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華風皆殺し娘の交渉術  作者: 微睡 虚
第九章 拳国恩讐編
232/345

プロローグ

明けましておめでとうございます。

今年も「華風皆殺し娘の交渉術」をよろしくお願いいたします。

新年最初のお話は拳国恩讐編。

鎧兜(カイドウ)の故郷《膂族》の国に赴く話です。

また不定期投稿していきます。


 修羅が跋扈する大陸で【愁国】は迫りくる強敵強国との戦に備える必要に迫られていた。主戦力の一人・鎧兜(カイドウ)本人が再修業を望んだこともあり、一向は【拳国】へと歩を進めた。

 そして補給地点として立ち寄った【枢国】崩壊という大事件に巻き込まれたものの、事態の終息に大きく貢献し現地の《操族》から信頼を得ることになった。


 一紗(イーシャ)達は再び最初の目的地を目指すことになるわけだが、一つ問題があった。

 それは美鳳(メイフォン)への恭順を誓った《操族》達をどうするかである。

 呪術を解除したことで人形の暴走は止まったものの、いまだに国土は荒廃しており、人形に酷使されていた国民は栄養失調になっている。

 いつ流浪の盗賊に襲われるか分からない今、そのまま旅立つという選択は在り得なかった。


「ボクが残ろう」


 《操族》の守護者として名乗りを上げたのは栞那(カンナ)だった。元々【倭国】で虐げられる民衆を助けようと体を張っていたため傷つく《操族》を見捨てられなかったのだ。


「貴女が残ってくれるなら心強いですが良いのですか?」


「ああ。【拳国】の武術には興味もあるけれど、鎧兜(カイドウ)一紗(イーシャ)はそこに行かなきゃだろ? 美鳳(メイフォン)に用心棒はできないし」


「……助かります。ですがもう一人くらい補佐役を置いておきたいですね」


「なら育壌(ユーラン)栞那(カンナ)と一緒にいるゾ。壁が壊れちゃった《操族》にとって土の壁を造れる育壌(ユーラン)ノ力はきっと役に立つからナ。……ホントのことを言っちゃうともう少し休みたいしナ」


 育壌(ユーラン)は敵の主戦力と戦うために内に封じた邪神の力を行使した。汚染を司るその危険な力の反動がまだ残っているらしい。氣巧術発動に支障はないが万全の状態ではなかった。ここで長めの休息をとりつつ、防壁構築に協力したいというのが彼女の主張だった。


「……分かりました。では本土から少々の小間使いを派遣させますので二人は【枢国】の再建に助力してください」


「承知した」「分かったゾ」


 《壘族》の土属氣巧があれば即席の要塞を構築することができるだろう。元の迎撃機構を兼ね備えた防壁と比較すると見劣りするが、外敵のヘの牽制にはもってこいだ。

 その間に《操族》達が要塞の再建をすればよい。よしんば土の壁を壊そうとする者が現れても夜叉女の殺気と斬術を受ければ大人しくなるだろう。


 一紗(イーシャ)達が出発の準備をする間に美鳳(メイフォン)は短く《操族》達に指示を出していた。要塞再建の責任者となったのは(ザオ)(ルイ)であり、彼の補佐として(チョウ)綾繕(リンシャン)が指名された。かつて要塞の防壁を作り直した方がいいと考えていた彼らの願いが皮肉な形で叶うこととなったのだ。《人形操演師傭兵団》の団長達は栞那(カンナ)の指揮下に入り、国土の警戒にあたることとなる。


 決して外敵に【枢国】崩壊を知られてはならない。少なくとも情報が広がるのを遅らせなければならない。そのため盗賊等は容赦なく切り捨てる対処をとられた。


 大方の下準備は終わり、後は【愁国】から派遣されてくる小間使いの到着を待つのみとなる。

 【枢国】を併合することが決まってすぐ、医師、役人、傭兵など、再建に欠かせない人材と支援物資をもってくるように(フー)(ヤン)に連絡を取っていたので一週間後には彼らは到着した。


 ――がその中には意外な人物がいた。新緑色の髪色をした少女は【愁国】に一人しかいない。《杜族》の(フェイ)蕾華(レイファ)である。


一紗(イーシャ)さま~!!」


 彼女は想い人の姿を見つけるなりすぐにその胸に飛び込んでいった。

 その体温を確かめるように頬づりを繰り返している。予想外の人物から突然の行動をされたため回避が間に合わずそのまま地面に押し倒されされるがままになってしまった。


「レ、蕾華(レイファ)!? どうしてお前がここに……?」


「貴女は食料品生産のために【愁国】にいるはずでは?」


「まさか仕事ほっぽり出して来たんじゃないだろうな?」


「ひど~い。ちゃんとこなして来たわ。規定量まで作れば一紗(イーシャ)さまの所に行っていいって(ヤン)にお墨付き貰ったから頑張ったのよ!」


 国政のため、氣巧術を駆使して外国に輸出する食物をひたすら増やし続けるのは如何に《杜族》の姫としても並大抵のことではない。誰でもできるならそもそも飢饉は起こらないだろう。ひたすら木属氣巧を使用して日々やつれていく蕾華(レイファ)のモチベーションを底上げしたのは(フー)(ヤン)のささやきだった。規定量まで作れば一紗(イーシャ)に会えるというのは何よりの活力となったのだ。


(ヤン)……蕾華(レイファ)の扱いが上手くなってますね」


「【寥国】の時からほぼ一人で内政廻してやがるからなァ。食えねェ男だぜ」


 今も執務室で政務に明け暮れているであろう(ヤン)の思わぬ一面が知れた瞬間だった。

 彼が寄越した人材と支援物資も美鳳(メイフォン)を納得させるに十分であり、一向はすぐに【拳国】へと出発する。


「ここはボク達に任せて行って来てくれ」


「お土産持ってきてほしいゾ~」


 一時別れる仲間達に手を振って美鳳(メイフォン)一紗(イーシャ)鎧兜(カイドウ)、そして蕾華(レイファ)は馬を走らせた。



栞那(カンナ)育壌(ユーラン)OUT


蕾華(レイファ)INで始まりました


今回はネームドキャラクターはかなり抑えました。

お楽しみください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新きたー!今年も楽しみにしてます!
[良い点] 更新、待っていました~!。 [一言] 愁国の一同は、洋さんに頭が下がる思いだよね~w。ずっと働き詰めだもんww。 今回の旅は、久し振りの愁国初期メンバーである三人娘+鎧兜の構成になるね!…
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