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月下の光芒  作者: チェックメイト斉藤
魔獣駆除組織スペース
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帰宅

 ようやくパークス本部の用事が済んだ。

ラボに戻ったら気の済むまで惰眠を貪ってやろう。


何重にも仕掛けた罠を慣れた足取りで通過していく。


「おや……?」

地雷の罠が発動している。


掛かったのは魔獣……ではないようだ。

燃え尽きた機械のフレームがあたりに散らばっている。


「………何があった?」


廃棄したロボットが誤作動でも起こしたのか、ラボは無事か?

早歩きでラボへ向かう。


ラボの前の空間は元々散らかってはいるが、それとも比較にならない程に荒れ果ててしまっていた。

ビームでも撃ったのだろう。黒い焦げ跡がミミズが這った跡のように辺りに残っているし、至るところでガラクタがパチパチと音を立てて燃えている。

それに、飛び散った瓦礫の山がラボの出入り口を完全に塞いでしまっていた。



「………な、何じゃぁこりゃぁぁあああああ!!!!」


ラボの主、北条サヤの絶叫が木霊した。







 無事………ではありませんが、スペースの事務所前に戻ってきました。


「じゃあ、自分はこれから仕事だから」


「そんな怪我で大丈夫なんですか!?」


「平気だって言ってるだろ。何度も言わせるな。………今日は疲れたろ。ゆっくり休め。あとしばらくスペースには帰らないから、よろしく」


「えっ、何で?」


「安藤さんにこんな格好見せたら卒倒するからな。傷がある程度治るまでは戻れん」


頭をポリポリと掻きながら、そう言いました。

確かに改めて見ても酷い有り様です。こうして普通に会話しているのが不思議なくらい。


「お前らもあちこち擦りむいてるみたいだから、安藤さんに何か聞かれたら適当に誤魔化しといてくれ。」


「わかりました」


「……今日は迷惑かけた。それじゃ」


そう言って、ミヒロさんは自室へ行ってしまいました。


「はぁ〜、今日はほんとに大変だったね。死ぬかと思った」


「そう言う割には、なんか声が楽しそうだよ」

私はもう今日みたいな出来事は二度と御免ですが。


「え〜、そう〜?アハハ」


ほんと、何考えてるんだか。


「ミヒロさん、いい人だよね」


「………うん、まあ、いい人……だとは思うけど、どしたの急に」


「私、ここに入って良かった!」


さっきまで『大変だった』って話をしていたのが、急にそんな明るい笑顔で『入って良かった』なんて言うから、それがちょっとおかしくて、普通なら私は怒るとこなのに、


「ふふっ、意味わかんない。おかしいよ、お姉ちゃん」


「えへへ……」


今日の出来事を経て、少しおかしなテンションになっていたのかもしれません。

しばらく夕焼け空に笑い声が響いていました。









翌朝。

「ふぅ、今日はこんなもんか」

日が昇ってきた。夜間に出現した魔獣も大体狩り尽くしただろう。


〈ミヒロちゃん、お疲れ様〉

通信機からは安藤さんからの労いの言葉が聞こえてくる。


「お疲れ様」

こちらからも労いの言葉を掛ける。


「あ、そうそう。自分、今日から二、三日は帰らないから」


〈あらら、何か用事?〉


「うん。ちょっとラボにな」

まあ、用事があるというのは嘘なんだが。


〈了解。サヤちゃんによろしくね〉


「はいよ。」


通信を切り、ラボの方面へ向かった。

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