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名前のない青春  作者: 梨音
文化祭の企画と過ぎる日々
7/12

第7話「イヤリングと過去」

 センパイと明を買い物に誘ったのは明をはげますためだ。高校に入学してから、明は何かがおかしい。家に帰っても何かが自分の中で引っかかっている感覚がある。


 自分の部屋でハンドメイドについて調べると、かわいいキーホルダーの画像が表示された。


「……レジン?」


聞いたことのない単語が出てきたので明に電話できいてみる。


 スマホが四コール鳴ると明の声が聞こえてくる。


「もしもし」


「さっきぶり。明」


「うん。何か用?」


何だか明の声に活気が無い。やはり、強引に買い物の約束をねじ込んだからだろうか。


「学校で言っていたハンドメイドのレジンってなに?」


明が黙り込む。


「ハンドメイドのレジン? レジンについて知りたいってこと?」


私も自分の日本語がおかしいと思ったが、そこをいちいち突いてくるのが明だ。


「そうそう」


めんどうな男だなと思いながら間をつなぐ。


「レジンは、ライトあてると固まる透明なやつのこと」


「……つまり?」


「あー。動画送るからそれ見て」


キレ気味の明が電話を切ってくる。


 数分後、明から動画が送られてくる。動画には透明な液体? をシリコンの型に流し、ネイルで使うライトを当てているのが映し出された。


「これがレジンか」


そう、メッセージを送りスマホを充電機にさす。


 机の引き出しを開くと彼からもらったイヤリングが入っている。


――もう、好きじゃないのかな。


そのイヤリングは中学校の時に明からもらった物である。今でも個人的に出かけるときはつけている。壊さないように慎重に扱って……。


 つい過去のことを考えてしまった。引き出しを閉じ、机の上にあるアクリルスタンドをおがむ。私は、ちゃんと好きなものがあるから。

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