『聖女』ってなんなの?
『聖女』ってなんなの?
『勇者』『賢者』がハイファン御用達筆頭とすれば、『聖女』は悪役令嬢と並ぶ異世界恋愛の双璧であると言えるでしょうか。
大体、追放されて国が亡んだりする原因になる凄い人ですよね。魔物に歌を聞かせて魔王の国と仲良くする聖女様もいたりして、この聖女様の設定は好きでした。
さて、『聖人』というものをご存知でしょうか。
みんな大好きWikiを参照すると……
『神聖な事績を成し遂げた女性を指す言葉、形容として使われる』とされています。
更に詳しく述べるとすると
1)その社会において宗教的に敬虔であり、神の恩寵を受けて奇跡を成し遂げたとされたり、社会(特に弱者)に対して大きく貢献した、高潔な女性を指して呼ぶ。
例えば、日本の仏教説話などに出てくる女性の鑑のような人ですね。光明皇后の逸話に、病人の膿を吸ったら仏さまに変わったとか……そんなお話がある人物でしょうか。
2)宗教とは無関係に、「慈愛に満ちた女性」を指して形容し、賞賛する呼称。
慈善家・篤志家の女性でしょうか。ナイチンゲールあたりはそう呼ばれてもおかしくありません。
3)キリスト教では、女性の聖人を指す呼称。
一般的に聖女とは3)を指し示すことが多いと思われます。
【聖女って誰だよ】
代表的な存在としてお馴染みの『ジャンヌ・ダルク』がいます。ただし、彼女の場合、名誉回復が死後の25年後、そして、聖人に叙せられるのは1909年に列福、1920年には列聖され、フランスの守護聖人の一人となっております。約五百年というところでしょうか。
忘れ去られた存在であったジャンヌ・ダルクを思い出させたのは、英国と散々に戦ったナポレオンであったと言います。対英戦争の英雄を自らの戦争に利用しようとしたのでしょうか。
生前に列聖される事はありませんが、殉教した者の場合、五十年程度の期間を置いて『列聖』される事が多いようです。ちなみに、『列福』がノミネート、『列聖』が受賞のような関係だと思えば良いかと思います。
「いやぁ、ジャンヌさん、長い間ノミネートを逃しておりましたが、四百八十年ぶりにノミネートされました。この後、受賞は間違いないでしょう」
「ドイツとの戦争、共産主義との戦争において彼女の存在は必要不可欠でしょうから。今まさに、国を守るために列聖が相応しいでしょう」
その後、パリは降伏し、戦争には負けます。聖女って効果あるのかよ?とおもわないでもありません。
他にも、多くの列聖された女性が『聖女』とされていますが、その多くは殉教者、もしくは神の奇蹟を起した女性ですね。
また、『守護聖人』とされている人物も少なくありません。これは、キリスト教以前の女神信仰が『聖母マリア』に形を変えたように、その一部が『守護聖人』としての『聖女』に成り代わっている場合もあります。
言うなれば、女神の代替品です。表向き、異教の女神を拝むわけにはいかないので『守護聖人』として祀るわけです。本地垂迹的なにかですね。
【聖人の基準】
聖人は神と人間を仲介するものであり、その居場所は神のそばにあるとされています。つまり聖人は、この世ではなく天国にお住まいであると考えられることから、既にこの世にいない存在、死者であると考えられます。
これは、あくまでキリスト教の『守護聖人』のお話ですので、架空の世界における『聖女』というわけではありません。ですが、この『神と人との仲介者』という立場に注視すれば、その存在意義には大きな差がないかと思います。
その中で、守護聖人は特定の『職業』『土地』等を守護する役割を持ちます。とはいえ、多くはローマ時代やその後の布教活動で殉教した司祭や信徒を聖人に『列福』した場合が多いようです。
ですので、殉教者を出した場所は『聖地』として巡礼の対象となったりしますし、修道院や教会などが建てられる事も少なくありません。日本の宗教でも『法難』と表現したりする場合がありますが、同じニュアンスでしょうか。
日本では、「土地神様」といった土着の神様を祀る習慣がありますが、一神教のキリスト教では『異教』であるとされ破棄させられました。神社においては、表の神様は明治維新の際に定められた最新を祀りながら、奥社や脇社では元々の祀神を祀っている事は良くあることです。
その場所は元々、地元神様は祀られていた場所なのですが、新しく中央政府から派遣されたメジャーな神様が主に祀られ、地元の神様はその従神となる……
と似た形でしょうか。
ですので、そこにある『聖母マリア』であるとか『聖ペテロ』『聖ヨハネ』といった存在は表向きの存在であり、実際は別の神様を仮託して祀っている事も少なくありません。
どれがどれかって? それは内緒なのではないでしょうか。
金の斧と銀の斧のお話に出てくる泉の女神様のような存在が、ある程度信じられていたからこそ、メルヘンの題材となったわけでしょう。特にキリスト教の布教とゲルマン神話が併存していたドイツにおいては、キリスト教の祭祀の中にゲルマンの風習を混ぜている場合も見受けられます。




