【第0話】『 ふと、後ろを振り向けば。 』
1.花束の約束【第0章】- The flower of life -〈第0話〉『 ふと、後ろを振り向けば。 』
夢を見ていたんだ。あくびが出るほど素敵な夢を。
世界はとても綺麗な場所だった。君が教えてくれたように。退屈なんかじゃなかった。
それは確かに、“意味のある一時”だったのさ。
いつかの憂鬱も、後悔も、今ある幸せも。
僕には全て必要な事だったと思えるし、全て欠けちゃいけない経験だったんだ。
辛い現実、優しい夢、甘い幻想、終わらない悪夢。全て僕には必要な事だったように思える。
壮大な時の中で僕らは多くの感情に出会いながら歳をとる。少しずつその感情を理解しながら、また新しい感情に出会う。
そうやって、生きていくのだ。僕らは。
時々、僕は自分がとても卑怯な人間だと思ってしまうんだ。
どうしようもなく最低で、卑劣な人間のようだと。
嘘をついたのは何度目だろう?
友を殺したのは何度目だろう?
人に失望されたのは何度目だろう?
神に見放されたのは何度目だろう?
いついかなる時でも、僕は全力を尽くしてきたつもりだ。
それでも届かない。
まだ僕には力が足りない。
この世界を救えなかった時のように、僕はまだまだ未熟な赤子と変わらないのだ。
そう言えば、この場所から始まったんだ。
全てを失ったあの日から、僕の途方もない旅は始まりを迎えた。
こうして風の音に耳を傾けると、何故だか懐かしい。
まるで愛おしい。
ここで、僕らはあの日、最後を迎えたのだから——。
最後まで読んでいただき、
誠にありがとうございました。
今後とも、
この作品を完結まで描き続ける所存であります。
もし少しでも良いと感じられましたら、ブックマークやコメントなどお待ちしております。
また、アドバイスやご指示等ございましたら、そちらも全て拝見させて頂きたく思います。