表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月下の光芒  作者: チェックメイト斉藤
魔獣駆除組織スペース
44/124

事情聴取②

────パークス事務室にて。


「では、まず、こちらの状況から説明するっすね」


稲鶴と向かい合う形でパイプ椅子に座る。


「今朝、岐阜県警からパークスに連絡がありました。」


「岐阜?」


なんでそんなところから。


隣を見ると、ヒナタがさっきより更に気不味そうな顔をしていた。


「はい。捜索していた行方不明者………『犬井ヒナタ』のスマホからパークスへの加入手続きの記録が見つかったから、こちらに所属していないかという問い合わせっすね。ソラちゃんからヒナタちゃんのことは聞いてたっすから、スペースのとこの子だっていうのはすぐ分かったっすけど、パークスに加入手続きがされてたっていうのが気になって調べてみたら、確かにパークスのホームページから仮登録がされてたっすけど、加入日当日に防衛区には来なかった。要するに"ばっくれた"という扱いになってるんっすよ」


「ん?ちょっと待て」


「どうしたっすか?」


「防衛区に来てないはずはない。自分が二人を拾ったのは防衛区の中だ」


「拾った……?」


「………あぁ、魔獣に襲われてるとこを助けて、スペースに連れて帰った」


「それで二人はスペースに加入したと?」


「……まあ、本人の希望もあってだな……。元々パークスに入る予定なのも知ってたが、そっちに連絡はしなかった。申し訳ない………」


なんか今日は謝ってばっかりだな………。

もちろん自分が悪いのは分かってるが………。


「……ヒナタちゃん達がなんでスペースにいるのかはわかったっす。でも、おかしいっすね。隊員は応募者の加入日に、護送のために防衛区の入口で応募者を待つ決まりっす。記録によれば、加入日になっても二人は現れず、連絡先に電話しても繋がらなかったと………」


そこは自分も疑問に思っていた。


あの日、ヒナタとソラはたった二人で魔獣から逃げていた。


パークスに入る予定だったなら、パークスの隊員が二人の護衛をしているはずなのに。


稲鶴と首をかしげていると、ヒナタが恐る恐る手を上げた。


「えっと……、実は私達………二週間遅れで防衛区に来てて………」


「二週間!?」


稲鶴が素っ頓狂な声を上げる。


「えっと……ミヒロさん………、二人を拾ったっていう日は何月何日か覚えてるっすか…………?」


「正確な日は覚えてないが……、確か三月末頃だったか……」


「あー………、ヒナタちゃんの加入予定日は三月九日っすね………。なるほど……。」


それを聞いて、稲鶴は苦虫を噛み潰したような顔で天を仰いだ。


「……で、どうしてそんなに遅れちゃったんすか?」


稲鶴の疑問にヒナタが答える。

「えっと……、二月に岐阜で地震があったのは知ってる……?」


「あー……あったっすね。……そうか、ヒナタちゃんは岐阜県出身っすよね」


自分も地震があったのは知っている。

確かそこそこ大きな地震だったはずだ。

ここに来た理由は、もしや地震絡みだったりするのか。


「地震のせいで中学校の卒業式の日が変わって………。連絡しようとは思ったんだよ?でも、避難先でスマホも無くしちゃって………」


「そういうことっすか……。加入日に現れなかった理由は分かったっす。じゃあ、次の話に移るっすよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ