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第6話 決戦! 非常識vs非常識!?

 とうとうこの時が来た。


 今度こそ、あの女の弱点を掴むことが出来るのだ。


 鴫原飛佳子はニタリと笑う。今日は湿気が妙に高い所為で、癖っ毛がとんでもないボリュームになっている。だがそんなことも気にならない。



 大学内の広い休憩スペースを見る。


 いた。火野里夏香。宿命の相手だ。



 飛佳子は夏香と向かい合うようにどっかり座り込む。

 夏香はフランスパンを齧っていたが、その手を止めた。


「どったの、飛佳子ちゃん?」

「今日こそ決着をつけてやるわ、火野里夏香!」

「ケッチャコ?」

「決着!! 何? オンドゥルブーム再来なわけ!?」


 いきなりペースを乱される。

 飛佳子は一旦大きく深呼吸し、改めて向き直る。


「今日はね、貴女に話があるの」

「ふむふむ」


 ガジガジ


「単刀直入に言わせてもらうけど、私は貴女が気に入らないの」

「そんなぁ」


 ガジガジ


「だからこの際ハッキリさせましょう」


 ガジガジ ガジガジ


「貴女と私、どっちが……」


 ガジガジガジガジガジガジガジガジ


「うるさぁぁぁぁぁぁいっ!!」

 飛佳子は思わず絶叫する。それでも尚、夏香はフランスパンをビーバーの様に齧っている。

「さっきからガジガジガジガジ、ガジガジ虫か何かなの貴女は!?」

「懐かしいね〜。私もそのゲームやり込んだよ」

「いや何の話よっ!?」


 これではダメだ。ただ話すだけで体力をごっそりと削ってくる。

 ここは戦法を変えなければならない。


「そうだ飛佳子ちゃん、フランスパンあげる」

 だが飛佳子が考えをまとめる前に、夏香から仕掛けてきた。バックの中からニュルリとフランスパンが顔を見せた。


「ちょっと待って、そのバックの何処にそんな長いフランスパンを入れてたの!? いらない、いらないから!」

「こんな良い音聴いてたら飯テロになっちゃうもんね。さぁ飛佳子ちゃん、新しいフランスパンよ!」

「だからいらな……ムグッフゥ!?」


 無理矢理口の中へ押し込まれた。大きなフランスパンは空気の逃げ場を完全に塞いでしまっていた。


「ほらほらほら、美味しいでしょ?」

「ムグッ! ムグゥゥン、ムグフゥ!! (は、早く、早くフランスパンを抜きなさい!)」

「え? もっと食べたいって? いいよ!」


 ムギュ


「ムグゥゥゥゥゥッ!!」




「…………」

 たまたま通りかかった奏は、見知った二人がフランスパンを押し込み押し込められている様を目撃してしまった。


「…………今日は、屋上で飯食うか」

 これを機に飛佳子が懲りることを祈りつつ、奏はその場を後にした。



 続く



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