皇子の覚醒
一紗に励まされた赦鶯は再び《天睛臥龍》との交渉に挑みます。
両陣営は再び『竜座』へと戻った。
皇族主流派は最後の交渉に臨む覚悟を決めた。排斥派は代表を決定し一丸となった。
会食の参加者は再び席に着く。最初に口火を切ったのは一紗だった。
「オイ、てめぇら《天睛臥龍》の中に皇子の暗殺を仕組んだ奴がいるな!? 城の時は証拠はなかったが、今回は証拠がある。側室の一人に〈混濁心操〉という術が掛けられていた」
黒蛇妖魔の死骸を机に置いて追求するも、当然下手人はすっ呆けた。
「何のことか分からぬな。確かに〈混濁心操〉は我ら妖混流の秘術。しかし、そちらにも妖混流の使い手がいるではないか」
締瓏はわざとらしく凛透に視線を送る。敢えて自分の縁者に疑いの目を向けて揺さぶり、自身は知らぬ存ぜぬで通そうというのだ。
「我々に濡れ衣を着せようというのか? ククク、浅はかなやつよ」
「おまっふざけん―――」
今にも殴り掛かる勢いだった一紗を赦鶯が手で制する。
「追求ありがとう。けどここで自白するような清い人間ならあんな下劣な真似はしないよ。今は置くとしよう。首謀者は尻尾を掴んで必ず処刑する」
皇子の強気な発言に頭領達は若干の反応を見せた。
「そもそも俺と赦鶯の婚姻が成り立てば《天睛臥龍》は和解するんじゃなかったのか?」
「その大義名分も既に役目を果たした。今話し合うことは別にある。そうだろう?」
声音が変わった皇子の発言を頭領達は無言ながら肯定する。
最早惡姫と皇子の祝言という名目は完全に忘れ去られていた。一紗の嫁入りの真偽によって和解が成立するかどうかの話し合いではなくなっていたのだ。
この場で決めることはただ一つ。皇族主流派と排斥派、紅・赦鶯と《天睛臥龍》代表者、どちらが【宍国】を統べる盟主に相応しいかである。
会食場は雌雄を決する最終討論の場へと変貌していた。
「それじゃ皇子。話し合いの再開といこうや」
「《天睛臥龍》の代表は嵌・雲讐、そなたに決まったか」
「あんまり驚かねーんだな」
「妥当な判断だろう。それに例え誰が代表に選ばれようとも玉座を渡すつもりはない」
赦鶯の顔つきは明らかに違っていた。同族で争うことに心を痛めて後手に回っていた弱腰の皇子の姿はなく、あらゆる清濁を呑みこみ国を統治する覚悟を決めた君主としての風格があった。その変貌ぶりに《天睛臥龍》の頭領達は驚きを隠せなかった。
(今までとはまるで別人じゃ。これでは先代、先々代領主と同じ……いやそんなはずが――)
(影武者でも立てやがったか? いや、アタイの龍の躰は奴が今までと同一人物だと訴えてる。どういうこった? 訳が分からん)
(温優にかけた私の術が解かれたことと関係している? いや、まさかな)
(氣の流れは変わっていない。変わったのは精神の方か)
(ここまでの風格があったのならもっと早くに見せていただきたかったですが……まだハリボテとも限りません。……雲讐さん、揺さぶってみてください)
頭領達の視線からその考えを察した雲讐は頷いて視線を赦鶯に戻した。
「オレらはそれなりの矜持があって皇族を排する立場をとっている。そこで、どうだ? 今から互いの言い分、領主として成すべきことを示そうじゃねーか」
頭領の中から代表者を決めたことと同じことを皇族主流派にふっかけようというのである。
既に一度議論し、互いの考えを共有していた《天睛臥龍》に優位だった。
「いいだろう。そなたがやりたいことを申してみよ」
「ああ。俺達の考える政策はこうだ……」
雲讐は代表選挙で話した時とほぼ同じ内容を訴えた。民族家柄に囚われない才能主義の教育制度。妖還製の武具を売買する経済政策。五大国と同盟を結び天下統一を目指す外交政策。
いずれも《天睛臥龍》のメンバーを驚かせ関心を惹いた演説である。
しかし、皇族主流派は大して驚いていなかった。
(どういうことだ? 実現性もあるし、天下統一は興味を持つ内容だろう!?)
皇族主流派が取り乱さない理由は事前に美鳳の暗躍があったためだ。
実は会議が始まる前、温優を連行した後に《天睛臥龍》の出方について相談していたのである。その際に「相手は天下統一を訴えてくるだろう」と美鳳が意見を述べていた。故に心構えをすることができたのだ。
討論では相手の虚をついてペースを乱すことが手法として用いられる。論破される側も実際は内容的に劣っていないのだが、予想外のツッコミを入れられて混乱し本来の主張ができなくなるのである。皇族主流派は心構えを持ってこの手法を打ち破ったのだ。
ここからは赦鶯のターンだ。
「嵌・雲讐。そなたの主張は見事だ。しかし一つ最大の問題点がある」
「なんのことだ?」
「そなたは相手を過小評価している」
赦鶯の指摘の意味が分からず雲讐は言葉に詰まった。彼は過信や慢心が酷いわけでもなく、実力が低い訳でもない。元《軍龍武臣》団長として、《嵌家》の頭領として恥じない実力と見識を有していた。故に「相手を過小評価している」と指摘されるとは思っていなかったのだ。それは他の頭領達も同じだった。
「そなたは確かに強い。……が、帝都を簡単に落とせる訳がなかろう。あそこには護帝覇兇拳の伝承者を筆頭に帝を守る猛者がいる。故に五大民族も放置しているのだ」
大陸を再統一する力はなくとも帝都一つを守り抜く力は残っている。皇族の赦鶯はそのことを深く理解していた。だからこそ帝位が力づくで簒奪されることがないのだ。それでも雲讐は自分の主張を曲げなかった。
「俺だって先代に仕えていた際、帝都へ行ったこともある! 妖還製の武器と【宍国】の全戦力であれば落とすのも決して不可能じゃねぇ!」
「では仮に勝てたとしよう。戦後【宍国】の兵力は疲弊している。その状況で他国に狙われたらどうする? 天下統一の前に格下の小国に敗れるやもしれぬぞ」
「そんなことは起きねぇ! それまでに《巫族》を強くすれば!」
「鍛えるというのか。だがその時間は等しく他国にもある。我々が力を蓄えている内に他国もまた牙を砥ごう。そして五大民族と結ぶという案は他国も当然頭に入れている。仮に【宍国】が【火国】と結べば、それに対抗して他国が別の五大国と結ぶだろう」
「ぐっ……」
「そもそも五大国も無思慮に受け身になってくれるはずがない。仮にも大陸最強の五国であるぞ。諸侯の動きに乗じて政策を変えてくるはずだ。こちらが動きを間違えれば【宍国】が属国化されることさえありうる」
討論の流れは完全に赦鶯が支配していた。相手の強きに呑まれず、政策の矛盾を的確について追及している。雲讐の主張は一見すると筋が通っているように見えるが、その実希望的観測に満ちていた。自国が動いている間に他国が全くリアクションをとらない、或いは【宍国】に都合がいいように動くと見なしてしまっている。
王者として覚醒した赦鶯の眼はその点を全て看破していたのだ。
あまりの別人ぶりに一紗は小声で美鳳に耳打ちした。
「なぁ、赦鶯に交渉術でも教えたのかよ?」
「いいえ、そんな時間はありません。アレが兄上本来の力ですよ。仮にも軍事大国の領主ですよ? 血筋だけでその地位には立てません。その片鱗を見ていたからこそ皇族排斥派も今日まで皇子の排除を躊躇っていたのだと思います」
一紗はまた胸が熱くなるのを自覚した。決して惚れているからではなく、人間として尊敬しているからだと自分の心臓に言い聞かせる。
その間にも討論は先の段階に進んでいた。
「皇子サマよ、《嵌家》のオッサンに突っ込んでばかりいるがアンタはどうなんだよ?」
「僕の主張は一貫しているよ。他国よりもまず自治に目を向けるべし。そのためには内乱などしている暇はないという考えだ。故にこの機会をもってそなたらの不満を聞いておきたい」
皇子の視線で射抜かれた頭領達は互いの顔を見合わせる。
視線で会話した彼らは正直に心の内を明かすことに決めたようだ。
「アタイは軟弱者には国を任せられないと思ってる」
「他家への配慮が軟弱に見えたやも知れぬな。しかしそれも考えあってのこと。聡明なそなたなら理解できると思うが……? 実力で示せというなら決闘にも応じよう」
「お、おう……」
皇子の気迫を正面から受けた纏・暗珠は思わず頷いてしまった。
すかさず不満を述べたのは《具家》の頭領である。
「私は学び舎で皇族の腐敗を知り、紅一族の血を引く貴方の力量に疑心を抱きました。だから貴方の名誉を傷つけ影響力を削いでいきました。ここで終わるならその程度の人間、跳ね返し王者の威厳を見せるならば【宍国】の主と認めようと決めておりました」
「排斥派への過剰な配慮が仇となった訳か。強行にすれば反発を招くと考えたのだが、今後は認識を改めるとしよう。譲れぬことは身内でも主張していくことにする」
「はい……そうしていただけると嬉しいですね」
神覧も納得してくれたようだ。次に目が合ったのはサングラスの剣士、慧刃である。
「俺からは特にない。女性陣と概ね同じ見解だ。そして今の貴方を見て領主足りうると判断した。しかし、今後現紅帝のように腐るならば俺が斬る」
その言葉に偽りはないだろう。忠義も殺気も本物だった。
「肝に銘じておこう。――ところで雲讐、そなたはどうだ? まだ僕と覇を競うか?」
「いや。オレの負けだ。……確かにオレは細かいところが見えてなかった。若い時は違ったんだがなぁ。年食うと短絡思考になっていけねぇや」
頭を抱えて自省する雲讐。
そんな彼に対し隣の机から娘の追い打ちの言葉が投げられた。
「父上はお年ですからね。頭領の座も譲ってくれてもいいのですよ?」
「黙っとけ俐竪! お前には《龍脚師団》団長の地位を譲っただろうが!」
「任命したのは殿下です。父上からの御下がりではありませんしぃ」
「チッ、可愛くない娘だぜ。……おう、殿下! オレだって全てに納得した訳じゃねぇ。今後もアンタを観察させてもらうぜ」
「ああ。こちらもそなたから学んだことは多分にあった。平等な教育制度は既に実験的に実施されている。その他の政策についても参考にさせてもらおう」
六頭領の内、四人の信任を得ることができた。これも赦鶯が風格を見せつけたおかげだろう。
しかし納得していない者もいた。
「儂は……暗君の血を引く貴様を認める訳にはいかん」
「残念ながら生まれは努力では変えられない。これからの僕を見てほしい」
「――儂は絶対に認めん。あの悍ましい男の息子など……」
貫信は親の仇でも視るかのように赦鶯を睨み付ける。怨嗟に満ちた目に皇子が一瞬たじろいだのを見て締瓏は皇族排斥派の意地を見せた。
「そうだ! 私も認めんぞ! クソ! 馬鹿どもが皇子の甘言に丸め込まれおって!」
「伯父上! いい加減認められてはいかがか!?」
「黙れ役立たず! 皇子さえ消えればよいのだ! そうなれば領主の座は我がものに……」
締瓏は野心を隠さなくなっていた。皇子さえ消せば皇族主流派は消滅するというのは間違いないのだ。今までは他の頭領の顔を窺っていた側面もあったが、皇族排斥派の大半が懐柔されてしまった今、野心を押さえて取り繕う必要はないのだ。
「〈妖混流・秘術‐蛇睨呪縛〉!」
彼は予め自身に封じていた大蛇妖魔の力を用いて氣巧術を発動した。口が裂け、目が爬虫類と同じになった彼に睨まれた者は金縛りにあったように身動きがとれなくなる。
不意を突かれたことで一紗たちだけでなく、他頭領や《軍龍武臣》も一瞬動きを停止させられてしまう。
「ぐっ! この程度で俺を縛れるとでも!?」
「長時間は縛れないだろう! だが数秒あれば十分! 皇子の命をとるにはなぁあああ!」
締瓏は腕を数十の蛇に変貌させて赦鶯に襲い掛かった。その全ての牙には猛毒が滴っている。毒が垂れた床は変色して溶解さえしていた。かすり傷でも致命傷になりかねない。
「死ねェエエ! 皇子ィイイ!」
ところが蛇となった腕は急に萎れ、攻撃性能を失った。締瓏の意思に反して皇子から離れようとする。妖魔と一体になっていた彼には蛇たちの想いが伝わっていた。
(なんだ、これは? 恐怖? ……何にだ? 蛇たちは何を恐れている!?)
自ら腕を引いたことで締瓏は恐怖の正体を知ることになる。
蛇たちは赦鶯ではなく、その前に立つ一匹の妖魔に畏怖していたのだ。
――牙を剥く龍の雛に。
「幻龍だと!? 在り得ぬ! 百年以上幻龍の使い手は出てきていないはずだぞ!!」
驚いたのは締瓏だけではなかった。
他の頭領達もその神々しい姿に目を奪われていた。赦鶯も驚きながら白龍を見つめる。
今までは赦鶯の懐に隠れてばかりだった。暗殺者襲撃の際も自らは戦わず、赦鶯に危機を知らせるに留めていた。その白龍が率先して敵に牙を向いたのである。
赦鶯を自身の庇護者としてではなく、対等なパートナーとして認めた証だった。
「白龍、僕と戦ってくれるのかい?」
「キュウ!」
「ありがとう。キミに見限られないよう、龍の相棒に相応しい〝男〟になるよ!」
「キュウキュウ!」
龍の存在に驚いた締瓏だがすぐに平静さを取り戻していた。彼が戦意を失わなかった理由、それは幻龍がまだ幼い雛だったからである。
「ハハハハハ! いささか驚きはしたが! そんな赤子に何ができる!? 幻龍が畏怖されるのは成体だ! 雛であるならば凡百といる他の妖魔に劣る!」
「……それはどうかな。僕だって《巫族》の血を引いている。〝呼応流〟の真骨頂を見せてあげよう! ――〈呼応流封印術・自氣封相〉!!」
赦鶯は自身の練りこんだ氣を幼い龍の雛の身体に封じる。
するとその力を糧に龍は時を加速するようにどんどん成長していく。天井を突き破り、机を踏み壊してガッシリとした巨体を見せつける白龍は大きな翼を披露したのだ。
愛くるしい顔つきは猛々しく立派なものへと変貌している。
「グォオオオオァアアアア!!!」
「なん……だと……!?」
鋭い牙に強い眼光、空気を揺らす声は締瓏の召喚する妖魔を委縮させてしまう。
正攻法は不利と悟った彼は妖混流で無数の妖魔を纏って身体能力を強化すると、使い手である赦鶯を狙った。
「愚かな。仮にも《它家》頭領ともあろう男が呼応流の戦い方を忘れたか? ――〈呼応転相〉」
突如、皇子と龍の位置が入れ替わった。皇子の首を狙って突撃していた締瓏はそのまま龍の牙に飛びこむ形になった。呼応流の上級者なら誰もが会得している転移技である。
「くそおぉおおお!」
何とか自身の皮膚を妖魔化させて龍の牙を逃れた締瓏は龍の尾で薙ぎ飛ばされる。
満身創痍ながら彼はまだ諦めていなかった。
「確かに龍の力は侮れない。だったら龍と闘わなければいい! 〈妖混流幻術・黒蛇封間〉!」
彼の身体から迸る妖魔の氣が蛇の形に変わって部屋全体を満たしていき、やがて視界そのものを黒く塗りつぶしてしまった。五感が乱され、相手を上手く感じ取ることができない。
「この空間では龍も皇子も私の位置を掴めまい! 死ぬ瞬間まではなぁあああ!」
「ふっ、甘いよ。――白龍!!」
「グァアア!」
主に呼応するように白龍の体表が太陽の如き輝きを見せて黒い幻術を消し去っていく。闇は完全に引き剥がされてしまう。
呆気にとられる締瓏の胸に赦鶯の五指が深くめり込んでいた。
「ぐはっ! ……なんだ……この膂力と氣は……?」
「〈呼応流封印術・相氣封装〉。先程とは逆に龍の力を借りうけ僕の身体に封じて強化した」
「馬鹿……な。それでは我ら妖混流と同じ……」
「妖混流と妖装流は呼応流から分岐して生まれたもの。妖魔を纏うことに特化させた流派。元が一つだっただけにその根本は呼応流にもあるのさ」
指を引き抜かれたことで鮮血の海に落ちる締瓏。皇子は敢えて直接心臓を潰さず、出血多量で苦しませる手段をとった。それこそが悪行を働いてきた彼への罰だったのだ。
「僕に叛逆したことも暗殺を仕掛けたこともどうでもいい。だが温優や彼女の故郷を壊したことは許せない。その罪はキミの命で贖ってもらう。今際の際まで苦しむんだね」
它・締瓏は数分の間、足掻いていたが誰からも手を差し伸べられることはなかった。奸計に生きた彼には真の人望が無かったのだ。彼が息を引き取る瞬間、壁中の札から複数の妖魔が現れて皇子に襲い掛かった。
「鼬の最後っ屁ってやつか!? 赦鶯は消耗してるだろ? 下がってろ!」
「ええ。こいつらは私達がやるわ!」
赦鶯の優雅な戦いぶりに眼を奪われていた一紗たちも我に返って参戦する。
だが二人が武を振るう前に妖魔の大軍は全滅していた。
死骸の一部は無数の矢で射抜かれたり、綺麗に両断されたり、力づくで殴殺されていた。
一紗たちや《軍龍武臣》よりも早く妖魔を倒し、皇子を守ったのは四人の頭領だった。
「キミ達……」
「参った参った。まさか百年ぶりの幻龍使いがこんなに身近にいたとはな……」
「どうりでアタイの中の龍が疼くはずだぜ。本物がいればそうなるわな」
「幻龍種は気配を消すのが上手いというが、俺が全く感知できなかったぞ」
「何と綺麗な白龍でしょう! 素晴らしい! あぁ生きて幻龍使いを見られるなんて」
感想を述べる雲讐、暗珠、慧刃、神覧の四頭領は、白龍と赦鶯の前に跪いた。
彼らは幻龍種を見事に使いこなした赦鶯の力量に感服したのである。
「おみそれしました。皇子、数々の無礼、お許しください」
「俺達も貴方と白龍に忠誠を誓わせていただく」
「アタイの中の龍も歓喜している。よろしく頼むぜ、皇子サマ!」
「もう文句はない! 龍を扱える殿下こそオレ達の盟主に相応しい!」
彼らは真の意味で忠誠を誓ったのだ。皇族排斥派四家が心から協力してくれるなら内乱はすぐに終息するだろう。皇子も彼らに目線を合わせてはにかんで見せた。
「ああ! みんな、よろしく」
悪の親玉を倒して一件落着と思いきや、まだ終わりではなかった。《軍龍武臣》の師団長たちが険しい顔で相談し合っている。彼らの会話を拾った四人の頭領達、そして【愁国】の人間もことの重大さに遅れて気づくことになった。
六頭領最後の一人、混・ 貫信の姿が消えていたのだ。
ピロリン♪
『纏・暗珠』『嵌・雲讐』『佩・慧刃』『具・神覧』が仲間に加わった!
ということで皇子様無双回でした。
白龍は皇子様の心意気に反応してパートナーとして認めてくれました。
己が野心から悪だくみしていた它・締瓏はついに報いを受けることになりました。
まぁ当然ですね。地獄行きでしょう。
《巫族》にとって幻龍を使いこなせるということが尊敬を集める条件です。
それは幻龍使いが普通にいた百年以上前も変わりません。その頃も使い手が多かった訳ではないので。
目の前で幻龍と呼吸を合わせた戦いぶりを見せたので頭領のうち四名が恭順しました。
残す頭領はただ一人。




