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問題、起きました

街に帰ったギルドに黒い球を引き渡し、再調査の報告を終えた。

あとは報酬を受け取るだけだが──妙に向こうの手続きが長い。

報告が完了してからかれこれ30分は待っているが、一向に受付嬢が戻ってくる気配はない。

普段なら5分とかからず報酬を渡してくれるのに、何かあったんだろうか。

それからさらに10分ほど待ち、ようやく受付嬢が戻ってきた。

「あの、申し訳ございません。お手続きに時間がかかってしまいまして……」

「かまわないが……何があったんだ?」

「申しあげにくいのですが……テム様のギルドカードが、どういうわけか無効になっております」

テムのギルドカードが無効?

何故だ。

ギルドカードは認識票とともに冒険者の身分証としても用いられる、会員証のようなものだ。

それが急に無効になる原因はそう多くない。

身分証でもあるぶん、無効になると生活に支障をきたものであるし、なによりギルド側が無効化の手続きを積極的に行うことが少ないからである。

依頼の不履行や、多額の借金、あと往来で暴れることや市民からの略取など犯罪行為が続くとギルドカードが停止され晴れてお尋ね者の仲間入り、となることは稀にあるがそれも警告無しに一発となると、複数人の殺害や文化施設の破壊など、普通に死罪になるような犯罪を犯した場合くらいだ。

「テム、お前なんかやらかした?なんかこう……図書館爆破したとか……」

「いえ……全く身に覚えがありません」

「だよなぁ」

「テムさんは臆病なきらいはありますが、罪を犯すような方ではありませんわ。それにここ数ヶ月はお二人とも、常に行動を共にしているのでしょう?」

ステラの言う通り、ここ数ヶ月テムは俺と一緒にいるのでもし何かやるとしたら宿屋で俺が寝ている時に抜け出して何かやってるのかもしれないが、いつもへとへとになって泥のように眠ってる彼にそんなことをしている余裕は明らかにない。

「原因は問い合わせ中ですが──停止の原因がわかり、手違いであれば停止を解除してからしかテム様の分の報酬のお支払いが出来なくなってしまいまして……」

申し訳なさそうに受付嬢は続ける。

「問題が解決するまでもうしばらく、この街にご滞在頂けますか?」と。


「すみません、僕のせいで……」

ギルドから出た俺たちに、テムが申し訳なさそうに言う。

報酬は俺たちのものをとりあえず3分の1ずつテムに分けた。

彼は受け取りを渋ったが、働いた分の金が払われないのはよくない。

ステラも同じ意見なので、半ば無理やりテムに分け前を押し付けていた。

「気にするな、テムのせいじゃない。なんにせよ急に休みが出来たんだ。しばらく羽を伸ばそう」

「そうですわよ。数日すればきっと停止も解除されますわ。御安心なさいな。今やるべき事は体を休めて次の戦いに備えることですわよ」

「そ、そうですね……ゆっくり休みます……ありがとうございます」

「ここんとこ根詰めっぱなしだったからな。明日どっか連れてってやるよ。とりあえず明日のことは明日考えるとして。今日はもう帰ろう」

「そうですわね。あ、そうだ。わたくし、あなた達と同じ宿に泊まることにしましたの。同じ旅の道連れですもの、宿が近い方が便利ですわよね。部屋が決まったら番号教えておきますわ。明日遊びに行くのでしたら誘ってくださいまし」

「ああ、それは助かる。朝方起こしに行くよ」

とりとめのないことを話しつつ、宿の部屋に戻る。

さて、明日どこか連れてってやると言いはしたが、どこに行けばいいだろうか。酒場とか絶対違うし、色町もなんかまだ早いし、カジノは論外だし。

明日急にサーカスでも来ないだろうか。







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