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月下の光芒  作者: チェックメイト斉藤
魔獣駆除組織スペース
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リハビリ②

「ガウッ!!」


「うわあああああ!!あっぶない!!」


 飛び掛かってきた犬の魔獣を間一髪でしゃがんで避けました。


「思ってたより早く辿り着かれたな」

後から事務所から出てきたミヒロさんは呑気そうに言います。


「ちょっと!!何なんですかこれ!?」


「犬の魔獣だな。犬種は………柴犬か?」


「見れば分かるんですよ!!そんなことは!!」


「訓練用にここまで誘導してきたんだ。リハビリに手頃な相手だと思ってな」

だから急いでたのか………。


「まあ、危なかったら助けてやるから、とりあえずやってみろ」


「えぇ………」

危なかったらって……。

さっき、初手で死にかけたんですが。



……とにかく、今はやるしかなさそうです。

一度、猫の魔獣も倒したことがありますし、そのときとそう勝手は変わらないはずです。


 対魔獣戦の基本は、『攻撃を避けた隙を突く』こと。

防御魔法で身を守りながら、攻撃のタイミングをよく見て………躱す!

そうして生まれた隙に杖に魔素を集中………。

よく狙って…撃つ!


「当たった!」

運良く頭に命中させることができました。

頭が吹き飛んだ魔獣は数歩こちらに歩くと電池が切れたおもちゃのようにパタリと倒れました。


「なかなか筋が良かったな。魔法がろくに使えなかった最初の頃が嘘みたいだ」


「あ、ありがとうございます」


「それじゃ、殺したあとはフィルムで血を取っとけ。死体は数時間で風化して消えるから、忘れないようにな」


「へぇ……、消えるんですか」

死体が数時間で消えるなんて、とても不思議です。

…都合の良い設定のような気もしますが。


「そういえば、お前、こういう死体とか見てて平気なの?」


「えぇ、まあ、ちょっと気持ち悪いですけど……」


「へぇ、双子なのにほんと姉とは全然性格違うのな」


「お姉ちゃんはどうだったんです?」


「最初は視界にすら入れられなかったし、見たら見たで吐いたりしてたな。お陰でズボンと靴が汚れた」


「それは……、ご迷惑をお掛けしました………」


「今は多少慣れたようだが、無理をしてることもあるかもしれない。気にかけてやってくれ」


「え、はい」

急に優しさ見せてくるなこの人……。

さっき朝一で魔獣をけしかけてきた人と同一人物とは思えません。



「さて、無駄話は終わりだ。次が来るぞ」


「次?」


ミヒロさんが指差す先、先程とは別の犬の魔獣が現れ、こちらに気付くと攻撃態勢をとります。


「えっ、なんで」


「群れを一匹ずつ時間差で来るように誘導してるからな。あと七、八匹は来るんじゃねぇかな」


「もぉおおおおお!!!!何なんですかそれ!!!!っていうか、そんな器用なことできるんですね!!!!最悪!!!!」



地獄のリハビリはしばらく続きました。

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