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第3章(5)

二人はごった返している通りの中を、時々立ち止まったり、人にぶつかったりしながら、ようやく宿屋が立ち並んでいる通りを見つけ出した。ルイスとクリスティーナは、一旦ほっとしたが、実際に宿屋の戸を叩いてみると、今度は別の問題が持ち上がった。宿屋の主人達は、最初は愛想よく笑って出迎えてくれるのだが、泊まる客が子供だけだと分かると手のひらを返したように断ってくるのだ。この状況をどうしたら良いかと、二人は頭を抱えてしまった。

「だから俺は、野宿でいいって言ったのにな」

フィルはぶつぶつと呟いている。

「今からでも、遅くないぜ。ここらへんだったら、そこらの木の下で十分だろうしな」

ルイスはフィルの意見に従うのは、面白くなかったが、宿屋に泊まれないならそうせざるを得ないだろうと思った。

「どうする、クリスティーナ」

「そうね。でも、明日は太陽の塔に行くのだから、身なりをきちんとしないとまずいと思うわ。お湯の使えるところにやっぱり泊まりたいわ」

クリスティーナは自分の薄汚れた手足を見てため息をついた。

「ああ、そうか。太陽の塔って言うのはこの世界の中で一番すごいところだって、前言ってたよね。けど、そうは言ってもこのままだと泊めてもらえそうもないね」

ルイスは残念そうにクリスティーナを見た。しかし彼女は、黙って何かを考えているようであった。そうしてしばらくしてから、彼女は口を開いた。

「そう言えば、まだ試してないことがあったわ。もう一度宿屋に行ってみましょう」

「試してないことって?」

ルイスが聞くと、クリスティーナはこう答えた。

「見てれば分かるわ」

彼女はそう言うと二人を引き連れ追い返された宿屋の一つに入って行った。三人が入って行くと、宿屋の主人はまたあんたらかといった表情をした。

「何度来ても、無駄だよ。子供だけじゃ、信用におけないんだから」

「お金なら持ってます。先に払いましょうか」

クリスティーナは主人が帰ってくれと言い出す前に、すぐさまそう言った。

「まあ、先払いなら、安心だが。しかし、やっぱり子供じゃ何をし出すか、分からんからな。お嬢さん、お金の問題じゃないんだよ」

主人はもっともらしく腕を組みながら、三人を見下ろした。

「それでは珍しい物を差しあげるというのはどうでしょうか。それは高価な物で、なかなか手に入らないと聞きます。貴重な物を持っている私達は、信頼できる者にあたると思うのですが、どうでしょうか」

「珍しい物」

主人は眉をぴくりとあげながら、怪訝そうにクリスティーナを見やった。

「本当にそれは珍しい物なのかい」

「ええ、そう聞いています」

クリスティーナは主人をしっかりと見据えながら、淀みなく言った。

「そんなに言うなら、見せてごらん。本当にそうなら、泊めてやってもかまわんよ」

「本当ですか。ならお見せします」

彼女は自分の荷物の中から、小さな包みを取り出し、主人に見えるように前へと差し出した。そこには白い小さな石がまばゆく輝いていた。

「これは」

一瞬言葉を失ったように、主人は石を見つめていた。忘れていた記憶を手繰り寄せようとしているのか、主人は顎をなで回しながら小難しい表情を浮かべていた。けれどもそのうち、ぱちんと手を叩くと大きな声で叫んだ。

「今、思い出したぞ。これは星の石だろ。最近じゃあ、太陽の塔の連中が全部牛耳っているって話だがな。これは確かに高値で、いや珍しい物だ。本当にそれをくれるのなら、泊めてやろう。それにしても、どこでその石を手に入れたんだ」

「父の知り合いの方からもらったんです。私もその人がどうやってその石を手に入れたかは聞いていませんが」

クリスティーナの返答にルイスはただただ驚くばかりだったが、宿屋の主人に気づかれないよう平静を装った。

「ふーん、そうかい。で、本当にその石をくれるのかい」

「泊めてくれるなら、もちろん差しあげます」

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