私達の作戦①
翌日、勝負開始から六日目の朝。
「いやー、やっぱお前らって双子なんだな。完璧な変装だ。お前はソラで合ってるんだよな?」
「はい、ソラですけど……。急にお姉ちゃんの服を着ろってどういうことなんですか?」
「お前には囮になってもらう。ヒナタの格好で例の妨害を引き付けて、その間にヒナタは魔獣を狩る」
「なるほど……、私に上手くできるでしょうか………?」
「確かにお前の飛行魔法はヒナタに比べてまだ拙いが………、まあ、見た目の偽装が完璧過ぎるから、相手も多少の違和感は見逃してくれるだろ。それに、」
ミヒロさんが私の肩に手をポンと置いて言います。
「ここ数日、お前は訓練をよく頑張ったんだ。自信を持って堂々としてろ」
「……はい」
………急に飛行魔法の練習を始めると言い出したときはどうなることかと思いましたし、練習中には一歩間違えれば死んでいたような事故もありましたけど……いや、ほんとに危なかったな………。
とにかく、今の私は飛べるんです。ミヒロさんの言う通り、堂々としていれば相手を欺けるはずです。
……あれ?
「あの、ミヒロさん」
「どうした?」
「急に飛行魔法の訓練を始めたのって、この事態を見越して……?」
「ああ、そうだな。自分が妨害を受ける分にはある程度対処できるが、ヒナタへの妨害はどうしようもないからな。もしそうなった場合は最初からお前を囮に使うつもりだった。………正直、お前に飛行魔法を仕込められるかどうかは賭けだったけどな。どうやらお前は一度コツを掴めば一気に上達するタイプらしい。おかげでこの勝負、なんとかなりそうだ」
「あ、ありがとうございます。えへへ」
褒められちゃった。
「……それにしても遅いな」
姉が事務所になかなか降りてきません。
私が着替えるとき、エミさんに部屋の外に連れられて行ってましたけど………。
「あの、ミヒロさん」
「どうした?」
「そういえば、ミヒロさんってお姉ちゃんと私のこと間違えたことないですよね」
「そりゃあ、お前らが見分けがつくように姉妹で髪型変えてるからだろ、表情も、口調も全然違うし」
「それでも、エミさんはたまに間違えちゃうんですよ?両親も半年に一回は間違えます」
「安藤さんはまあ、ふとした瞬間に間違えることもあるだろ。親御さんについては………、そもそも自分とお前らとの付き合いは半年も経ってないからな」
「あ、そうですよね。じゃあ、これから先、間違えることもあるかもしれませんね」
「かもな」




