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第3章(3)

「ラベルトさんの時は、フィルがいてくれたから良かったようなものだけど。あの状態であなたしかいなかったら、あなたは迷いがあろうと、なかろうと剣を相手に叩きつけているに違いないわ。私もたぶん、そうだから。結局最後は自分が一番かわいいんじゃないかしら。ただ今回の場合は、あなたは傍観者だったから、そんな冷静な物の見方をしているんだと思うわ。実際に命を狙われたのはラベルトさんと、戦ったフィルだったのだし」

クリスティーナにそう言われ、ルイスは自分の考えはあまりにも浅はかなのだろうかと思った。彼女の言う通り、直接的に命を狙われたのはフィルだ。自分が生きるために。そして人を助けるために。それは、とてつもなく重いものかもしれない。そのために敵の命が奪われたとしても仕方のないことなのか。ルイスはひどく頭を悩まされた。自分も敵の前に出れば、抵抗するはずだということに。

「それに私は思うのだけれど」

クリスティーナは再び言葉を続けるとこう言った。

「フィルもあなた同様悩んでるみたいだったわ」

「えっ。悩むってあいつが何を」

ルイスはびっくりして顔をあげた。そこでクリスティーナは自分が穴から出てきた時のフィルの様子について教えた。

「ルイスが怯えたようにフィルを見たから、彼は傷ついたのかもしれないわ。きっと、今まで剣を振るうことに何の疑問も感じなかったんだわ。自分が生きるためだけに彼は剣を使ってきた。それを純粋なあなたから、非難の目で見られたわけだから、たぶん傷ついたのね。でもそれは、フィルにとっても必要なことなのかもしれないけれど」

「必要なこと」

ルイスは鸚鵡返しに、クリスティーナに聞いた。

「ええ、自分が傷つけてきた命について考えるということ。フィルのように力を持っている人は尚のこと考えなくては」

彼女の言葉を考えながら、ルイスは呟いた。

「つまりフィルには他人の命の重さを、僕には自分の命の重さを感じろということかい」

クリスティーナはルイスのその言葉に大きくうなずいた。

「うまいこと言うわね。たぶん、そう言うことだと思うわ。だから、あなたにはこの短剣を持っていてもらわないと。そして、自分の命を守らなくては。人を助けることも、敵を助けることも大事なことだけど、あなたの場合は自分の命を守ることから始めないと」

彼女の言うことに耳を澄ませながら、ルイスは自分の命を見つめた。守らなければいけない命は、まずは自分から。そう思うと同時にフィルの姿が浮かんできた。自分の命を守るために彼は剣をとっている。自分もそこから始めて、いずれその先に行くことができるようになるのだろうか。フィルも迷っていると言うのに。それでもルイスは暗闇にとらわれながらも、少しは心が晴れていくような気がした。彼は突然クリスティーナに言った。

「クリスティーナってすごいね。見た目に似合わず、すごいしっかりしてる。びっくりしちゃうな。僕らのこときっちり見抜いてるって感じがする。クリスティーナに話して良かったよ。また何かあったら、相談しようかな」

それを聞いたクリスティーナは驚いたように目をぱちくりさせた。

「私がしっかりしているはずがないわ。二人を見てれば、誰でも分かることよ」

「そんなに分かりやすいのかな、僕とフィルって」

ルイスが首をかしげると、クリスティーナはそうねと微笑んだ。そうかなあと呟いているルイスの側を歩きながら、クリスティーナは思った。そう、私がしっかりしているはずがない。太陽の塔へ行くのは星の都の人達のためと言いつつ、結局は自分が星の都に戻りたいがために行こうとしている自分。こんな自分がしっかりしているはずがない。それでも私は進むしかない。もう以前の自分に戻ることができないなら。彼女は一抹の寂しさを感じながらも、固い誓いを心に打ち立てた。


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