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第14話

「教員免許ですか?」


 わたしの提案に総平くんは「考えたこともなかった」と驚きました。

 向いていると思うんですけどねえ。

 小さい頃から智司くんの面倒を見てきた総平くんですから。

 子どもに囲まれても平気でしょうよ。


「教師にならなくてもいいんですよ。例えば非常勤講師だとか、学習塾だとか」

「あー、そういう手もあるんですね」

「将来の選択肢を増やしておきましょうよ」


 総平くんは「将来、将来かあ……」と唱えながら鍋をかき混ぜています。

 本日は何を作っているんでしょう。

 大学の課題も忙しいでしょうにこうやって三食作る手際の良さ。

 宗治くんにもしものことがあっても生活していけるでしょう。

 もしものことがないことが一番ですがね。


「智司くんの姿が見えませんが、どちらに?」


 低学年の頃から昨年度まで総平くんやわたしが送迎をしていた智司くん。

 今年度はようやく1人で登下校してくれるようになりました。


「ああ。学校終わってから氷見野さんのところに行っていて」


 氷見野……?

 そんな苗字の人間、身近には雅人くんしか思いつきませんが。


「なんでまた」

「理科の実験見せてくれたり、宿題教えてくれたりしてるみたいですよ」


 雅人くんが?

 全く想像できませんけれど。

 そんな面倒見のいいタイプでしたっけ。


「今度俺もいってみようかな」

「総平くんも?」

「え。だって、滅多にない機会じゃないですか。氷見野さんから直接学べるなんて」


 何のメリットがあって近づいてきているんでしょう。

 わざわざあの神佑大学の端っこのほうにある別館まで招き入れるなんて。


「わたしも行っていいでしょうか?」

「作倉さんも?」


 別段会いたいわけではありませんけど。

 あの無口な男が何を企んでいるのかは気になります。

 どんな研究をしているのかも詳しくは知りませんしねえ。


「ええ。雅人くんとは在学中も親しくしていましたし」

「そうなんですか? そのわりには氷見野さんとの思い出聞いたことないけど……?」


 それはそうでしょうよ。

 宗治くんになんやかんやと気に入られていた雅人くんのことは目の上のたんこぶでしたし。

 お世話のしがいがあったんでしょう。


「仲の良かったわたしを出迎える準備もあるでしょうし、智司くんのほうから『作倉が会いたがっていた』と伝えていただければ」

「わかりました。智司に言っておきます」






【そんな邂逅は見過ごせない】

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