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&DEAD  作者: メアリー=ドゥ
第3話:ポーカー
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第1節:欲望の壕


「お前はどうしたい?」


 彼は言う。


「誰がどうなろうと、俺は興味がない」


 静かに微笑んで、そう告げられる。

 だが彼の。


「ただ、お前が望むままに、全てを動かしてやる」


 その笑みは、悪魔のようにしか見えない。


※※※


「く……黒、15」


 ディーラーが、冷や汗とともに宣言した番号に。

 ざわ、と観客がざわめく。


 そして、ルーレットが完全に止まると。

 今度は逆に、周囲は沈黙に包まれた。


 冬子はその様子を、春樹の斜め後ろに立って、見ていた。


 その沈黙のど真ん中に陣取る少年が。

 傲然と足を組み、口許に笑みと八重歯を覗かせているのを。


「チップ、寄越せや」


 春樹は言った。

 そこは、裏カジノだった。


 名古屋以北で十指に入る組織が経営しており、チップは一枚1000円。

 たった五枚のチップから始まって、八回。


 カジノのルーレットテーブルで。

 春樹は、倍率36倍の全額一目掛けを。


 8回連続で、的中させたのだ。


 現在彼が手にしている金額の合計はーーー約、3億。


「次や」


 チップがうずたかく積まれると、春樹は告げる。

 すでにテーブルは、春樹とディーラーの一騎打ちになっていた。


 バカラやポーカーのテーブルからも、客が集まって来ている。

 ディーラーが、震える手でベットのベルを鳴らした。


 春樹は無造作に、目のまえのチップ全てを再び一目掛けにする。

 数字は、0。


 観客が再びどよめき、ディーラーの目の光が、暗く沈んだ。

 何を考えているのか、不穏な空気を纏うディーラーがホイールを回転させ、ボールを投げ入れる。

 その瞬間、ニヤ、と春樹が笑い。




 チップを全て、00へと滑らせた。




「兄ちゃん、別にええねんけどな」


 春樹は親指と人指し指をこすり合わせながら、ディーラーをいさめる。


「最後のんは、逆に読みやすいで? オレみたいなの相手には、やめといた方がええよ」


 ベット終了のベルと、最早言葉もない周囲。

 がっくりと肩を落としたディーラーは。


 もはや、数字を宣言する余裕すら持ち合わせていないようだった。


「チップ」


 と、要求する春樹の肩に。

 彼の背後から近づいて来た黒服の男が手を掛けた。


「なんや? ここも、もう終わりなんか?」

「失礼。オーナーが、あなたに面会を求めております」

「ふぅん。換金してくれるん?」

「また、後ほど……」

「ま、ええやろ」


 春樹は肩をすくめた。

 そして立ち上がり、黒服を指差す。


「108億やで。覚えときや?」


 黒服は、黙って頭を下げて歩き出した。

 春樹がついて行き、冬子もそれに続く。

 冬子は歩きながら、この状況になった理由を思い返していた。


 ーーー時間は、二週間ほど前に遡る。


※※※


「トーコ。明日出かけるけど、一緒に行く?」


 休みの前日。

 冬子が『UteLs』に遊びに行くと、春樹はそう言った。


 彼女がうなずくと、春樹が最初に向かったのはパチンコ屋だった。


「その筋の人が経営する、系列店や」


 春樹はあっさりと言い、足を踏み入れる。

 春樹は休憩や昼食を挟んで、始業から終業まで店から動かずに打ち続けた。


「後一週間くらい、毎日通うわ」


 そして、次の休み。

 説明した春樹が店に着くと、目つきの悪い男の人が車を止めて待っていた。


 春樹に気付くと、駆け寄ってくる。


「この人は、イカサマ師とか、プロの方々を違う場所に連れてく人やで」


 彼は笑いながら言い、気負った様子もなく車に乗り込んだ。

 その際に、今まで稼いだ分らしいお金の入った鞄を渡してから。


 ―――どこに行くんですか?


 冬子がそう問いかけると。


「闇賭博って知っとるか? 今から行くんは、その開催場所やな」


 そうして着いた、見知らぬクラブの奥で、ルーレットテーブルに座り。


 春樹は、108億と言う金額を、冬子の目の前で稼いだのだった。


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