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第十五話 「別に隠すようなものじゃない」

 「お目覚めですか?」

 「ああ、起きた。どれくらい寝てた?」

 「二時間ちょいですね」


 ふむ、案外短いな。

 ああ、よく寝た。


 寝たおかげで全身を襲っていた倦怠感は完全に取れている。


 「アキト様って毎回あんな風に倒れちゃうんですか?」

 「まさか、今回は魔剣くんとの併用が悪かったんだと思う。慣れてない神具をを使いながら別の神具をフル使用したし」


 それにデルフの宝具。

 あいつとの戦いはかなり神経をすり減らした。それも疲労の原因の一つだろうな。


 「それは良かったです。ああ、おじやがあるんですけど食べます?」

 「おかゆ……米か。貰うよ」


 この世界の主要穀物は麦と米だ。

 どちらも広く栽培されている。


 魔界は大陸中央部なので、米と麦の両方が栽培されている。


 「はい、アーン」

 「ん、旨いな」


 シンプルな卵の雑炊だ。このシンプルなのが良い。

 だが雑炊は嫌いじゃないが、肉の方が好きなんだよな……


 「アキト様の胃の調子が分からなかったのでおじやにしましたが……物足りないという顔ですね。後でステーキを焼くように厨房に言っておきます」

 「おう、よろしく。分厚く焼いてくれ。あと俺はミディアム・レアが好きだから」


 あの半分生で腹壊すんじゃねえかと心配になるやつが良い。


 「はいはい、分かりました。ところで今から悪魔の再召喚をするので来てください」

 「おう、分かった」


 俺はベットから降りる。

 聖剣ちゃんと魔剣くんを腰に刺し直す。よし、これで完成……ん?


 「どうしました?」

 「ちょっと義手の調子が悪いな」


 俺は義手の掌を開いたり閉じたりする。

 この義手は週一でメンテが必要だが、一か月していない。


 しかもデルフとの戦いで気力を流しまくったせいで、義手にガタが来てしまったようだ。

 

 今のところ戦闘に支障は無いが……


 「後でグロウに技師を紹介して貰わないとな……よし行こう!!」


 俺とメアは悪魔召喚の間に向かった。








 「イェエエエイ!!! 呼ばれて出てきました、みんなのアイドルデーモンちゃんです!! お兄さん、お嬢さん、代償はしっかり頂きましたぜ? これならかなりの物を持ってこれるぜ」


 相変わらずの悪魔である。 

 さっきとあまり変わらない……いや、アロハシャツの柄が変わっていた。芸が細かい奴だな。


 「どれくらい出来ますか?」

 「そうだねえ、四十キロ限界まで本を持ってくることはお茶の子さいさいよ?」


 悪魔はニヤリと笑う。

 メアは静かに頷いた。


 「では前に私のした要望通りに農業の本をお願いします」

 「実はさ、それでも余るんでよね。俺としては過剰分を貰うのは良いんだけど、今回は過剰分が滅茶苦茶多いんだよねえ。ちょっと取り過ぎかなと思うわけ。その辺、どうする?」

 「では新たに欲しくなったら呼び出しますね」


 この悪魔、中々誠実な奴だ。

 悪魔が良い奴なのか、それともこれだけサービスしないと商売が出来ないくらい不景気なのか。


 「なあ、悪魔。お前、この世界からモノを持ち運ぶことも出来るんだよな?」

 「おう。出来るぜ」

 「じゃあさ、これ持ってってくれない?」


 俺は筒に入れた羊皮紙を悪魔に渡す。

 悪魔は怪訝そうに筒を見つめる。


 「これは何だい? 兄ちゃん。いや、嫌なら言わなくても良いけど」

 「別に隠すようなモノじゃない。家族への手紙だ。俺が勇者になったことと、魔帝になること。そしてメアと結婚すること。帰れるように努力することが書いてある」


 一応俺の手紙だと分かるように、俺と家族しか知らないような秘密だとか過去のエピソードとかも書いてある。

 まあ信じて貰えなかったら、その時はその時だろ。


 「代償は……」

 「要らねえよ。これくらいはサービスするぜ!」


 悪魔は泣いていた。

 何だこいつ、面白いな。というかキャラ濃いな。


 「そうだよな……兄ちゃんは悪魔の俺もドン引きするレベルの戦闘狂だけど家族が居るもんな。ああ、もしかして家族と離れたからこんな歪んだ正確に? ああ、不憫だ。寂しかったよなあ。そうだよなあ……」


 いや、多分それは関係ないと思うぞ。

 俺の女、酒、芸術品好きはこの世界で覚えさせられた物……というか開花したものだし。

 戦闘狂癖も切っ掛けを掴んだのはこの世界だが、元々素質が有ったと思う。


 何でもかんでも異世界の所為にするのはなあ……


 基本的に異世界に転移してから冒険者になって人殺しとか平気で出来るようになる主人公って元からそういう資質が有るからだと思う。


 この世界にも虫一匹殺せない騎士候は居るしな。


 日本もこの世界に、人間の持つスペックの差はあれど性格や性質の差はあまり無い。

 悪い奴は悪いし、良い奴は良い奴だ。


 当然俺みたいな戦闘狂も少数例だ。この世界でも。

 まあ、戦闘狂の知り合いは結構いるけどね。


 それは類は友を呼ぶみたいな法則の結果だろ。



 「というわけで、俺はそろそろ行くぜ。さらば!!」

 

 悪魔はそう言って一瞬消えた。

 そしてすぐに帰って来た。


 「約束通り兄ちゃんの手紙は投函しておいた。で、これが本。じゃあな。また、御贔屓に!!」


 悪魔はそう言って消えた。

 魔術陣の中心には十冊以上の本が平積みになって置かれていた。


 写真付きの分かりやすそうなタイトルだ。サービス良いなあ、悪魔。


 「ところでメア。お前って日本語分かるの?」


 当然な話だが、この世界と日本語は違う言語だ。

 

 俺とメアが話しているのはこの世界の共通言語であるユリアス語だ。

 ちなみにユリアス語を話せるのは高等教育を受けた騎士候だけで、一般の平民は別の言語を話している。


 この世界には何百という種類の言語が存在する。

 同じ聖人種(ヒューマン)でも王国と帝国では言語が違うし。


 まあユリアス語が分かれば、大抵通じるけどね。


 俺が話せるのはユリアス語と俺を召喚した国である帝国のゲルニカ語。あと魔界のメジャー言語であるルシフェル語を片言。


 ユリアス語とゲルニカ語は俺を召喚した帝国第三王女(若干頭が残念)魔術師(自称世界の宝)聖女(夢は聖書と結婚)に教わった。

 

 聖書の朗読をさせられたなあ……


 ルシフェル語は捕まえた魔界の騎士候や現地の平民から少しづつ。あと最近はメアに教わっている。

 

 あれ?

 こう考えると俺って結構凄くない?


 まあ俺の姉貴は某有名最難関大学の医学部だからな。母さんが浮気でもしてない限り、DNAは良いんだろう。

 しかし中学の成績はあんまり良くなかったんだよな……

 

 英語とか『I don't anderstand』レベルだし。


 まあ、人間必死になれば出来ぬことは無いということだ。うん。





 「日本語なんて出来るわけないじゃないですか」

 

 メアは言った。じゃあどうすんだよ。


 「読み聞かせてください」

 「……本気で言ってるのか?」


 俺は頭痛を感じた。

 翻訳という作業は非常に面倒くさい。何故なら忠実に翻訳すると意味が若干異なってしまうからだ。


 そもそも違う言語なのだから、そっくり同じなわけがない。


 英語の『god』と日本語の『神』は正確に言えば意味が異なる。

 それと同じだ。


 その辺を考慮しなければ訳せない。うわああ、面倒癖え。


 「まあ、仕方が無いか。内政に必要なんだろ? だけどずっと読み聞かせするのも面倒だから、お前も覚えろよ。ああ、教えなきゃいけないのか」


 上手く出来るだろうか? 俺の脳味噌は筋肉だからな。

 まあメアは頭いいから、すぐに吸収してくれるに違いない。



 「じゃあ、よろしくお願いしますね?」

 「ああ、分かった。任せろ」



 斯くして寝る前に俺はメアに日本の農業書を読み聞かせることになった。

 ……雰囲気ぶち壊しじゃねえか。


 果たして俺とメアはいつ子作り出来るのか。

 まあメアが乗り気の時だけで良いか。

英文はわざとです


どうでも良いですが、今日は私の誕生日です

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