第5章(5)
急に言い出したクリスティーナにルイスは目を丸くした。
「えっ。ほんとに行くの?」
「ええ、今度こそ本当に決めたわ。今回のその炎が本当に魔法の力なのかどうか、それを知るために」
きっぱりと言い切るクリスティーナのその言葉には、もうどこにも迷っている節は見当たらなかった。
「そっか、じゃあ。僕達の行く影の都よりも、もっと遠くへ行かないといけないんだね」
「そうね。そういうことになるわね」
「一人で大丈夫?」
ルイスが心配そうに彼女に尋ねた。
「たぶん、大丈夫だと思うわ」
「なら、星の石をもらおうか」
フィルは何の感情も持ち合わせていないかのように、冷たく言い放った。
「フィル、何も今そんな話しなくてもいいじゃないか」
彼の憮然とした態度に、ルイスは非難がましく言った。
「けどよ、俺は約束通り、太陽の塔まで連れて来て、しかもさっきは助けにも行ったんだぜ。もう、もらってもいいだろ」
当たり前だと言わんばかりのフィルに、クリスティーナはうなずいた。
「そうね。最初の約束はもう果たされたんだし。それに何度も助けてもらったのだから、星の石を渡すのは当然だわ。ちょっと待ってね」
クリスティーナは部屋に戻ってきてから、フィルから星の石の包みを受け取っていた。彼女は荷物に入れ直したその包みをもう一度取り出すと、何個かある星の石の中から、一つだけ取り出し、それをフィルの手に握らせた。
「星の石は渡したけれども、影の都まで一緒について行ってもいいかしら」
「別に構わないぜ、俺は」
フィルはぶっきらぼうに呟いたのに対して、ルイスは喜び勇んで、もちろんだよと叫んだ。こうして、長かった一日はようやく終わりを告げ、三人はベッドの中へと潜り込むと、あっという間に眠りに落ちていった。
あくる日の朝、三人は早々に身支度を整えると、宿を後にした。宿のカウンターの上にはきっちり星の石一個だけが置かれており、宿の亭主はそれを後になってから見つけると、三人が旅立ったことを知ったのだった。




