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幸福な時間  作者: 悠木 泉
2/18

試験

 受験番号の貼られた席に着く。まず教養についての筆記試験、知能テスト、作文それらをクリアしたら、2次試験の面接、それも、クリアしたら最終面接へ。まだ道のりは遠いがやりがいもある。国立大学に入り優秀な成績を誇っているし、スポーツ万能、おまけに容姿端麗、頭の回転も早く、人付き合いもそこそこ上手いとくれば、合格しない方がおかしい。きっと通る。オレは自信を持っていた。

 1週間後に会社から、2次試験合格の知らせが届いた。

あとは最後の2回目の面接試験のみ。1回目の面接では見た目とか、人に与える印象とかを重点的に審査したと思う。次は仕事に対しての考えや取り組みかた、意欲などを見ると思うので、自分で訴える内容を吟味して、文章にまとめ頭に入れる。でも、決して棒読みにならないように、ごく自然に、それでいて淡々とならないように情熱も感じて貰うようになど。考えたら切りがない。一度飲み込んだものを、その場で吐き出す感覚で行こうと決心する。

 最終面接試験で、配属先に希望はあるかと聞かれて「一番成績の低い課を希望します」と答えた。何故かと理由を尋ねられたので、「成績をアップさせることで、私の力が発揮出来ますし、そうなれば如実に力量が証明されますから」と答えた。「その為の具体的なプランがあるのですか?」「それはありますが今は言えません。貴社の一員となりました時、詳しく話したいと思います」

 かなり、強引だったけれど強いインパクトを与えたとは思う。その強気が効いたのか狭き門を突破して、オレは

念願通り誰もが知っている有名大手商事会社「五星商事株式会社」の内定を勝ち取った。

 来年の春まで少しのんびり出来るが、これからは大学の卒業論文を仕上げることに専念する。それが終われば残り少ない学生生活を楽しもうと思っている。両親はすでに亡く、二人が建てた借家からの家賃収入で細々と暮らし、大学に行き、大手商事会社に入り出世して、地位と財産を築くのが夢。そのために全力を注ぐつもりだ。

 年が明けて4月。オレは入社した。新入社員は45人で30人は男性。皆、国立、私立も含めて一流大学卒ばかり。この中から身体一つ、いや、頭一個分でも飛び出さなければならない。競争は始まったばかり。サイは投げられた。

 

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