある時、外へ出される瞬間を掴んだ。

 老人から現金を受け取る役にされ、銀行前で車から降ろされたのだ。

 紙袋を渡される直前――晃毅は走った。

 脇目も振らず、全力疾走。

 背後から怒号。車のドアが開く音。

 必死に走り抜け、街の雑踏に紛れ、どうにか振り切った。

「……はぁ、はぁっ……!」

 逃げ込んだ先は、姉・リナのアパート。

 玄関を開け、床に崩れ落ちる。

「コウキ!? どうしたの、その顔!」

 シャワーから出たばかりのリナが駆け寄る。

 晃毅は涙交じりに状況を吐き出した。

「闇バイトに……気づいたら、詐欺の手伝いを……逃げられないんだ! もし通報したら……殺される!」

 リナは奥歯を噛みしめた。

「バカね……どうしてそんな危ないのに……」

「知らなかったんだよ! 日給三万って言われて……!」

 二人の会話を遮るように、インターホンが鳴った。

 晃毅は反射的にモニターを覗く。

 ――宅配ピザ。

「やっと来たか……腹減った」

 だが、その後ろ。

 黒スーツの男たち四人が、じっとカメラを見上げていた。

 ドアが開く瞬間、部屋に土足で踏み込む影。

「よォ、兄ちゃん。元気そうだな」

「――っ!」

 晃毅は声を失い、リナは驚いて叫んだが、口を塞がれる。

 黒いワンボックスに押し込まれる。

 ピザ配達員は金を握らされ、恐怖のまま立ち尽くすしかなかった。

________________________________________

 車が止まったのは、見沼田んぼ。

 外灯もなく、夜の闇は深い。

 男たちがスコップを取り出し、土を掘り始める。

「……ここで終わりだ。二人まとめてな」

 袋を被せられた頭の中は暗闇。

 リナは必死に暴れるが、腕は縛られ、声も出ない。

 土の匂いが鼻を刺し、冷たい粒が肌を叩く。

「やめろ! 姉ちゃんに触るな!」

 晃毅の叫びは虚空に吸い込まれ、笑い声でかき消された。

 スコップの音。

 土が崩れる。

 覆いかぶさる闇。

「埋めちまえ」

 最後に聞いた言葉だった。

________________________________________

 ――翌朝。

 農道を犬を連れた老人が歩く。

 犬が突然、激しく吠え、茂みへ駆け込んだ。

「どうした?」

 犬が掘り返した土の中から、青白い指が覗いた。

 そして、かすかに動いた。

「人だ! 誰か、救急車を――!!」

 遠くでサイレンが鳴り響き始める。

 リナと晃毅の運命は、ここで大きく動き出す。



ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

リナやコウキ、将武、そして八咫衆たちの物語は、まだまだ始まったばかりです。


感想やブックマーク、レビューをいただけると、執筆の大きな励みになります。

「続きが読みたい!」という声が、次の展開を加速させてくれます。


次回もぜひ楽しみにしていてください。

——リナの戦いは、これからさらに加速します!

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