第九話 「千歳の居場所」
第九話 「千歳の居場所」
俺達は千歳のマンションを後にした
そして俺は連と別れたあと自分のボロアパートに帰ってきた
部屋に帰ると俺はカバンからスマホと小さなメモ帳をひっぱりだして
忘れないうちに今までわかったことを整理した。
あの千歳のマンションで若いカップルから聞いた僅かな千歳の情報を
俺はメモ帳に書いた。そしてそれをズボンのポケットに入れた
次の日俺は大学の教授の部屋にいた
「秋山千歳さんのことで話があります」俺が言うと
「ああ、君か。なんだね?」教授は俺に聞いた
「秋山千歳さんが退学したというのは本当ですか?
それで住んでいたマンションも退去してどこにいったのか
教えてもらいたいのですが・・・」俺はポケットから昨日書いた
メモ帳を取り出した。
「実は秋山千歳さんのマンションの部屋の隣に住んでいる住人に話を
聞いたところ、数か月前に父親が千歳さんとマンションの
千歳さんの部屋で揉めていたみたいで
その父親との会話の中で教授のことを言っていたみたいで
もしかしたら教授と千歳の父親は知り合いなんじゃないかって・・・」
俺がメモ帳を見ながらいうと教授の顔つきが変わった・・
「・・・君はどこまで知ってるんだ?」
「いえ・・住人に聞いた話だけです。俺が知ってるのは、今話したことだけです・・・」
俺は言った・・・
教授は少し黙ったまま窓の外を眺めていたが・・・
「確かに・・千歳さんのことも千歳さんの父親のことも
私は知っている・・・。秋山千歳さんの父親と私は学生時代の
同級生でね。彼が千歳さんをこの大学に入れたがっていたことも
知ってるし、千歳さんが大学を退学した理由
そして今、千歳さんがどこにいるのかも知ってる・・・
だが・・これは個人的なプライベートなこと・・
大学の学生の君には守秘義務があるのでこれ以上は話せません」教授はそれだけ言った。
俺は「俺は・・秋山千歳さんの恋人でどうしても彼女に会って話したいんです
守秘義務なのは十分わかってます・・だけどこのままではいられません
お願いします。千歳さんの居場所を・・せめてどこにいるのか、彼女は無事なのか
だけでも教えてもらえませんか?」俺が言うと
「君、ちょっと静かに。他の人に聞かれるとまずいから!」教授は焦りながら俺に言った
俺は気がつくと自分でも驚くような大きな声をあげていたことにはっとして
「すみません」と言った
「・・・・彼女は無事だよ。今は父親と隣町で暮らしている」
教授はそう俺に教えてくれた
つづく