第二話 運命のゲーム
何か脱字や誤字があったら指摘してくれると嬉しいです。
目的地に着いたジェレイドたちは悲惨な光景を見た。
人々がいない・・・・・・、逃げたのか? いや周囲が血で染まっている。
恐らく逃げたのではなく喰われてしまったのだろう。
「クソッ・・・・・・!」
ジェレイドは舌打ちを打つと歩き始めた。
生存者はいないか? 希望を胸に瓦礫の山を崩していくと呻き声が聞こえてきた。
瓦礫の下の方からだ、ジェレイドが重剣で瓦礫の山を崩していくと顔が見えてきた。
一〇歳ぐらい少女が瓦礫の下敷きなり呻き声を上げている。
「大丈夫か?!」
ジェレイドが聞くと少女はコクリとうなずいた。
一つひとつ瓦礫を除けていくと少女の体が見え始めた。
出血がひどく迅速に応急処置をしなければ危ない状態だ。
ジェレイドはエリサを呼び、包帯などの道具を使い手際よく手当てしていく。
そのときジェレイドの後ろの瓦礫の山が崩れ、3メートル程度のイモムシが現れた。
「チッ・・・・・・、ワーム型か・・・・・・」
ジェレイドは舌打ちをして重剣を構える。
イモムシの口には牙がビッシリと生えていた。
イモムシがいきなりジェレイド向かってに飛び掛る。
しかし次の瞬間、イモムシは縦に真っ二つになり断末魔を上げ力尽きた。
「手を汚すなザコが・・・・・・」
呟き少女に目を向ける、そこには真紅に染まった包帯に包まれた少女がいた。
こうなってしまっては死んでしまう・・・・・・、時間の問題だった。
ジェレイドは少女を背負い立ち上がった、
「急ぐぞ・・・・・・!」
そう言い立ち去ろうとした時、目の前に何かが現れた。
人の体に翼の生えた体を宙に浮かせ、ジェレイドたちを見ていた。
それは笑っていた。
紫色の唇を醜く歪ませて笑っていた。
「あんたたち『ディスアクト』だろ?」
それは気軽く話しかける、それでも殺気を放っていた。
「貴様・・・・・・、イーターなのか・・・・・・?」
ジェレイドは重剣を取り出し問い掛ける。
「おいおい、待ってくれよ、先に質問したのはこっちだろ?」
それは子供のように無邪気、無邪気だからこそ手加減ということをしない。
殺しても何の罪悪感もない、危険な存在だった、だからこそ従う。
「そうだ」
ジェレイドは答え、重剣と堅盾を構える。
「俺はイーターだ、だけどそこらへんの雑魚といっしょにしないでほしいな、
アークスという名前もあるしな」
アークスは淡々と告げる。
「俺は『ディスティーダ』と呼ばれる階級のイーターだ」
階級、そんなものは初めて聞いた、ジェレイドは戸惑いながらも質問していく。
アークスは笑いながらジェレイドたちを見つめている。
悪魔、誰もが悪魔と思うほどのそいつにジェレイドはゆっくりと問い掛ける。
「何のためにここに来た・・・・・・?」
なぜこんな小さな村に、このような強大な力を持ったイーターが居るのか?
目的が無ければこんなところには来ない筈だ。
「これだよ」
そう言い掌を広げてジェレイドたちに見せる。
それは小さな真紅のブロックだった。
「これは『神の心臓』だ」
神の心臓・・・・・・? 俺たちが契約している神のか?
しかし神はこの世には実体が無い、古い伝説の産物かもしれない、
「何なんだそれは?」
アークスは呆れたように首を傾げ、溜め息をついた。
「言っただろ?『神の心臓』だよ」
「違う・・・・・・、俺はそれはどういうものなのかを聞いているんだ」
アークスはやっと理解したように納得の表情を見せた。
神の心臓を宙に放り投げてみたりしながら言う。
「これがあればいくらでも生命を生み出すことができる」
ジェレイドにはどういうことか分からなかった。
しかし、数秒考えると意味を理解することができた。
神の心臓を使いイーターを生み出す。
それはディスアクトたちにとって最悪の結末へと導くカギとなってしまった。
「それを渡せ・・・・・・」
アークスは嘲笑しながら『神の心臓』をジェレイドに向かい投げつける。
ジェレイドは受け取りアークスを睨みつける。
「よくこんな簡単に渡すな・・・・・・諦めたのか?」
アークスは鼻で笑い馬鹿にする。
「諦める? そんなわけ無いだろ?
これはゲームさ、俺たちイーターを殺すかお前等ディスアクトが死ぬかのな」
ふざけるな! ジェレイドは激怒した、命を掛けた戦いがゲームだと?
そんな馬鹿げたことやる必要なんて無い!
しかしジェレイドはやるしかなかった。
人々の命を救うためにはやるしかなかった。
「わかった・・・・・・」
アークスは背を向け去っていく。
ジェレイドも背を向け自らの居場所へと帰っていく。
エリサは少女を背負い早足でジェレイドの後を追う。
自分が居るべき場所へ。