頭領會代表選挙
生徒会選挙ならぬ頭領會選挙のお話です。
猛者六人の中から代表者を決定します。
皇族主流派と排斥派はそれぞれ問題を抱えていることが明らかになった。
故に問題点解消のために時間を設けるという見解が一致し、それぞれ別室へと移動する。
軍議室へと移動した《天睛臥龍》は「皇子に変わる対抗馬が決まっていない」という問題を解消すべく臨時頭領會を開いていた。
「今まで意図的に避けていた話題だが……第三者から突っ込まれた以上、オレ達の中から代表者を決める必要がある」
「どうやって決めるんじゃ? 一族の看板を背負っておる儂らは皆『自分こそが相応しい』と主張するだけじゃぞ?」
「そうなれば《天睛臥龍》は空中分解し、皇子の一人勝ちですね」
「流石は惡姫だぜ。痛い所突いてきやがった! クケケケ!」
「笑い事ではない! だがいい機会でもある。ここで代表者を決めてしまえば私達《天睛臥龍》の抱える問題はなくなる。悩みどころは如何にして代表者を決めるかだ」
「……俺に提案がある」
そう言ってサングラスを取った慧刃に他のメンバーが注目した。
「この場には頭領が六人とその側近が二名ずつ控えている。よって頭領達は皆の前で『どんな国にしたいか』を語ってもらう。明確な政策がない者は代表者足りえないからな」
「より皆の関心を集めた者が代表者になる、と。ですが皆自分に投票するという問題は残っていますが?」
「ああ。だから『自分の一族の頭領には投票できない』ことにする。そうすれば自分以外の誰かを選ばざるをえない。ちなみに俺は棄権する。代表者は他の五人から選んでくれ」
他の頭領たちは慧刃の権利放棄に愕然とした。彼はみすみす権力を手放したのだ。
「オイオイ、《佩家》はそれでいいのかよ? 側近とか納得してるのか?」
「「当主が決めたことですので」」
側近二人は口を揃えて言った。意思は固いらしい。
「一族の者には話を通している。コレで票数が奇数になったし丁度良いだろう。俺達は公正な投票を行えるように主催させてもらう。誰かが不正をしないとも限らんしな」
締瓏は露骨に目を反らした。慧刃の意見は理に適っていた。まさか選挙管理を【愁国】や皇族主流派に委任するわけにはいかない。自分達で代表者を決める以上、利害関係の無い誰かを作り上げる必要があったのだ。
「チッ、アタイはアンタに入れようと思ってたんだけどな」
「社交辞令はよせ。俺は当主になる前は外国を旅してたんだ。六頭領の中では一番国内の事情に疎い。仮に俺が選ばれても真面な政権運営などできない。……皆の前で発表とかご免だしな」
「最後が本音っぽいですが……」
「既に投票箱を置かせてもらった。すぐに発表を始めてくれ。順番は任せる」
「今からか!? 内容詰めとか色々準備がいるだろう!」
「《它家》当主よ、狼狽することはあるまい。仮にも頭領なら最低限の矜持と志は常に胸に秘めているはず。自信がないのならば棄権しても構わぬぞ?」
下手に噛みついても心象が悪くなるだけと判断した締瓏は沈黙するしかない。
裏工作をする暇を与えない。それこそ代表者を決めるにあたり、正統な判断ができると慧刃は考えたのだ。時間さえあれば他者を買収したり、政策を代筆させたりすることもできただろう。しかし時間がない今はそれぞれの頭領達本来の技能で戦うしかないのだ。
「それでは改めて領主としてやりたい政策を訴えてもらおう。一番手は?」
「儂が行こう」
発表の一番手は《混家》の頭領、貫信だった。年を重ねているだけあってあらゆる事態を見越していたのだろう。年若い当主が困惑している中、彼は堂々と前に出る。
「儂が望む政策は五大民族に習い【宍国】を完全に独立させることじゃ。独立後は周辺諸侯をも取り込み、いずれは五大国に並ぶ六番目の強国とする野望がある」
力強い訴えは聴衆の心を掴むことに成功した。ただの独立ではなく、大国に並ぶという明確な覇道を示したのは《巫族》としては非常に好感が持てるものだった。
しかし他の候補者は黙って聞いているだけではない。
「混殿、具体的にはどのようにするおつもりか? 夢は大きくとも実現性が乏しければ絵空事にすぎぬ」
「無論じゃ。明確な筋道を用意しとる。妖装流に協力を仰ぐことになろうが、妖還製の武具を内戦地域に売って経済力を上げる。同時にその敵側にも武器を売り、戦を完全に手中に入れる」
「戦争が終わらなければ他国が我々に噛みつく程に成長せず、永遠と武器を売れるという訳か」
「私達の武器に依存した国は私達と敵対することはないですが……えぐいことを考えますね」
「アタイは嫌いじゃないぜ、爺さん。この乱世では覇道思考が必要だしな」
要するに大陸における武器商人としての地位を高めることで大陸における全ての戦争の流れをコントロールし、【宍国】自身は高みの見物を決め込むというものだ。
この方針を夢物語と詰ることはできなかった。現に五大国の一角である【金国】は技術力で大国としての地位を確立している。【金国】が実現できたのなら我が国でもできるはずだ、と貫信は訴えているのだ。
「俺に投票権はないが、未来の代表者になるかもしれない相手だ。あらゆる不安要素を除いておきたい」
「《佩家》の頭領、主には聴きたいことでもあるのかの? 言ってみるがいい」
「五大国と並ぶ国にするという目標は素晴らしいとは思うが、五大民族が敵対してきたときはどうするのだ? 自分達に並ぶ強国ができることを静観するとは限らんだろう」
「ふむ、尤もな疑問点じゃ。儂も危惧しておる。じゃから戦になる前に強い人材を育て対抗するつもりじゃ。まずは教育制度を充実させる。現代のようなゆとり教育を排し、幼い頃から《巫族》としての才覚を磨かせる!」
貫信はカリキュラムまで用意していた。普段から野望のために書き溜めているらしい。広げた紙には専門性に特化した教育制度内容が詳細に記されている。
「簡単に言えば、初頭教育の段階で呼応流、妖装流、妖混流の全てを教育し、中等教育では適正に応じた一流派を専門的に学ばせるというもの。早い段階から才を磨き、民族皆兵として五大民族に対抗する。さすれば《巫族》が六大民族として数えられる日も来るじゃろう」
今では非戦闘員も多い【宍国】の《巫族》全てに戦闘技能を身に着けさせるというのが彼の計画だった。壮大であるが決して夢物語ではない。五大国に並ばせるというならそれくらいしなければならないだろう。
「以上が儂の考えである。共感した者がおれば支持しろ。期待には必ず応える」
貫信の演説は一番手に相応しいものだった。聴衆達は拍手で彼の退席を見送る。
「中々見事な演説だったな。では次の候補者は前に出てくれ」
すぐに動く頭領はいなかった。
先程の演説は適当な主張を述べればいいという考えを木っ端みじんに砕いたからである。明確な意図を持った素晴らしい演説の後ではどうしても気後れしてしまう。それぞれの候補者は主張内容を再構成するために時間が必要だった。
「しゃーねぇなぁ。誰も出ねーならアタイがやるぜ」
「《纏家》の当主か。主義主張が決まってるなら早速始めてくれ」
黒い眼で聴衆を見渡す少女は迫力があった。年若い故に無茶な主張をするのか、それとも当主としての貫禄を見せるのか、他の頭領達は成り行きを見守った。緊張しているのか暗珠は大きく息を吸う。
「ぶっちゃけ、アタイよりも相応しい代表者がいると思う! けどアタイまで棄権すると票数が偶数になっちまうからな。他の候補者が演説の主張内容をまとめられるように時間稼ぎしてやろうと思ったんだ」
いきなり自分は不適合者宣言に聴衆は困惑する。流石に時間を急ぎ過ぎたかと考えた司会進行役の慧刃がサポートの回った。
「自分を卑下しすぎだろう。お前を推す者もいるはずだ。若い女は人気あるし」
「フン、若い女ってだけでアタシを押すならそんな投票こっちから願い下げだゼ!」
中指を立てる少女はとても選挙活動を行う候補者とは思えなかった。
「それに考えてもみな。大陸では未だに男尊女卑のきらいがある。若い女領主では内からも外からも舐められやすいだろう。《具家》の姉ちゃんみたいな裏工作が得意ならともかく、アタイには国を動かす人脈が決定的に足りてねぇんだ」
彼女の主張も的を射ていた。女性リーダーというのはそれだけ難しいのだ。差別は良くないと言っても力強いリーダー像が求められる以上、男性陣だけでなく同性の女性からも支持はされにくい現実があった。暗珠は自身を客観視できていたのだ。
「アタイは領主にはならねぇ。だがその補佐役としては協力を惜しまん。例えイケ好かない它・締瓏が領主になったとしてもな」
「イケ好かなくて悪かったな!」
「補佐役に立候補するということは一応は実現したい政策とかあるんじゃないのか?」
「ああ。アタイがやりたいことはズバリ弱肉強食論だ! 現状は教育も就職も《巫族》の名家が優先されるのは知っての通り。だが普通の家系でも才ある者がいる。皮肉にも皇族主流派の連中が証明している」
《軍龍武臣》の侃・頑塞、衛・硬角は一般家系の出身である。一般の家からもそれだけ才覚のある者がいるということを証明したのは皇子の実績だった。そこは見習おうというのだ。
「それに【宍国】には少数ながら他民族が存在する。連中にも《巫族》と同じ教育を受けさせ才ある者は上役として徴用したい。それがアタイの望む弱肉強食論だ」
「要するに家柄や民族に拘らず優秀な者を国家人材として起用するってーのは大胆な話だな。だが主要六家の支持はえられねぇぞ」
主要六家に呼応流の御三家を加えた名門九家は多くが政府要職に就いている。当然既得権益化している訳だが、暗珠はそこにメスを入れようというのだ。
「公職には無能が存在する。コネ採用のゴミはいらん。これからは完全実力主義で行く。当然納得できん奴もいるだろうからアタイは捨て票にしたんだ」
「才ある者は出生問わず登用するか。儂の政策に通じる所もあるな……」
「弱肉強食論を取り入れる奴はアタイの持ち票はくれてやる! 言いたいことは以上だ!」
演説を終えて戻ってくる暗珠。最初から捨て票を自称する割には筋の通った内容だった。
時間稼ぎと言いつつ、素晴らしい内容である。
「やっべー……オレ、嬢ちゃんに演説能力負けるわ。ちょい内容練り直さないと……」
「では三番手は私が行きましょう。《它家》の当主もそれでいいかしら?」
「ああ、構わん。私は四番目でいい」
三番手の演説者は具・神覧である。長い髪を掻き分ける仕草はその場の男性陣を魅了した。さらに「胸が苦しいから」と胸当てを取ったことで大きな胸が強調される。
暗珠は思わず顔を手で覆って指の隙間からその様子を見つめていた。
「だ、だだだ、大胆だな! アタイにはとても真似できねー……」
「きったねぇ。《具家》の姉ちゃん、色仕掛けかよ」
男性陣の視線を奪った神覧は咳払いをして演説を開始した。
「私の政策柱は三つ。第一に国内統合、第二に富国強兵、第三に工作活動の拡大です」
最初に分かりやすいスローガンを示すことで聴衆の興味を惹くことに成功する。
そして関心を失わないよう一つ一つを噛み砕いて説明していくスタイルである。現代日本で最も基本的かつ効果のある演説方式だった。
「一つ目の国民統合に関しては我々妖装流、妖混流は元より、呼応流御三家を抱きこみ《巫族》の団結を図ります」
「簡単にまとめられんから今は二つの派閥に分かれておるわけじゃが?」
「それは呼応流が多数派を占めるからです。そこで名門御三家を分断しつつ我々側に取りこみます。具体的には彼らの実力に相応しい高い地位の好待遇で迎えます」
「それは皇子が既にやっているではないか。結果は言うまでもない」
締瓏のツッコミに神覧は頷いて見せた。
「皇子の政策が失敗したのは皇族排斥派全ての一族を一括管理しようとしたからです。故に反発を招きました。私が考えるのは分断管理です。《禽家》を娯楽部門の責任者に、《鞏家》を教育機関の責任者に、《範家》を内政者に迎えることで【宍国】繁栄に寄与してもらいます」
彼女は依然影響力を持つ《禽家》《範家》《鞏家》の御三家を好待遇で雇用することで恩を売る。さらに彼らを一族ごとにバラバラの場所に配置することで影響力を削いでいき、団結を阻み、徐々に他六家の傘下に組み入れようというものだった。
「確かにそれなら御三家を味方にしつつ、オレ達が手綱を握れるな」
「いいんじゃねーの。敵人材も有効活用するってのはさ。アタイは好きだぜ。裏工作に実績のある《具家》の姉ちゃんなら上手くやれるだろ」
雲讐、暗珠からは高評価である。分断管理は対立派閥の団結を防ぎつつ、その力のみを吸収できる良い政策だった。その政策意図に気づかれれば厄介であるが神覧なら可能だという信頼があった。彼女は聴衆の心を掴んだことを確信して次の説明に移る。
「第二の富国強兵は概ね《混家》《纏家》両ご当主と同じものです。教育制度の充実と他民族への同化教育、家柄や民族に関わらず才ある者の登用ですね。方針は同じなので《混家》《纏家》両ご当主の協力を仰ぎたい、と考えています」
前発表者の案の登用。普通の選挙活動なら盗用だと非難されるが、「自分派閥には投票できない」限定的選挙権のある今では有効に働いた。前発表者が自分と政策が似ている相手に投票しようと思えるからである。
「最後に工作活動拡大について。従来のスパイ養成に異民族の難民を加え、諸外国の動向を探らせます。《巫族》でない彼らの行動範囲は広い。五大国筆頭に有力諸国に武商として派遣して情報戦を掌握します。さすれば何かあっても我々が先手を打てるでしょう」
今も金で買収したり、工作下部組織では外国人を利用したりしているが、より専門性の高い分野での教育に彼らを加えようというのである。勿論二重スパイの懸念もあるため選定は慎重に行わなければならないが、忠誠心の高い完全外国人工作員を多く抱えられればそれだけ入りこめる地域が増える。大国に情報戦でリードできるのだ。
「以上が私の求める国造りです。共感してくださった方は清き一票をお願い致します」
深々と一礼する神覧。前発表者の意見を踏襲しつつ、自身の強みを生かした演説は大きな関心を集めることができた。
「では次に《它家》の頭領。演説を頼む」
「ああ」
神覧と入れ替わるように締瓏が前へ出た。
「私が目指すのは『強き永世中立国』を取り戻すことである。邪魔者は暗殺し、傀儡政権を他国に樹立させ、世界を裏から牛耳るというものだ」
「非現実的だゼ。暗殺すれば国が乱れるし、他国が傀儡政権を許すはずがねぇ。五大国や他の強国相手に通じると思えん。《混家》爺さんや《具家》の姉ちゃんの政策のが現実的だゼ」
「纏殿、貴女も妖混流なら〈秘術・混濁心操〉は知っていよう?」
暗珠だけでなく同じ妖混流の貫信も目を見開いた。〈秘術・混濁心操〉とは調教した妖魔を自身ではなく他者に封じて意のままに操るという高等術だった。凶悪故に口伝で伝承され、妖混流でも一部の者しか使用できない奥義だった。妖混流の隠し玉なので妖装流の三頭領は知らなかったようだ。それを敢えて公にすることで自身の謀計の確実性を主張したのである。
「妖混流にはそんな秘術があるのですね。工作員を育てるより安上がりです」
「無論、習得は難しいが決して裏切ることのない駒を作り遠隔操作できる」
「それが事実ならとんでもねー。だが《纏家》の嬢ちゃんの懸念は残るぜ。暗殺なり傀儡政権なり実行すれば、民衆は反発するだろう」
「それでよいのだ。いずれにしろ他国は二分され力を失う。内乱状態が如何に恐ろしいか今の我々には理解できよう。そして他国の混乱に乗じれば我が国の力を磨く猶予ができる」
締瓏は教育制度までは言及しなかった。敢えてぼかすことで他候補者の案を実現できる余地を残して票を集めようという魂胆だった。
「そしてこの秘術があれば呼応流さえ掌握できよう。彼らは疑心暗鬼に陥ることよ」
最初は洗脳操作術を実行して何人かを取りこめばいい。その後は洗脳術を使わなくとも「コイツは妖混流に洗脳されているのでは?」という疑念を生じさせ不和に追い込むことが出来る。神覧の主張する緩やかな抱きこみと対極の急進的同化政策だった。
(フン、若造め。秘術をペラペラと話しおって。儂らが沈黙することを見越していたか)
(この秘術は高位の氣巧術士には弾かれる危険がある。皇子らを洗脳できなかった理由だゼ。妖装流に教えてやるつもりはねーけど)
締瓏の秘術を元にした謀計政策は妖装流達には説得力のあるように映ったが同じ妖混流の貫信と暗珠の反感を買っていた。締瓏もそのことは承知の上だった。多少反感を覚えても彼ら妖混流の票が妖装流の二人には流れまいと判断したのだ。
慇懃無礼なお辞儀と共に演説を終えた彼は席に戻った。
いよいよ代表候補者は最後の一人となった。
「《嵌家》頭領、大取だぞ」
「くっそー。まだまとまってねぇが時間切れかぁ……」
頭を掻きながら前に出る嵌・雲讐。服が乱れていたり欠伸をかましたりと散々な登場の仕方である。候補者らしからぬ態度に聴衆達の期待値は大きく下がっていた。
「んじゃあ、まず一言。俺が領主になった暁には天下統一する」
他の頭領達含め聴衆は全員言葉を失っていた。
今までの演説では誰一人明言しなかったことだ。否、したくてもできなかった。その政権公約が実現性に乏しいと判断されてしまうからだ。故にこそ堅実な政策を発表していたのだ。
雲讐は皆が息を呑んでいる隙をついて言葉を続ける。
「既にオレは武器の製造売買において幅広く展開しているし、経済力もつけた。皇族排斥派が資金源で苦労してないのが証拠だ」
論より証拠。彼は実績を持って自身の経済力、経営力をアピールしてみせたのだ。実際彼の経済力に助けられている者が多いためツッコミどころがない完璧な主張になった。
「そしていくつかの小国の属国化にも成功してる。武器の供給源を断たれれば力を失うからな」
「だが、仮にも妖還製の武器だろう。叛乱されれば大きな損害を受けるぞ」
締瓏が唯一の批評点を見つけて重箱の隅をつつく。実際妖還製の武器は評価が高く、叛乱に使われれば厄介だった。
「心配しなさんな。外国に卸してる武具は二級三級品だ。一級品は全て国内のみの売買にしてる。完全登録制だから流出の心配もねぇ」
「確かに雲讐さんはそう言うところマメでしたね。性格と正反対です」
神覧も同じい妖装流として武器売買をしているため雲讐の性質を分かっていた。
批判がなくなったことを確認して雲讐は続ける。
「資金力では五大国に敗けてねぇ。影響力も拡大しつつある。オレはこの武と金の力を持って五大国と同盟を結ぶ。まずは【火国】。愚帝の首を手土産にすりゃ喜んで同盟を結ぶだろう。次に【金国】。武器の共同開発を持ちかけ関係を強化する。【金国】と経済関係が深い【土国】も抱きこめるだろう。そうなれば【土国】と友好関係の【木国】も追随する」
「……最後には孤立した【水国】を抱きこむおつもりですか。何と大胆な」
「始皇帝の辿った道だな。悪くない。投票権はないが俺には深く響いたぞ」
「クケケケ、どさくさに紛れて帝の首を取る宣言しやがった! 面白ぇ!」
「流石は最年少で《軍龍武臣》団長になっただけはあるな。見違えたぞ、雲讐の小僧よ」
「くっ……」
――投票の結果、代表に選ばれたのは嵌・雲讐だった。
実績を伴った説明、何より『天下統一』の話に多くの聴衆が引きこまれたのだ。
彼を中心に《天睛臥龍》はまとまることになった。
という訳で代表者は雲讐に決まりました。
大取だから印象に残ったというのも大きいですが、やはり天下統一は耳障りが良かったですね。
以下に五名の政策をまとめました。
◆貫信の政策
=武器売買による戦争のコントロールと民族教育の強化により【宍国】を六番目の大国にすること
◆暗珠の政策
=自らは領主の権利は放棄、代わりに補佐役を熱望。
家柄や民族に囚われずに有能な者を徴用し、血筋だけの無能を政権要職から排除する
◆神覧の政策
第一に国内統合=呼応流御三家を分断管理
第二に富国強兵=前演説者二名の政策を踏襲
第三に工作活動=スパイ養成
◆締瓏の政策
=強固な永世中立国化を目指し、暗殺を多用&傀儡政権を他国に樹立させ、世界を裏から牛耳る
そのために洗脳術を使用
◆雲讐の政策
=五大国と同盟を結び、天下統一を目指す。
必要な経済力や影響力は実績を持って提示。
次回は皇族排斥派代表選挙と同じ時系列で並行していた皇族主流派たちによる裏切者探しのお話になります。




