依頼、受けました
その後は魔物も盗賊も出没することはなく、俺達は目的地であるアリアドの街に到着した。
オビウムの街よりいくらか強い魔物が出るため、武者修行には丁度いいだろう。
魔族が魔王の復活を待つ、彼らの住処である魔領へも一歩近づいた。
宿も早々に見つかり、一夜を明かしてからギルドで討伐任務を受けて、俺とテムはコボルドの群れと戦っていた。
と、言っても俺はほぼ見ているだけだが。
テムも危なげなく数体のコボルドを相手取り、順調に撃破している。
その太刀筋には驕りも、逆に不安も見られない。
この調子だとこの街を離れる日もそう遠く無さそうだ。
日が暮れる頃には、コボルドの討伐部位──体内の小さな魔石は大きな袋いっぱいになっていた。コボルドは人間と比べ背丈こそ小さいが、人間のように連携して戦うことが多く、 何より数が多い。
多数を相手取る戦闘のシミュレーションにはうってつけの相手だ。
「よし、お疲れ様。帰ろうか」
「ええ。どうでした?」
剣を鞘に収めながら、テムが俺に尋ねる。
「悪くなかった。もう少し強い魔物に挑戦してもいいかもな」
強いて言うならまだ少し力みが残っていることくらいだが、これも慣れていくうちに解決していく問題だろう。
「本当ですか。嬉しいです。前ならきっと、こんなに強くなれなかった。なろうとも、なれるともきっと……」
「なれるさ。今日だって予想以上の収穫だ。」
と、魔石を入れた袋を揺らす。
今日はほとんどの敵をテムが倒したため、売却益は彼の総取りでもいいな、と思った。
ギルドに戻り魔石を換金すると、受付嬢が俺達に相談を持ちかけてきた。
「お二方、調査の依頼を受けてはいただけませんか?」と。
曰く、廃坑となった鉱山のある洞窟から、時折強い魔物が現れるのだという。
調査に向かった職員も、その後調査を依頼した冒険者も帰ってこなくなったらしく、確実に何かよろしくないものがあるというのがギルドの見解らしい。
そのよろしくないものの有無、あるいは正体を見極め、あわよくば解決してくれ、と。
「無理を承知でお願いいたします。危険な調査ではありますが、ひいては街の存亡に関わるものです。他の方にも頼んでは見ているのですが、やはり実力のある方にお願いしたいのです」
受付嬢は神妙な面持ちで頭を下げた。
「レイノスさん。受けましょう。」
テムは即答した。
「いいのか?危険かもしれないぞ」
「でも、困ってる人達を放っておくわけにはいきません。これでも勇者ですから」
テムがそう言うなら、 俺に止める理由は無い。
「わかった、行こう」
俺達は依頼を受諾し、洞窟の地図を受け取った。




