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【完結】霊亀の息子は硬度最高  作者: 真打
第二章 友達と修行
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2.36.拒否


 ガロット王国国王のスレイズさんがお城を出るということになれば、やはり兵士さんたちは騒ぎだすようで必死に準備をし始めていた。

 だがそれをすべて止めさせ、仕事に戻るようにと指示を出す。


「良い。仕事へ戻れ」

「ご、護衛もなしにどちらへ行かれるおつもりですか!?」

「護衛ならいる。大丈夫だから他の公爵家の者には黙っていてくれ」

「いや無理ですって!」


 わたわたと慌てた様子の兵士を完全に無視し、スレイズさんは城を僕たちと一緒に出た。

 ウチカゲお爺ちゃんも止めることはせずに無言でその後をついて行っている。

 これでいいんだろうか……。

 なんか迷惑なことをしている気しかしない……。


 そういえばウチカゲお爺ちゃんが前鬼の里を出る時もこんな感じだったなぁ。

 やっぱり偉い人が出るとなると、皆心配するのか……。

 でもまぁ、ケンラさんもいるし、ウチカゲお爺ちゃんも強いし、なんならアマリアズもいるから大丈夫でしょ。

 僕も危なさそうな気配は感じ取れるしね!


 ということで、僕たちはスレイズさんの案内の元目的地へと歩いていく。

 大きく綺麗な建物が並ぶ貴族街というところを通り過ぎ、下町へと降りる。

 先ほど通ったもう一枚の城壁をくぐり、馬車を預けている店を通り過ぎた。

 それからもう少し歩いていくと目的地へと辿り着いたようだ。

 アマリアズが変な挙動をして僕の後ろの隠れている。


 そこは普通の家だった。

 周囲は住宅街となっており、この家だけ突出してなにか特別というわけではない。

 石材と木材を上手く使って周囲の家屋に馴染んでおり、意外と地味な出で立ちだ。


「ここだな」

「どうしてスレイズさんはここを知っていたんですか?」

「ん? ああ、あのはた迷惑な迷子届を国中にまき散らしたのは誰かと思ってな。厳重注意をする為に住所だけは調べていたんだ。あとは兵士に任せたけどな」

「な、なるほど……」

「冒険者に頼むなり何なりすればそこまで迷惑にはならないのだがな……。ま、あの事件だけでもアマリアズに執着しているのは見て取れる。親だから当然かもしれないが、少し行きすぎているな」


 ため息交じりにそういったあと、家の扉をノックする。

 しばらく返事がなかったのでもう一度ノックをすると、家の中から物音が聞こえた。

 それにアマリアズはびくりと体を震わせて小さくなり、僕の後ろに完全に隠れる。


 しばらくするとその家の扉が開いた。

 中からは少し疲れた様子の女性が出てきて、僕たちの顔を凝視する。

 王族にしては地味な姿をしているスレイズさんのことは、貴族か何かにしか思っていないらしいようで、そこまで取り乱すこともなく首を傾げた。


「……どちらさんですか? 子供に……鬼……?」

「アトアの母親だな?」

「……ええ、その通りですが……」


 スレイズさんが僕にその場所をどけと手で促される。

 素直に半歩横に移動してアマリアズを前に出すと、なんてことをするんだとなぜか睨まれた。

 いや……仕方ないじゃん……。


 その瞬間、アマリアズのお母さんらしき人物が飛び込んでくる。


「アトア!!!!」

「ぎゃあああああ!!」


 避けることができなかったようで、アマリアズはがっしりホールドされて身動きが取れなくなってしまったようだ。

 苦し気なうめき声をあげるが、母親は一切力を緩めることなく抱きしめている。

 普段であれば感動の再会、というところなのだがアマリアズの話を聞いていることもあってなんだか感情的になれない。


「どこ行ってたの!! 心配したのよほんとうにもう!!」

「ぐぐ……。ふぐぅ……」

「再会の邪魔をして申し訳ないが、そのままだと潰れてしまうぞ」

「はっ」

「ぶはー!!」


 スレイズさんが気を利かせて声をかけ、アマリアズを解放させる。

 何度か咳き込んでその場を離れようとするが、母親はもう放そうとしていないらしく、アマリアズの手をしっかりと握りしめていた。

 振りほどこうとしているようだが、五歳の力では振りほどくことはできないらしい。


「あ、ああ、ありがとうございます……! 本当に、ありがとうございます……!」

「急に訪問して悪かったな。私はガロット王国国王スレイズ・コースレットだ」

「へぇ!!? こっここ国王様!!? あ、えっと、あ、アトアの母、ミレアと申します!」

「落ち着け」

「いやっ! え、っと! は、はい……!」


 こうなる予想は大体ついていたのか、スレイズさんは冷静にそういった。

 ミレアさんも自分を何とか落ち着かせ、身なりを整えはじめている。


「さて、どこから話すべきか……」

「どの道言わねばならんことだ。素早く済ませよ」

「そうだな。ミレア。アマリア……じゃなくて、アトアは前鬼の里で見つかった」

「前鬼の里!!? な、なんでそんな遠くに!? アトア、どうしてそんな所に行ったの? というかどうやって……」

「……」


 その問いにアマリアズはそっぽを向いて答えようとはしなかった。

 そういえばどうやってきたかは聞いていなかったなぁ……。

 徒歩で来たのかな?

 アマリアズならできそうだけど。


 そこで今度はウチカゲお爺ちゃんが話し出す。


「ミレア殿。実はアトアが妙な事件に巻き込まれてしまってな。このガロット王国で生活をするのが危険な状況になったのだ。ゆえに我が里、前鬼の里にて保護しようという話をスレイズ殿と話し合った結果決まった。しかしご両親の意見を聞かなければならない話ゆえ、こうして参じた次第ではあるのだが……」

「じ……事件って……?」

「詳しくは話せぬ。口外できるような話ではないのだ」


 その話を聞いて、ミレアはアマリアズを見て深く考えこみ始めた。

 だがその思案する時間は非常に短い。

 すぐに向きなおり、口を開く。


「お断りします」

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[一言] 毒親だぁ
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