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第7章(5)

「ガンッ ガンッ ガンッ」

ルイスの剣がたて続けにフィルの剣へと打ち込まれていく。フィルは力を抑えられたかのようにも見えたが、次の瞬間フィルはルイスの剣をなぎ払い、すっと鋭い剣をルイスの体に向けて突き出した。あと一突きで心臓を貫かれる、そんな状況に陥り、ルイスはやみくもにフィルに向って剣を突き刺した。

「ブスッ」

聞きなれない妙な音がルイスの耳元に届いた。見ると、フィルの胸にルイスの剣が突き刺さっている。

「うっ」

フィルはうめいて、そのまま横に倒れこんだ。ルイスは慌ててフィルの側に駆け寄り、彼の胸を押さえた。そこからたくさんの血がどくどくと流れ出し、ルイスの押さえている手は血の色で真っ赤に染まっていった。

「わざとだろ。わざと負けただろ」

ルイスは涙声になりながら、フィルに話しかけた。

「こっ、これでいいんだ。俺が大人になってもいいことなんて何もないからな」

フィルは苦しげに、息を吐いた。

「月の光はおまえに託したからな」

「嫌だよ。剣術にも長けてない僕が持つべきじゃない。君がもたなきゃ意味がない」

「人を守ろうとするおまえが持て。それが一番だ。俺はおまえの影になって見ているからな。俺のこと忘れるなよ」

「忘れないよ。忘れるもんかっ」

ルイスは泣きじゃくりながら、怒ったように言った。

「私も忘れないわ」

クリスティーナは目にいっぱい涙をためながら、フィルの側に座り込んだ。

「こんな血が出て。これでもフィルは僕の影だっていうのかい」

ルイスは激しく訴えながら、メンフィスを睨んだ。

「よく見てごらん」

メンフィスにそう言われ、ルイスは目をフィルの方へと戻した。するとどうだろう。あんなに出ていたたくさんの血は止まり、彼の体は徐々に黒い色へと変化していった。最初は足下から、次に胴体へ、最後には顔まで達し、苦しげな表情も口も鼻も目も全てが真っ黒となり、のっぺりとした見慣れた影の形へと変わっていった。そのうち、押さえていた胸にも厚みがなくなり、彼は正真正銘の影となってしまった。もう口を聞くこともできないのだと思うと、ルイスは悲しくて悲しくて、胸が張り裂けそうだった。

「さあ、立つんだよ、ルイス」

ルイスはメンフィスに言われるままに立ち上がった。彼女は、石畳に横たわっているその影とルイスの足下に向かって怪しげな呪文を唱えた。するとその二つの足はぴったりと合わさり、ルイスの足下には、欲して止まなかった影の姿がそこにはあった。そうしてその横には忘れ去られたかのように月の光が置き去りにされていた。

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