Lv.101 【GAME OVER】
「ずっとずっと昔、俺はお前と同じくこの世界を生きた。お前と同じように生きて、冒険して、負けて、死にかけて、それでも勝ってきた」
そう言って、首領は耳に開いた穴を見せてきた。俺と同じ位置についている。
「だが、勝てなかった相手がいた。黄金卿だ。お前と同じでな」
「……」
「俺も心臓を潰された。だが、その時、首領に助けられた」
首領は胸の位置の布を取り払い、心臓部の傷跡を見せてきた。中から食い破られたような傷跡が残っている。
俺も自分の胸元を摩る。きっと、同じ傷跡が今の俺にもついているのだろう。
「それで首領に抱えられ……」
首領の言葉が詰まる。自分の胸元を指していた首領の指が、悪夢となって海に落ちた。
「どうやら時間が迫っているようだ」
「どういうことだ?」
「この仮面は認識阻害の仮面だ。同じ世界に二人同じ人間がいると、どちらかが消える。だからこの仮面で認識を崩し、消滅を防いでいたんだ」
「な、なら仮面をつけろよ!」
「無理だな。一度この仮面を外せば、もう二度とつけられない」
「なんで外したんだよ!」
「お前に全部話すためだよ!」
同じような口調で、同じように罵り合う。
すると首領はふっと笑った。
「お前にいいものをやる」
そう言って、首領は自分の心臓を抉り出した。
いや、心臓ではない。赤い球だ。
そして首領は容赦なく、俺の心臓がある場所にそれをねじ込んだ。不思議と痛みはない。
「な、なんだよ今の」
「結界魔法で出来たプロテクターだ、これがあればお前のレベルは勝ってに上がり続ける。お前はこれを参考にして魔術を、魔法を研究しろ。そしてレベルを上げ、【夢、打ち砕きし者】を完成させろ」
「は……? 何言って」
「じゃあな!」
首領はそう切り上げると、俺を手放した。
俺は海にできた大渦に向かって落下していく。
「あっちに行ったら案内人を探せ! お前もよく知ってるやつだぜぇ!」
海面に叩きつけられる瞬間、首領の声が聞こえた。
【CONTINUE?】
{YES} {NO}