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合理的解決

「レイノスさん、起きてください。」

テムの声で目が覚める。夢も見ないほどにぐっすりと寝ていたらしい。

「おお、帰ったのか、テム……」

寝ぼけ眼を擦り起き上がると、目の前には頬を染めた青いワンピースの少女がいた。

「ど、どうでしょう……?さすがに少し恥ずかしいですが……」

「その声……テムか。驚いたな」

「テムさん元々の顔立ちは良いですもの。ちょっとお化粧してウィッグを被せて体のラインが隠れる服を着れば十分誤魔化せますわよ。さすがにこんな可憐な乙女がテムさんだとは思わないでしょうし、あまり話さなければ問題ありませんわね」

ステラは自慢げだ。

確かに彼女の言う通り、テムのこの格好にはなんの違和感もない。

これなら王の前でもそうそう分からないだろう。

目の前の恥じらう少女が死んだはずの勇者であるなど考えもするまい。

「な、なるほど。これで解決……なのか?」

「ええ。幸い戸籍に使った名前も男女共に使われる名前でしたし、運が良かったですわね。ギルドも明日から再開するようですし、貰うものを貰ったら王都に行きましょう」

「ああ、準備をしておかないとな……」

「テムさんの着替えも買わないといけませんわね」

と、ステラは嬉しそうに言っているが、テムは露骨に嫌そうな顔をしている。

「悪いな、テム。他にいい手を思いつければ良かったんだが」

「大丈夫……です。でもこれでもし看破されて、それがガルデアさん達に伝わったら……」

「その時はその時だ。ま、なんとかなるだろ。上手くいかなかった時の話をしても気が滅入るだけだぞ」

「そうですね……」

「と、言うわけでやることは決まったな。馬車は取っておくから、テムとステラは買い出しを頼む。金はあるか?ないなら小遣い位は……」

「お気遣いなく。わたくし、カジノでそこそこ稼ぎましたの」

「あー……そういや調子良かったもんなぁ……テムは?」

「最後の最後で水の泡になってましたわ」

テムの顔が青ざめる。思い出したくない負け方をしたらしい。

「よし、テムにはちょっとお小遣いをあげよう」

「ギャンブルで負けた子にお小遣いはちょっと甘やかし過ぎじゃありませんの?」

「いいんだよ、仕方ない事態なんだから」

俺は財布からいくばくかの金を出してテムに握らせる。

「あ、ありがとうございます」

「先が思いやられますわね……さ、行きますわよテムさん。服は奢ってあげますから、試着に文句言わないでくださいまし」

ステラに引きずられ、テムは部屋を出ていった。

「さて、と。」

馬車を予約しにいくか、と荷支度をしていると扉が叩かれた。

「レイノスさん、先日はどうも」

立っていたのは昨日と同じく鎧の若者だった。

「ああ、どうも。何か御用でしたか?」

「ええ、出発のご予定日をお聞きしようと……お出かけですか?」

「馬車の予約を取りに行くところで……」

「馬車、ええ。ちょうどそれをお伝えしに来たんですよ。馬車はこちらで用意させていただきます。あなた方は賓客ですので。いつ頃が宜しいですか?」

と、若者はとんとん拍子に話を進め、明日の夕方に馬車に乗ることになった。

時間がぽっかり空いたな。暇だ。


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