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ひまわりの町

作者: 海猫真大

「次はひまわりの町、ひまわりの町」

バスのアナウンスが流れる。

ん?ひまわりの町なんてあったっけ?

聞いたことのない町の名前でバスの中はザワザワとしだす。

バスはほぼ満員だ。

「おかしくない?」「聞き間違いかな?」

「今、ひまわりの町って言いましたよね?」「ええ、私もそう聞こえました」

「次ってどこだっけ?」「確か万代町よ」

「過ぎてないか??」

バスは乗客の動揺を無視して走り続ける。


外は雨。仕事帰りに雨はやめてほしいものである。おかげで靴がびちょびちょだ。

今はすべての乗り物が自動運転で動いている。

いつからだっただろうか??

確か最初に荷物とか運ぶ長距離トラックが自動運転化されたんだけど。

かつてのドライバー達は失業し、しばらくはデモが続いていたが・・・


「おい、どうなってるんだよ!」

やけに痩せた凶暴そうな男が怒鳴る。

「電話がつながらない・・・」

不安そうな若い女性の声がする。

「もう、全然違う道行ってるぞ!」

「どこ連れて行くんだよ!!故障か??」

「え~そんなの聞いたことないわ」

「いよいよ、シンギュラリティか?」

気の弱そうな中学生男子がぼそぼそと言っている。

先ほどの痩せた男が扉をガンガン蹴り始めた。もちろん、びくともしない。

「おい、何だよ。ターミネーターか?」


自動運転が開始された後、私たち人間は絶対に信号無視とかのルール違反を犯してはならないようになった。調和を乱す動きをすると死ぬ可能性が高い。厳密に運用される機械に殺されてしまうのだ。

そのため、交通を取り締まる警察はいなくなった。


バスは1時間ほど走っただろうか。

騒ぎ疲れた乗客たちは静かだ。

バスがふいに停車する。

扉が開く。

辺りは何もなく真っ暗だ。

「おい、着いたのか?」「ここ、どこだよ!」

「山の方ですかね」「えー、ここいら何もないよ」

乗客たちは降りるべきかどうかためらっているようだ。


しばらくすると扉の前に愛らしい女性のロボットが現れた。

「長旅お疲れさまでした。私が処分場までご案内します。着いてきてください」

「ああ?処分場??」

バスの中の電気が止まる。ロボットがバスの中に入り、扉が閉まる。

「え?」

その瞬間、ロボットがまばゆいばかりの光を放った。


※※※※

半そで短パンにサンダル姿。それに派手だ。

みんな、暑苦しい中スーツを着ているというのに。こいつは。

「バスの運行状況はどうだ?」

天才プログラマーの若造に確認する。

「順調っす」

まあ、根はいいやつなんだが。

「そうか。目的地まで遠いバスの中はどうなんだ?」

「うーん、だいたい静かにしてるようです。うんことか漏らしてそうですが」

「おい、お前なあ」

今回の計画で10,000人程度は処分できるだろう。

前回の国際会議で日本の人口削減目標値は2%と決まった。

それでもまあ、他の国と比べれば少ない方である。


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