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無能召喚士の無双契約  作者: 天乃幽
第一章
4/7

無能なりの努力の結果

遅れました。申し訳ないです。

既に、PVの総数が500を超え、現実逃避に走っておりました。

一樹が、自身の無能っぷりを突きつけられてから、二週間が経とうといた。


現在、一樹は王立図書館にて調べものをしている。現在、彼の手には"魔法大全"というなんの捻りもないタイトルの本がある。机の上には、魔物図鑑やらこの世界の歴史書といったものが乱雑に積み上げられている。


理由は単純明快。クラスメイトの訓練についていけないから……である。一樹のステータスが低すぎるため、全くついていけなかったのだ。その上、属性魔法の適性が皆無なため、魔法職用の訓練すら行えないのが現状である。


言うまでもなく、一樹は耕平達三人組にイジメられ、その度に春菜と冬華に助けられる事を繰り返す日々を過ごしたのだった。もっとも、助けられる度にイジメは悪化していくだけだったのだが。


耕平の「訓練すらまともについてこれないやつは、さっさと死んじまえ。神代にとっても邪魔にしかならねぇんだから!はははっ!」と言う言葉が、一樹には一番堪えたため、訓練は自主的に出ていない。


そんな初めからついてしまった実力差を、一樹は知識や小技でどうにかできないかと考えたのだ。と、言っても大した成長は得られなかったのだが。


一樹は思わず「はぁ~~」と大きなため息をつく。手に持っていた本を閉じ、ドスンと音をたてて机に置く。余りに雑な扱いから、遠くにいる司書達が凄まじい形相で睨む。


ビクッとなった一樹が、謝罪をすると「次やったら追い出すぞゴラ!」とでもいうような、目の笑っていない笑みを頂戴して見逃していただく。「なにやってんだか……」と自分で自分にツッコミを入れながら再び大きなため息を吐いた。


―――――――――――――――――――――――――――

八雲 一樹 17歳 男

天職:召喚士 レベル2

筋力:12

体力:12

敏捷:12

精神:50

魔力:100

魔耐:50

技能:空間魔法[+召喚魔法]・錬成・鑑定・言語理解

―――――――――――――――――――――――――――


これが一樹の現在のステータスだ。大榎の協力と図書館通いの結果、二つの技能を獲られたものの、ステータス的には大して延びていない。余りの延びなささに「刻みすぎだろ!?」と叫んだこともある一樹だった。


因みに、正輝はというと、

―――――――――――――――――――――――――――

櫻井 正輝 17才 男

天職:勇者 レベル5

筋力:250

体力:250

敏捷:250

精神:250

魔力:250

魔耐:250

技能:剣術・全属性適正・全属性耐性・剛力・先見・遠見・縮地・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

―――――――――――――――――――――――――――

となっている。


レベルの成長率だけでも五倍。能力値の延びに至っては、凄まじい差が生まれている。グラン曰く、正輝は特別らしい。本来は、こんな延びかたは異常だと言う。


一樹が、唯一まともな延びを見せた魔力値だが、単に訓練中魔力切れを連発した結果らしい。


一樹には、属性魔法の適性がない。この世界において"魔法の適性がない"とは、この属性魔法の適性がない状態を指す。


アヴェンの魔法は、詠唱によって体内の魔法を操作し、それぞれの魔法に対応した魔方陣へ流し込むことによって、魔法が発動する。この時、術者の適性によって必要な魔力量と魔方陣の大きさが異なるのである。


詠唱が長くなるほど、消費魔力が増大し魔方陣も大きく複雑化していく。よって、適性が高いほど、詠唱が短くて済み、結果として魔方陣が小さくなるのだ。


RPGで定番の火の玉を投射する魔法"火球"は、直進するだけでも、一般的に直径十センチほどの魔方陣を必要とする。基本は、属性・威力・射程・範囲・魔力吸収(体内から魔力を吸い取る)の式が必要で、後は誘導性や持続時間等付加要素が付く度に式を加えていき魔法陣が大きくなるということだ。


しかし、この原則にも例外がある。それが適性だ。


 適性とは、言ってみれば体質によりどれくらい式を省略できるかというものである。例えば、火属性の適性があれば、式に属性を書き込む必要はなく、その分式を小さくできると言った具合だ。この省略は、イメージによって補完され、式に属性を書き込む必要がない代わりに詠唱時に火をイメージすることで魔法に火属性が付加されるのである。


その結果、全属性適性を持つ正輝であれば一センチ程でよい。逆に、一樹の場合は、三十センチほどは必要となるのである。


ちなみに魔法陣は、一般には特殊な紙を使った使い捨てタイプか、鉱物に刻むタイプの二つがある。前者は、バリエーションは豊かになるが一回の使い捨てだ。後者は嵩張るので種類は持てないが、何度でも使えて威力を補助しやすいというメリット・デメリットがある。クヴェラ達神官が持っていた錫杖や国の保管するアーティファクトは後者だ。稀に、本として前者を使う者もいるらしいが。


一応、一樹は思いついた裏技で一度だけ空間魔法を使えるようになっていたり、錬成で落とし穴?や出っ張り?を作れるようにはなっていたりする。とはいっても、錬成は基本、発動時に地面に手を突かなければならず、空間魔法もそれ単体ではなんの意味もなさないものしか使えない上、時間がかかりすぎる。戦闘中であれば、これはただの自殺行為にしかならないため、役には立たない。


この二週間で、クラスメイトから無能のレッテルを張られた一樹。知識を溜め込み新しいことを覚えても、先行きが全く見えず、無意識に吐くため息が増えた。


いっそ、一人旅に出てしまおうか。などと図書館から見える青い空を見ながら思い始める。


(亜人の村に行ってみたくはあるんだよな、獣人族だっけ。やっぱり、ケモミミ見ずして異世界は語れないよね!……東の海にある島国にいるらしい竜人族にも会ってみたい。ただ、両方人間には行きづらい所なんだよな。樹海と鎖国って。それに、被差別種族らしくて外じゃあまり見ないし)


一樹の知識通り、亜人と呼ばれる種族はどれも差別を受けている所属ばかりである。現在、天翼族と海人族のみ国によって保護されている。彼らは基本的に大陸西部に南北に渡って広がる"アルカトス樹海"の深部に引き篭っている。なぜ、差別されているのかというと彼等が一切魔力を持っていないからだ。


創造神セアド達に、神代の神々は神期魔法と呼ばれる今では失われた魔法によって、この世界を創ったとされている。そして、現在使用されている魔法は、その劣化版のようなものと認識されている。それ故、魔法は神からのギフトであるという価値観が強い。もちろん、聖教教会がそう教えているためだが。


そのような事情から魔力を一切持たず魔法が使えない種族である亜人族は神から見放された悪しき種族と考えられているのである。


じゃあ、魔獣はどうなるんだ!となるが、魔獣は、自然災害と同列に扱われており、種族ではない。それどころか生物ですらないという考えらしい。


なお、魔人族は聖教教会の“セアド様”とは別の神を崇めているらしいが、基本的な亜人に対する考え方は同じらしい。


 この魔人族は、全員が高い魔法適性を持っており、人間族より遥かに短い詠唱と小さな魔法陣で強力な魔法を繰り出すらしい。数は少ないが、南大陸中央にある魔人の王国ゲナヴィスでは、国民総戦士の国と言えるほどらしい。子供ですら、実戦投入可能らしいのだ。


 人間族は、崇める神の違いから魔人族を仇敵と定め(聖教教会の教え)、神に愛されていないと亜人族を差別する。魔人族も同じだ。また、亜人族は土着の信仰を持っている。亜人族からしたら、もう放っておいてくれとでも言いたげな状況だ。


亜人族と言われない竜人族と精霊種はまた、違った扱いを受けているため、実に人間族は排他的な種族だ。


因みに、この世界は北に山脈、南に魔人領、東に大海、西に樹海といった地理をしている。


そして、明日から一樹達が向かうことになっている"アイラスの虚塔"と呼ばれる地下迷宮は七大迷宮という危険地帯とされている。


七大迷宮とは、かつて神に逆らった反逆者が創ったとされる七つの遺跡の総称である。しかし、アイラスの虚塔以外は場所ははっきりとしておらず、七つあるということだけが伝わっているのが現状だ。


(はあ、帝国やら商業都市やら魅力的な場所はたくさんあるというのに、どうして戦争なんかに参加しなければならないんだ……)


帝国とは、"アーライク帝国"の事で、この王国と面している軍事国家のことだ。現在、武力だけであれば人間の国で世界一らしい。


完全な実力主義を掲げており、帝室ですらその例外ではないらしい。治安が悪く、相当ブラックな国というイメージだ。


商業都市は、"中立商業都市ヴァイレ"は帝国と王国の丁度中間に位置する大都市だ。商業が発達しており、世界中の流通の根幹を担っている。


その役割から、もはや都市ではなく国家とも言える経済力を持っているため、中立であることを示すために"冒険者ギルド"と"商業ギルド"によって管理されている。


「……あ!ヤバい、今日の訓練は絶対参加しなければならないんだった!」


慌てて図書館を飛び出す一樹。しかし、現実逃避気味の暗い思考は、少しも無くなることはなかった。

えー、短くてすみません。

説明ばかりで退屈な回だったと思います。ですが、あともう一話ほどお付き合い願います。一樹と春菜に伏線を張っておかねばならないのですよ(暗黒微笑)


私の息抜きで書いているもうひとつの作品も宜しければ、お願いいたします。

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