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元召喚士の帰還  作者: とおりすがり
第3章 炎王の喧嘩
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第30話 火王国へ

 リベンジマッチ後、ソルアは他にも挨拶に行くところがあるらしく、別行動となった。


 俺は宿屋『風の便り』くらいしか行くところがなかった。

 もしかして俺、ソルアより社交性、ない?

 ……考えないことにしよう。


 ……。

 …………。


 そして集合時間を決めた時間となった。

 俺は既に北門にて準備を終えている。


「お待たせ」

「ああ。時間通りだな……って待てや」

「?」


 ソルアは両手いっぱいに食料を抱えていた。

 よく見れば、保存がききそうなものばかりだった。


「買ったのか?」

「もらった。

 今日出発って言ったらくれた」

「……良かったな」


 どうやらソルアはこの街の住人に大いに可愛がられていたようだ。

 マスコットみたいな扱いをしたくなる気持ちは分からなくはない。


「で、それ持って長距離移動できるのか?」

「むー……。むずかしいかも。

 ナギア、これしまっておける魔術、ない?」

「何で今俺がこうして荷物を背負っているんだと思う?」

「……ちっ」


 舌打ちするんじゃありません。


 魔術は万能ではあるが全能ではない。

 俺も自分の真の属性を知ってから色々模索してはいるが、まだまだ発展途上だ。


 今だって……。いや、これは今考える必要はない。


「じゃあどうするのこれ」

「俺に聞かれても……」


 俺とソルアは北門を前にして呆然と立ち尽くす。

 まさか俺たちの旅はここまでとなってしまうのか。

 原因はまさかの荷物多すぎ。

 一生外を歩けないレベルの間抜けでは?


「あなたがカムルナギアさんですか!!!」

「!?」


 突如背後から爆音の声がかかる。

 あまりの声の大きさに何を言っているのか理解が遅れるレベルだった。


 後ろを振り返れば大柄で筋肉質の男女ペアがにこやかな笑顔で立っていた。

 2人とも健康そうに日焼けした肌をして、鍛えられた肉体を見せつけるように露出が多い。

 それでも目のやり場に困るということがないというのは2人を見て初めに抱く印象が「戦士」だからだろうか。


「はい、俺がカムルナギアです。

 あなた方は……?」

「火王国公認護衛団『超爆裂団』所属、ライオットです!」

「同じく『超爆裂団』所属、リーズです!」


 バンッ!と右手の拳を左の手の平に打ち付ける。

 火王国独自の所作なのだろうか。


「あなたの火王国までの護衛を担当させていただきます!」

「あらゆる危機からお守りすることをお約束いたします!」


 すごく頼もしい。でも暑苦しい。

 ソルアが俺の後ろにこっそりと隠れる。人を盾にするんじゃない。


「おや、どうやらお連れ様はたくさんの荷物を抱えていらっしゃる様子。

 よろしければ我々がお運びしましょうか?」

「ご心配なく。これしきの荷物、我々の業務に何の影響も与えません!」

「……! じゃあこれ、今すぐ食べなくてもいい?」


 ここで全て消費するつもりだったのか……。


「お任せください!」

「我ら『超爆裂団』に敗北はありません!」


 何と戦ってるんだろう。

 ソルアが俺の後ろから出てきて2人に尊敬のまなざしを向ける。


「ナギア、この人たち、いい人」

「ちょろいなお前!」


 いつか変な人に騙されそうで不安だよ俺は。



 ……。

 …………。


 恐らく行商人らのために舗装されたであろう道。

 道沿いには青々と草が生い茂っている。


 風王国を出発して10分ほど。

 俺たちは雑談をしながら火王国への道を進んでいた。


「公認護衛団とは何ですか?」

「火王国は国家間の移動の護衛をすることが国家事業の1つ。

 公認護衛団は文字通り国の認証を受けた護衛団です!」

「公認護衛団に選ばれるためには厳しい審査と確かな実績が必要となります。

 その代わり、団員は公務員としての地位を得、その活動も公的活動に準じるものとして保障されます!」


 ライオットとリーズははきはきと答える。


「『超爆裂団』は火王国でも最大規模にして最も歴史のある公認護衛団!」

「『常勝爆砕』を社是として日々努力しております!」


 ババ―ン!という効果音がその内付きそうなレベルだ。

 社是も物騒だし……。爆砕ってなんだよ。


「かっこいい」

「「ありがとうございます!」」


 ソルアは2人が気に入ったようだ。

 多分荷物を持ってくれてるから。

 あんまり楽を覚えさせると我儘になりそうだな……。


 そのまま歩くことさらに数十分。

 変わらない景色に対する飽きと足の痛みを感じ始めてきた頃。

 突如ライオットが俺に止まるようスッと合図をする。

 リーズもそっと荷物を地面において戦闘態勢をとる。


 俺とソルアは合図のままにその場で静止。

 いきなり雰囲気がガラリと変わった2人を見守ることしかできない。


「リーズ」

「前方に4。武装あり。野盗と思われます」

「伏兵は」

「確認できません」

「よし」


 ライオットは拳を握って開くを繰り返してから、声を張り上げる。


「すでにそこにいることは分かっている!

 我らは『超爆裂団』! この名を聞いて恐れぬのならばかかってくるがいい!」


 どうやら遠くない場所に野盗が潜んでいるらしい。

 俺にはどこにいるのか全く分からない。


 野盗の反応はない。

 今もどこかで隙を窺っているのだろうか。


「そちらから来ないならば、こちらから行くまで! 行くぞっ!」

「えっ」


 ライオットは気合い一発、全力で前方に駆けて行く。

 護衛ってそんな積極的に殺りに行くものでしたっけ?

 俺、一応護衛対象なんですけど……。


「唸れ剛腕! 『フレイムナックル』!」


 ライオットの拳の先に魔法陣が展開。

 振りぬいた拳の先から炎が一直線に放たれる。

 炎は草を焼き払い、そこに隠れていた男たちをあらわにした。


「そこか! 逃がさん! 『フレイムキック』!」

「ぎゃああああ!」


 回し蹴りのように動くライオットの足の動きに合わせて炎が男たちを襲う。

 男たちが着ていた服に引火し、その場でゴロゴロ転げまわる。


「とどめだ! 『キャメルクラッチ』!」

「いやそれ魔術じゃないな?」


 別に叫ばなくても使えるからそれ。

 あ、でもそういう技なんですね。

 食らったことしかないので見るのは初めてです。


 一人ひとり丁寧にキャメルクラッチをして気絶させていったライオットは持っていた縄で全員を捕縛。

 うむ、と満足げに頷く。


「常・勝!」

「FOOOOO!」


 決めポーズを決めるライオットと歓声を上げるリーズ。


「「……」」


 なるほど。こういう感じか。

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