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名前のない青春  作者: 梨音
文化祭の企画と過ぎる日々
2/12

第2話「ニマニマ」

 学校に向かう。電車に乗り、学校の最寄り駅までスマホをいじる。


――さっき調べようとしたの、何だっけ。


不意に思い出した。でも、調べる内容を忘れるくらいだから、どうでもよいことだろう。気が付かなかったことにした。


最寄り駅に近づくにつれ、制服を着た人が増えてくる。


「まもなく、王林(おうりん)高校前、王林高校前。お出口は左側です」


電車の速度が緩やかになってくる。


 ドアが開くと改札口へ足早に向かう。混雑している空間は嫌いだ。


やたらときれいな校舎の正門を通過する。


「おはよー。(あきら)


誰かが俺をめがけて走ってくる。


(こころ)、声でかい。恥ずかしいっていう感情無いの?」


 声の正体は心だった。心と俺は中学校時代、同じクラスだったのだ。


心がニマニマしている。


「無いよ。てか、今日、生徒委員会でしょ! よろしく」


生徒会のことを、この高校での正式名称で呼んでいるのは違和感がある。


「おう。よろしく」


「明って、何組だっけ」


「三組。心は?」


表情がさらにニヤニヤする心。


「へぇー。覚えてないのかぁ」


口調がウザいので話題を変える。


「俺、教室こっちだから」


別れの挨拶のつもりだったが、そううまくいかなかった。


「私もこっちだよ~!」


「あっそ」


「教室となりだしね! まじ、よろしく!」


心の声が弾んでいる。俺にとっては、どうでもいいことだ。


「今度こそ、じゃあな」


一年三組の前で心と目を合わる。


「じゃあ。また」


心がリュックサックを肩から降ろす。

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