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第15話


 雨の中、傘もささずに歩いている男の子が1人。

 どうしたものかと彼のここまでの道のりを辿ろうとすると、目の奥に強烈な痛みを感じました。


「うっ」


 こんな経験は初めてです。

 うめいて座り込んでしまいました。


「大丈夫か?」


 声をかけられて、顔を上げると、そこには心配そうな表情の彼がいました。

 両目で見るぶんには問題ないようです。


「ええ。なんとか」


 目の前で赤の他人が苦しんでいるのを見て手を差し伸べてくる。

 現代日本においてなかなかいない存在でしょう。


「?」


 頬に伝うものを感じて手をやると血がつきました。

 わたし、現在進行形で目元から血を流しているようです。

 そんなわたしのサングラスを取り払って、男の子は「驚いた。能力者か」と呟きました。


「俺にしてみたら目の前で知らないおじさんが血を流して倒れた、というちょっとしたホラーなんだが、偶然でもなさそうだ」


 能力者。

 確かにわたしは物心ついた頃から過去と未来を視る力があります。

 ありますが、それを“能力”と表現したのはこの子が初めてです。


「そうでしょうか」

「過去に読んだ本で“スタンド使いは惹かれ合う”と書かれていたが、似たようなものか」


 男の子はわたしのサングラスを指で弾くと、まるで奇術のように空間からもう一つのサングラスを引っ張り出しました。

 そして引っ張り出したサングラスをわたしにかけてきます。

 先ほどまで感じていた痛みが緩やかに引いていきます。


「どうだ?」

「心なしか視力が上がったような」

「そんな効果まで出るか」

「あなたは何者なんでしょう?」


 見た目はどこにでもいそうな小学校高学年ぐらいの少年です。

 今の智司くんと同い年ぐらいでしょうか。


「俺はかつて宮城賢と呼ばれていて……まあ、今は“クリス”だ」

「能力は?」

「今見せただろう。等価交換の法則を無視し、無から有を生み出す力だ」


 便利そうで羨ましいですねぇ。

 わたしは見たくもない過去を見せられて傷ついたり、見たくもない未来を見せられて不安になったりするのに。


「近い将来、能力者を束ねた組織が作られることになるのですが。あなたも来ませんか?」


 おそらく、また出会うことにはなりそうですが。

 勧誘はしておきましょう。

 本人の意思もありますからねぇ。


「俺が?」

「ええ」


 来ていただけるのなら歓迎しましょう。

 どの程度の規模になるかまでは見えていませんが。


「きっと今よりは楽しくなるはずですよ」





【そんな遭逢を取り付ける】

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