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華風皆殺し娘の交渉術  作者: 微睡 虚
第三章 宍国同盟編
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暴かれる国恥

宍国(ロウコク)】で内戦が起きてる、と指摘した一紗(イーシャ)

果たして真実は――?


 中立軍事大国として知られる【宍国(ロウコク)】で内戦が起きている。

 そんな主張は普段なら荒唐無稽と笑われるだろう。しかし脂汗を流す赦鶯(シャオウ)は即座に否定できなかった。彼の代わりに一紗(イーシャ)の追及を否定したのは突如入ってきた凛透(リントウ)である。


「内戦なんて事実はありません! 姫! 貴女は縁談を拒否するためにそのような――」


 抗議する臣下を皇子は手で制した。


「根拠を聞こうか? 一紗(イーシャ)


「おかしいと思ったのは【廣廛(コウテン)】で地図を買ってからだ。【廣廛(コウテン)】に着くまでのルートを逆算しても【龍閣(リュウカク)】へ向かう道程を確認しても明らかに遠回りしていた」


「地図上にはいくつも繁華街もあったわ。敢えて微妙な位置にある【廣廛(コウテン)】を経由しなければ【聚款(ジュカン)】から最短で州都【龍閣(リュウカク)】に着いたはずよ」


「最初は【宍国(ロウコク)】の国力を見せつけるために道を変えているのかと思ったが、それにしては途中の町に寄り道してないのはおかしかった。補給だってできたのに」


「その町が工事中だったんだよ。改築中の町を見せて姫をガッカリさせたくなかったんだ」


 中々筋の通った説明である。一国の領主だけあって即席の言い訳も上手かった。だから一紗(イーシャ)はあえて別方面から斬り込んだ。


「おかしいと思ったことは他にもある。会議が異様に多かった。俺を妃にしたいと言っておきながら出席を許さなかったのも謎だ。男尊女卑野郎ならともかく、誠実な赦鶯(シャオウ)にしては随分警戒してると思った」


「褒め言葉として受け取らせてもらうよ。でも直近の軍議には呼んだだろう?」


「そう。それがまたおかしいんだ。俺と蕾華(レイファ)が会議に呼ばれないことを話していた途端にお呼びがかかった。アンタらに一度も愚痴ったことはないのに」


 一紗(イーシャ)赦鶯(シャオウ)に贈られた髪飾りを取って指で叩いて見せた。すると、何かの術が解除されたようにバチッと弾ける。


「お前はさり気なくコイツをくれた。最初は気を引くためにやったのだと思ったが、これには盗聴器が仕掛けられていた。会話を聞いていれば俺達の望むことを把握できらーな」


「だから私達が『駆け落ちする』という相談をしていたときに貴方は急いで部屋に飛んできたのよ。その前に一紗(イーシャ)さまと浴場で相談していた内容は把握していないみたいだったし」


 入浴中は服も装飾品も脱衣所に置く。よって風呂での会話を盗聴できなかったようだ。

 一紗(イーシャ)達は盗聴の事実を確信づけるため、また赦鶯(シャオウ)をおびき寄せるために入浴中に相談して駆け落ち作戦を実行したのである。


「参ったね。一芝居打たれた訳か。ちなみに盗聴器ではなく封印術だ。君達の会話を封印し、遠隔的に再生できるように仕掛けてあったんだ」


「認めるのか?」


「会話を盗聴していたことに関しては弁明できないからね。でもそれは一紗(イーシャ)の好みとかを把握したくてやったことさ。他意はないよ?」


 まだ恍ける気のようだ。盗聴から内戦を連想することはできない。核心を突く必要があった。


「盗聴の件は置いておこう。だが、俺が最も不信感を抱いたのは武装密猟者との戦争のときだ。急に軍議に呼ばれた不自然さを置くとしても色々とおかしかった」


「どこがおかしかったんだい? 戦は僕らが協力し合って勝てたじゃないか」


「そう。《軍龍武臣》は完勝したの。正直私はあそこまで強いと思っていなかったわ。だから援軍が遅れるのかと思ったくらいよ」


「猛者の集まりである《軍龍武臣》が賊を放って対処しなければならない理由は〝賊以上の脅威を対応していたから〟に他ならない」


「加えて密猟者はなぜか【妖還】製の武器を持っていたわ。アレがなければ私と一紗(イーシャ)さまの先遣部隊で鎮圧できていたもの。どうして【宍国(ロウコク)】産の武器を賊が持っていたのかしらね?」


 今度は赦鶯(シャオウ)も言い訳を思いつかなかったようだ。側近の凛透(リントウ)も歯噛みしている。これを機に一紗(イーシャ)は最後の追及を詰める。


「嘘だというなら【妖還】に案内してくれ。自分が統べる町だと証明してくれ。その姿を見せてもらえればすぐにでも嫁入りしてやるぞ?」


 【妖還】で作られた武器が賊の手に渡っていたのは事実。町が占領されている訳ではないとしたら、【妖還】の人間が積極的に賊に協力していた可能性を示唆していた。そして【妖還】の町人との交渉或いは武力衝突を想定していたからこそ《軍龍武臣》をすぐに賊退治に利用できなかった。それこそが〝別件の対応〟だと一紗(イーシャ)は推測したのだ。

 赦鶯(シャオウ)はしばらく沈黙していたが、やがて肩の力を抜いた。


「……僕達の敗けだよ。キミたちの推測通りだ」


 もう隠しきれないと悟ったのだろう。凛透(リントウ)に茶の用意を頼み、腰を据えた。ご主人の不安を感じた白龍が愛くるしい姿を見せて慰めようとしている。そんな場違いな振る舞いに室内にいる人間の緊張は解かれた。

 そして全員分の紅茶が渡ったあたりで赦鶯(シャオウ)は重い口を開いた。


「【宍国(ロウコク)】……というより《巫族》は、大きく二つの派閥に分かれて水面下で争っているんだ」


「同族でも政争があるのか」


「キミは帝の血を引く兄弟が殺し合う姿を見てきたはずだよ。《巫族》は今、皇族主流派と皇族排斥派に分かれているんだ」


「前者は紅帝の血を引く赦鶯(シャオウ)を主君とする派閥、後者は純血の《巫族》に【宍国(ロウコク)】の主権を戻そうとする派閥ってとこか」


一紗(イーシャ)は聡明だね。そう、暗君と蔑まれる我が愚父のせいで皇帝の地位は暴落だ。皇帝排斥派は五大民族に習って《巫族》の独立を表明すべしとしている。そのためには僕が邪魔なのさ」


 彼が〝準龍種〟の改良を促進したり、幻龍種使役に拘ったりしていたのは龍を使役できる領主としての風格を見せ、内乱を収めたいためだった。しかし、現状を見るに上手くは行かなかったようである。


「五代目がアホなのは紛れもない事実だが二代目紅帝は名君だったんだろ? なんで今更皇族排斥なんて起こるんだよ」


「そもそもの始まりが、《巫族》が潜在的に抱える流派闘争なんだよ」


「流派闘争? 妖魔使いの《巫族》の間でも流派が分かれてるの? 皆同じに見えるけれど」


 皆が紅茶を飲んだタイミングで凛透(リントウ)がホワイトボードのような画用紙を展開し、説明文を加えていく。彼が説明してくれるようだ。


「《巫族》の中には三つの流派が存在します。一つは調教した妖魔を使役し、本人は封印術で戦う〝呼応流〟」


 板書されたのは可愛らしい犬を使役する人間の絵だった。

 他民族でも知っている一般的な《巫族》で多数派を占める。板書の内容を見る限り、《(チン)家》《(ファン)家》《(ゴン)家》が名門とされるようだ。


「次に妖魔の細胞を封印術で採取し、生きた武具を作って自らを武装する〝妖装流〟」


 妖魔を模した鎧を着たゆるキャラのような絵が板書される。

 この流派は【妖還】に拠点を置き、軍事だけでなく経済面でも《巫族》を支えている。《(チェン)家》《(ペイ)家》《(ジュ)家》が名門とされるようだ。


「最後に、封印術で自身の身体に妖魔を宿して戦う〝妖混流〟」


 今度は画風が打って変わってリアルなタッチになる。手が蛇に変形したり、顔が蜥蜴になっているショッキングなものだった。

 妖混流は《巫族》の中でも亜流、裏流とも称される一門であり、対外的にあまり知られていないという。だが《巫族》の繁栄に深く関わってきた流派である。中でも《(ター)家》《(フン)家》《(チャン)家》が名門とされるらしい。


「問題は〝妖装流〟と〝〝妖混流〟の一門が皇族排斥派の主軸になっていることです」


「え? 《軍龍武臣》の中にもその二流派にあたる名門の家系の人がいるわよ? 貴方だって」


 《龍脚師団》団長の(チェン)俐竪(リーシュ)は妖装流の家系である。また、今も解説してくれている(ター)凛透(リントウ)はその名の通り妖混流の名門の出ということになる。


「私の母は元々殿下の母君と懇意にしていたために幼少期より城に仕えています。また、《(ター)一族》である私と《(チェン)一族》である俐竪(リーシュ)を師団長にすることで対立派閥との融和を図る、という殿下の政策意図もありました」


「それだけじゃないけどね。二人共師団長を任せるに足る実力者だったし。ただ僕の融和政策は結局上手くいかなかったんだ」


 凛透(リントウ)の話によると、元々〝妖装流〟と〝妖混流〟は〝呼応流〟で落ちぶれた者達が己を強くするために開拓した分流であり、力関係は〝呼応流〟の方が上だったのだそうだ。

 しかし帝国が統一され、治安が向上し、他の民族との交流が出来たことで技術力が飛躍的に向上することになり、分流は本流に迫る程強くなっていった。本流に取って代わろうと野心を燃やす者もいたそうだ。


「ですがまだ表向きには、三流派は互いを尊重する信頼関係がありました。信頼関係が崩れ始めたのは四代目紅帝の即位後です。表立って皇族排斥を叫ぶ団体が出てきました。そして五代目である現紅帝即位後に皇族排斥派の動きは一気に過熱します」


「あの暗君を見限るのは当然だけど動きが早すぎない? 他に不満があったんじゃないの?」


「ご明察です。蕾華(レイファ)様。実は皇位継承戦において《巫族》は二代目以降にも有力な後継者候補がいたのです。四代目と五代目を決める際に」


 三代目に即位したのは他民族であったが、三代目を父に持つ皇女の中に《(ター)一族》の血を引いた舞龍(ウーロン)という姫がいた。死骸の龍からその細胞を取りこんだ彼女は龍の力を扱うことができ、政務能力も高かった。だが当時は女子に皇位継承権がなく、愚鈍な弟に四代目の座を譲る形となった。


 続く五代目継承戦の際は《(ペイ)一族》を母に持つ皇子・厳謹(イェンジン)がいた。龍の鱗で鍛えた武器と卓越した封印術を扱う彼も後継者として名高かったが、現皇帝の策略により謀殺されてしまったのだ。


「自分達の一族の有力者が〝皇族の都合〟で紅帝になれなかったことから皇族を仰いでも仕方がないと思ったってところか」


「はい。実際身内贔屓を取り除いても二方共優秀でしたから。彼らが怒るのも無理はないでしょう。だからといって赦鶯(シャオウ)殿下を排斥するのは理解できませんが」


 皇族排斥派は五代目の失政ぶりがトドメとなり、動きだしたのだ。それが赦鶯(シャオウ)幼少期の暗殺事件に繋がる。しかし赦鶯(シャオウ)本人の妖魔使役能力が規格外だったために暗殺は失敗に終わった。


そして彼が成長して政務に携わるようになると町人から人気が出てしまい暗殺がしにくくなった。支持率の高い彼が殺されればその場で隠しきれない内紛が起こることが想定されたからだ。覇を唱える諸侯が多い中で他国に弱みを見せることはできない。その点だけは対立派閥同士も理解していた。故に水面下で権力争いを行っていたのである。


「だから同盟を急いだのか?」


「ああ。同盟締結となれば僕の対外的実績となるし、同盟相手に隙を見せないためにも《巫族》は団結せざるを得なくなるからね」


「なら俺との婚姻とか余計な条件出さずにさっさと同盟しちまえばよかったじゃねーか」


一紗(イーシャ)との婚姻は排斥派の出してきた条件でもある。縁談がまとまれば領主として認める、と」


(なんだ……俺に惚れた訳じゃないのか……)


 少し残念に思う自分の気持ちを認識した瞬間、我に返って乙女心を否定するように頭を振る一紗(イーシャ)。そんな様子を不審そうに一瞥した蕾華(レイファ)だったが今は気になる部分を尋ねることにしたようだ。


「なんで皇族排斥派が一紗(イーシャ)さまと皇子の婚姻なんて和解の条件に出したの?」


 その疑問に回答したのは凛透(リントウ)だった。


「〝盗賊の巣〟で一紗(イーシャ)様を見た者がいるらしいのです。彼らも〝惡姫〟は男に媚びる女ではないことを承知で無理難題を吹っかけてきたわけです」


「あー……そういうこと。だったら俺に打ち明けてくれれば良かったじゃないか」


「どれだけ人格者だろうとキミ達は外国人。我が国の恥部を曝け出す訳にはいかなかった。それに……僕に落とせない女の子はいないと思っていたし」


「腹立つけど実績があるから反論できねぇ……」


一紗(イーシャ)さまもタジタジだったものね。――それで? これからどうするつもり?」


「国の恥を知られた以上、そのままという訳には参りません」


 密かに覚悟を決めていた凛透(リントウ)の合図で《軍龍武臣》団長達が現れた。出入り口を塞ぎ、臨戦態勢で一紗(イーシャ)達を囲んでいる。凛透(リントウ)が大人しく解説している間に準備を整えていたのだろう。臣下達の意図に気づいた皇子は慌てて止めに入る。


凛透(リントウ)、ダメだ。皆も下がってくれ! 一紗(イーシャ)たちに手荒な真似はしたくはない!」


「殿下、覚悟をお決めください。領主として非情な決断をしなければならない時もあります故」

 

「国の恥を知られた以上、生かしてはおけん」


「最低でも拘束ですねぇ」


「ごめんね~。君達とは良いお友達になれると思ってたんだけど」


 室内故に妖魔を召喚していないが、それでも手練れ七人に囲まれている状況は不利だ。赦鶯(シャオウ)の意向ではなく部下達の独断のようだが、非常にまずい状況だった。


「悪ィな。が、嬢ちゃん達も【愁国】の将なら理解してるだろう?」


「ええ。こうなることは理解していたわ。だから先手を打たせてもらったの」


 団長達と一紗(イーシャ)の狭間に割り込む形で何者かが参入してくる。侵入者に奇襲を受けた団長達は距離を取り、相手を見極めた。


「間に合ったみたいだなァ」


「戦争だけは避けたいですが、致し方ありませんな」


「お久しぶりですね兄上」


 兜の巨漢、偃月刀を持つ武将、そして雅な華服に身を包む姫君。侵入者の正体はすぐに分かった。


鎧兜(カイドウ)! 龍宝(ロンバオ)! 美鳳(メイフォン)! なぜここに!? 蕾華(レイファ)が呼んだのか?」


「ふふん、すごいでしょ? 私の危機管理能力の賜物って訳よ!」


「嘘おっしゃい! 貴女がこのままだと皇子を殺しそうだ、というから慌てて来たのですよ! ……ただ、事前報告より状況が複雑になっているようですね」


 説明するまでもなく美鳳(メイフォン)は困惑する赦鶯(シャオウ)と覚悟を決めた《軍龍武臣》の顔を見て状況を正しく理解したようだ。


「【愁国】の主将級が来たところで数の優位性はこちらにあるぜ。妖魔を召喚すればさらに差が広がる。依然状況はそちらに不利だが……?」


「いいえ、王手です。後ろを見なさい」


 師団長全員が相手に注意を向けながら横目で背後を一瞥する。

 彼らが見たのは赦鶯(シャオウ)が《顔無》の少女に人質に取られている姿だった。


「気配が全く読めなかった! どうなってるの!?」


「チッ、こうなりゃ先に奴らをぶちのめす! ちょっとくらい殿下も耐えられんだろ!」


「待て、頑塞(ワンサイ)。間合いに飛びこめば孔穴を突かれかねん」


「チッ、護帝覇兇拳か……!?」


「今本気で抵抗することが得策じゃないことはお分かりのはずです。兄上を救出できても我々が争えば【宍国(ロウコク)】の内戦は激化するでしょう。ここは話し合いませんか?」


「僕もそれがいいと思う。みんな、国を想ってくれてるのは理解してるけれど、【愁国】と争うつもりはないよ。拳を収めてほしい」


 主君の厳命により渋々ながらも《軍龍武臣》は下がった。同時に《顔無》も人質を解放して再び気配を消す。【愁国】と【宍国(ロウコク)】の皇族主流派による協議が行われることになった。


 それぞれが睨み合う形で席に着く。

 左側の席に《軍龍武臣》の団長達七人。右側の席に【愁国】の人間五人。そして中央には領主の赦鶯(シャオウ)が座って会議の進行役となった。まずは断片的二しか状況を知らない美鳳(メイフォン)達のためにもう一度説明するところから会議は始まった。


「……なるほど。皇族主流派と排斥派ですか。大本にあるのは流派闘争と。う~ん、ややこしい問題ですね」


「排斥派をぶち殺せばいいんじゃねェか?」


「兄上はその脳筋的思考をどうにかしてください。排斥派を主導する二流派は【宍国(ロウコク)】の経済と軍事を担っているのです。仮に彼らを武力鎮圧できたとして、この国は大きく弱体化します」


美鳳(メイフォン)の言う通りだよ、鎧兜(カイドウ)兄さん。だから僕らは何とか融和を図っているんだ。《巫族》同士の争いで得をするのは他国だけだからね」


「我々【愁国】としても同盟相手は強くあってほしいものだし、協力は惜しまんが……」


 正確には同盟締結前ではあるが、一紗(イーシャ)赦鶯(シャオウ)達とは同盟を組みたい気持ちに傾いていた。

 他のメンバーもそうだ。【愁国】が天下統一を果たすためには強い同盟国が必要だった。同盟の話は今日まで受け身だったが、美鳳(メイフォン)達も実際に【宍国(ロウコク)】の国力を見てきたことから同盟に前向きになっていた。そして【宍国(ロウコク)】としては内紛を収めたい。両陣営の利害は一致していた。


「城に引きこもっていても事態は好転しない。敵地に出向いて交渉しようーぜ」


「簡単に言ってくれますね、一紗(イーシャ)様。我々《軍龍武臣》が【妖還】に赴いた際、向こうは完全武装して一触即発だったのですよ? 結局妖還城には入城できませんでしたし」


「そりゃあ最高戦力と皇子が直接出向いたら戦争だと警戒するだろ。だが大義名分があれば向こうも入城を認めると思うぞ。――例えば身内が参加する祝い事とかな」


一紗(イーシャ)、あなた……まさか」


 自分の傍盾人の言わんとすることを理解した美鳳(メイフォン)は驚きつつも確認を兼ねて今一度眼で問いかける。一紗(イーシャ)は「お前の想像通りだ」と言わんばかりに大きく頷き、わざとらしく起立した。全員の注目が彼女に集まる。


「祝言をあげよう。俺と赦鶯(シャオウ)で!」


「「「えっ!?」」」


 あれだけ嫁入りを拒否していた惡姫本人から婚姻の申し出がなされたのだ。

その場にいる全員が耳を疑った。



内戦が真実だと暴かれるお話でした。

改めて根拠をまとめると

①【龍閣(リュウカク)】への最短ルートになる街に寄らなかったこと

②会議ばかりだったこと(※皇族排斥派への対処を議題としていました)

③強い《軍龍武臣》が賊の対応を後手に回したこと

④賊である密猟軍たちが妖還製の武器を使っていたこと

です。


《巫族》の妖魔共同戦法には呼応流とそこから分化した妖装流、妖混流という流派が存在します。

今は皇族主流派が呼応流、皇族排斥派が妖装流&妖混流に分かれている訳です。


・呼応流の御三家=《(チン)家》《(ファン)家》《(ゴン)家》

・妖装流の御三家=《(チェン)家》《(ペイ)家》《(ジュ)家》

・妖混流の御三家=《(ター)家》《(フン)家》《(チャン)家》


以上9家が名門とされています。

一族の者達は《軍龍武臣》など政府要職に就いています。


皇族排斥派の彼らも愛国心はあり、国益は考えているために、外国に弱みはみせないようにしています。なので水面下で冷戦状態になっていました。


そして、蕾華(レイファ)の呼びかけに応じて、準備済みだった美鳳(メイフォン)達が駆け付けてきました。


【愁国】と【宍国(ロウコク)】は戦争したい訳ではないので話し合いの席に着きます。

そこで一紗(イーシャ)が提案したことに一同は驚きました。


次回、皇族排斥派サイドのお話です。

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