豆乳牛乳からの、どら焼き
反抗期が来ても、こんな時もあったのね。
と思い出せれば怖くない。
「豆乳買うから、覚えといてね」
毎週恒例の土曜日の買い物。久しぶりに息子がついて来た。
だから、買い忘れそうな物を覚えてもらう事にした。
いつも買っている物は買い忘れないけど、イレギュラーな物は忘れがち。
紙に書いておけばいいんだけど、覚える物が一つ二つだけだと、なんか書いたら負けな気がする。
だから一緒に買い物に行く人に覚えてもらう。でも人に話すと、だいたい自分でも忘れないんだけどね。不思議だ。
旦那が車を運転して、後部座席に座った私と息子。
「豆乳とか牛乳って、甘い物食べる時に飲みたくなるよね」
「牛乳っていえば、ママの好きな声優さん、この前テレビで牛乳好きって言ってたよ」
「知ってるぅ」
「あれだけ牛乳好きって言ってたら、CMナレーションの仕事来そうじゃね?」
「それ! やってほしいワァ」
「ぎゅうにゅ〜は、おいしいぃぃ〜」
「それ、ママの味のやつでしょ」
「バレたか」
小学生の息子と私は仲が良い。いまに反抗期が来るとか信じられない。
でも、もし来ても大丈夫。幼稚園の時にママと離れたくなくて『ママがいなくて、さびいしからぁ』って言ってくれた動画がスマホに残ってるから、それ見て乗り切れるって信じてる。
「でも、牛乳は給食で毎日飲んでるから飽きたな」
「冷たい牛乳は美味しいよ。給食では一番最初に一気に飲んでたなぁ」
「最後に飲む」
「えー! 牛乳ぬるくなるじゃん!」
「ならないよ、給食食べるの早いから」
「ご飯と牛乳って一緒は嫌じゃない?」
「大丈夫だよ。ママもホワイトシチューとご飯で食べてるじゃん」
「ホワイトシチューは牛乳使った料理だから大丈夫なの。牛乳そのままは無理。ホットミルクも無理」
自分は、あまり食べ物の好き嫌いはないと思っていたけど、食べ物の組み合わせとか調理法には、こだわりや好き嫌いがあったらしい。
息子との会話で、新たな自分を発見した。
「シチューはパンでもいいけど、カレーはご飯で食べたいんだよね、米粉パンの時にカレーが出るとムカつく」
「カレーパン食べるじゃん」
「ちょっと違う。学校の米粉パン少し硬いから、コンソメスープにつけて食べたい。逆にご飯の時にスープ出ると残念」
息子もそーとー食べ物の組み合わせに、こだわりがあるみたいだった。知らなかった。
給食食べてる所なんて、あまり見る機会ないからね。
「カステラ、どら焼き、ホットケーキは、間違いなく豆乳か牛乳飲むよね」
「いつも、ママが飲めって出すから、選択権がない」
「じゃあ、本当は何が飲みたいの?」
「……何でもいい」
「じゃー牛乳か豆乳でいいじゃん。その時、冷蔵庫に入ってるのを飲もうよ」
あれこれ話しているうちに、車はスーパーに到着した。
そして、久しぶりに息子と一緒に買い物をした。
買い物から帰ると、エコバッグの中にどら焼きが入っていた。
買う時は無意識に選んでいたけど、後から考えてみれば、間違いなく息子との会話に影響された予定外の買い物だった。
「どら焼き買ったんだけど、半分こする?」
「うん!食べる! ……飲み物は?」
「「豆乳!」」
ここまで読んで頂きありがとうございました!
会話が微妙に繋がってない所がありますが、かなり忠実に思い出してそのまま書いたので…
話した内容に明確な答えが返ってこないあたりが、母と息子のリアルです。
意外と落ちがついた話を息子としてました(笑)