『お掃除』ロボット③
急な展開に思考が追いつきません。
ただ大きいだけのロボット掃除機だと思っていたルンパが電撃や光線を放ってきて、それをミヒロさんが受けきって………。
いや、なんで耐え切れるんだよ。
意外にも、冷静に突っ込める余裕が私にはあるようです。
そんなこんなで今はミヒロさんに抱えられ、運ばれています。
ルンパからある程度離れたゴミ山の影に辿り着くと、ふっと私達を抱えていた腕の力が抜け、地面に放り出されてしまいました。
そのままその場に倒れ込むミヒロさん。
「いてて……。ね、ねぇ………、大丈夫?ミヒロさん……?」
姉が心配そうに声をかけます。
「…………あー、疲れた。お前らこそ、怪我は大丈夫か?」
投げ飛ばされたときに全身を強く打ちつけて、あちこち擦りむいてしまいましたが、感電してしまうよりは遥かにマシだと思います。
というか、普通に喋ってますけどミヒロさんの方が遥かに重症です。痛々しくて目も当てられません。
「いえ、これくらいなら全然平気です。助けてくれてありがとうございます」
「はぁ、なら良かった。今、ロボットはどうなってる?」
物陰から恐る恐るルンパを観察します。
「……私達を探してるみたいです。それと、さっきのビームで砲門が溶けてます」
「攻撃は一発限りだったわけか。それなら大丈夫そうだな」
「何が大丈夫なんです?」
ミヒロさんがポケットからスマホを取り出し、私達に手渡しました。
「その地図アプリにここに来るまで通ったルートが記録されてるから、それ辿って先に戻れ」
「えっ、ミヒロさんは?」
「この通り、しばらく動けそうにない」
自らの脚を指差すミヒロさん。
さっきの電撃の影響か、脚が、いや、脚とそれを指差す腕も小刻みに震えています。
「で、でも、こんなところに置いてくなんて」
「平気だ。数十分経てば動けるようになるし、光線が使えないなら、大抵の攻撃はどうとでもなる。それに、お前らが一緒にいる方が余計に危ない。」
「………わかった」
「ほら、行くよ。お姉ちゃん」
「あ、そうだ。先に帰っても安藤さんにはこのこと言うなよ?余計な心配掛けたくないから」
「えっと、エミさんですよね?わかりました」
「ほら行け」
しっしっと手を振って、こちらを追い払うような仕草。
それを合図に姉の手を引き、その場を離れました。




