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第3章(4)

その後二人はフィルに追いつこうと歩く速度を早めた。しかし結局のところ、三人の距離が縮まることはなく、果てがないように見えた赤い道の終着地である、太陽の塔へと通じている町の手前で、フィルは彼らを待たなければならなかった。いつのまにか大きな太陽は、西の果ての地平線に没していこうとしていた。揺らめくような炎は、辺りを赤い血潮に染めたかと思うと、幾千もの金色の矢を鋭く放っていた。ルイスとクリスティーナはそのまばゆい光に目を細めた。しかしその美しい光景は心の奥深くに刻み込まれていった。それは今まで見た自然の姿の中で最も壮大な景色であった。失われていく光の中で、それでもいよいよ強く光を放つその力は、まるで命の輝きのように見えた。大きな自然の命の光の中で、彼らの心はほんの少しだけ安らぎを覚えた。

 二人がようやくフィルの前にたどり着いてみると、彼は大きな立て札の下に座り込んで彼らを待っていた。その立て札にはこんなことが書かれていた。

『これより先、風見の町。太陽の塔に赴く者は大通りへ』

フィルはあくびをかみ殺しながら、立ち上がった。

「遅いぞ、おまえら。もっと早く歩けないのか」

「これ以上は無理だよ。僕らはフィルと違って旅慣れてないんだから」

「だったら、早く慣れろよ。暗くなってからじゃ、寝る場所探すの大変なんだからな」

ルイスはフィルの刺々しい物言いに反感を持ったが、素知らぬ風を装った。

「それだったら、この立て札に書いてある風見の町の宿屋に泊まればいいんじゃないかな」

「宿屋だって」

フィルが眉をひそめて言った。

「なんだよ、文句あるのか」

ルイスはさすがにむっとして聞き返した。

「俺は別に野宿でも宿屋でもどちらでも構わないけれど、俺達三人を泊めてくれるような宿屋があればいいがな」

フィルは他人事のようにそう言うと、頭に手を回し大きく伸びをした。

「なら、とりあえず風見の町へ行ってみるか」

フィルはあまり気乗りしなそうな足取りで、立て札の先の道を歩き始めた。道は赤い道とは違って、土ではなくたくさんの白い石が敷き詰められて造られていた。その道は町の入口に着く頃には、それは道ではなく単なる石畳へと変わっていき、秩序正しく区画された町の景色の中へと溶けこんでいった。三人が風見の町へと着いてみると、夕方ということもあってか、先を急ぐ者もいれば、物を売り買いする者、宿の客引きをする者など、多くの人が出回っていた。

「いらっしゃい、いらっしゃい」

景気のいい声が、三人の頭上を飛び交っていく。どうやら、町の入口の辺りが、店が立ち並んでいる中心地帯らしく、狭い路地が幾重にも重なり合っていた。その合間を人々は器用にすり抜けながら、自分の目的地へたどり着こうとしていた。

「はあ、こんなに入り組んでいると、どこに何があるか分からないな。宿屋はどこだろう」

「フィルは分からないの」

「宿なんてほとんど泊まったことない俺が、知るわけないだろ。宿の交渉はおまえらがしろよ。本当はどっかそこらへんで待っていたいけどな。こんなに路地が複雑だと分からなくなるからな。ついてってやるから、適当にやってくれ」

自分は全く関係ないといった態度で、フィルはさらりと言ってのけた。ルイスは面白くない表情を浮かべたが、気分を変えてクリスティーナに言った。

「じゃあ、僕達二人で宿を探そうよ。こんなに賑やかな場所だもの。きっとすぐ見つかるよ」

「そうね。じゃあ、探しましょう」

クリスティーナはそう言うと、ルイスと一緒に歩き出した。その後ろからは、至って無関心といった様子のフィルがついて行った。

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